
あの赤いラベルの飲み物が、東久留米の住宅街のそばでつくられている。
コカ・コーラと聞けば、自動販売機やコンビニの冷蔵ケースが思い浮かびます。でも、その中身をつくり、容器に詰める工場が東京都東久留米市にあることは、意外と知られていないかもしれません。
場所は野火止1丁目。西武池袋線の東久留米駅・清瀬駅からバスで向かえる「コカ・コーラ ボトラーズジャパン多摩工場」です。
しかも、ここは予約すれば無料で工場見学ができます。飲み物ができる工程を学べるだけでなく、製造設備を見学する機会も用意されています。ただし、当日ラインが動いているとは限りません。[1]
ところで、工場では実際に何をしているのでしょう。
調べていくと、飲み物の中身だけでなく、いつも手にしているペットボトルの形そのものにも意外な秘密がありました。
多摩工場は1963年5月に操業を開始。炭酸飲料だけでなく、お茶・コーヒー・スポーツ飲料などを製造する工場です。見学は無料・完全予約制で、所要時間は約60分。2名から参加できます。[2][1]
なぜ東久留米に、こんな大きな飲料工場があるの?

まず、工場の大きさから見てみましょう。
コカ・コーラ ボトラーズジャパンが2023年に公表した資料によると、多摩工場の敷地面積は74,000平方メートル。東京ドームの建築面積を上回るほどの広さです。
そして、操業開始は1963年5月。
つまり、最近できた話題の工場ではありません。すでに60年以上の歴史を持つ製造拠点なのです。[2]
「コカ・コーラの工場」と聞くと、コーラだけを大量につくっている場所を想像しませんか。
ところが、そこが最初の思い込みでした。
公表されている製造品目は、炭酸飲料のほか、お茶、コーヒー、スポーツ飲料など。多摩工場は、一つの商品だけでなく、さまざまな飲み物を生産するための設備を持っています。[2]
なお、1963年当時にこの場所が選ばれた詳しい経緯や、立地選定の決定的な理由については、今回確認した公開資料からは特定できませんでした。
ただ、一つ確かなことがあります。この工場は、東京の街に長年存在し、複数の種類の飲料をつくってきた製造拠点だということです。
では、その工場の中では、いったい何が起きているのでしょう。
ペットボトルは、最初からあの形ではなかった

コカ・コーラやお茶を飲み終えたあと、空のペットボトルを見てみてください。
500mlなら500ml、600mlなら600ml。それぞれに合った大きさと形があります。
あの容器は、工場に最初から完成した形で運ばれてくるのでしょうか。
答えは、必ずしもそうではありません。
2023年4月に多摩工場を訪問した公益財団法人 廃棄物・3R研究財団の報告には、興味深い説明がありました。
ペットボトルの原材料となる「プリフォーム」は、別の会社で製造され、小さな容器状の状態で工場に運ばれます。
そして工場では、それを加熱し、金型に合わせて空気で膨らませ、商品の容器に成形するというのです。[3]
プリフォームとは?
ペットボトルになる前の小さな筒状の成形品です。飲み口の部分はすでに形があり、胴体部分を加熱して膨らませることで、おなじみのボトルになります。
つまり、あの大きなボトルにも、ずっと小さな姿だった時代があるわけです。
しかも、これは見た目の問題だけではありません。
なぜ、小さい状態で運んでくるの?
完成した空のペットボトルは、中身が空気です。軽いけれど、意外とかさばります。
一方、プリフォームの状態なら、完成前の容器をコンパクトに運べます。
同財団の報告では、こうした輸送方法によって運搬車両の台数を減らし、CO2排出量の削減を図っていると説明されています。[3]
ペットボトルを小さく運ぶことが、環境への負担を減らす工夫にもなる。
何気なく握っていたボトルに、思いがけない裏話がありました。
1分間に何百本? 製造ラインの数字がすごい

容器ができたら、次は飲み物を詰める工程です。
ここで工場の規模を実感させてくれる数字が登場します。
2023年の公式発表に掲載された当時の設備能力では、小型PETボトル無菌充填ラインが毎分600本、ボトル缶ラインが毎分850本となっています。[2]
毎分600本ということは、単純計算で1秒に10本。
「1本できた」と思った次の瞬間には、もう何本も先へ進んでいる速さです。
数字を見るときの注意
毎分600本・850本は2023年に公表されたラインの製造能力です。現在の実際の生産速度や、見学当日の生産本数を示すものではありません。
ここまでの仕組みを整理すると、飲み物づくりは単に液体を容器へ注ぐ作業ではないことが分かります。
- 容器を用意するペットボトルでは、プリフォームを膨らませて容器の形にする工程があります。
- 飲み物を充填する製品ごとの製造設備を使い、飲料を容器に詰めます。
- 商品として仕上げる容器に詰めた飲み物を、品質管理などの工程を経て出荷できる製品にしていきます。
これは飲料製造の流れを簡略化したものです。実際の設備や工程は商品・ラインによって異なります。
そして、ここからもう一つ気になることがあります。
これだけ大きな設備が動く場所を、一般の人が本当に見学できるのでしょうか。
工場の裏側を無料で見られる。でも、全部見られるわけではない

多摩工場は、一般向けの工場見学を実施しています。
2020年2月末から感染症対策で受け入れを休止していましたが、2023年3月28日に再開しました。現在も公式サイトで予約を受け付けています。[2][1]
見学内容として案内されているのは、スライド上映、製造工程見学、展示体験など。所要時間は約60分です。
参加費は無料。しかも、基本的には2名から申し込めます。
家族や友人と、いつも飲んでいる商品の製造現場を学ぶ機会があるというわけです。
では、動いている製造ラインを必ず見られる?
ここは少し注意が必要です。
公式サイトには、製造スケジュールによっては見学当日に製造ラインが稼働していない場合があると明記されています。見学範囲が限定される場合もあります。[1]
つまり、予約できたからといって、動く機械や特定商品の製造を必ず見られるわけではありません。
工場は、見学客のための展示施設である前に、実際に飲料をつくる場所です。
見学の内容も、その日の製造状況や安全上の判断に左右されます。
この違いは、出かける前に知っておきたいところです。
飲み終わったボトルは、そのあとどうなる?

ここまでで、飲み物が容器に詰められるまでの流れが少し見えてきました。
では、飲み終わったあとのペットボトルはどうなるのでしょう。
実は、製造工程だけで話は終わりません。
2023年の廃棄物・3R研究財団の見学報告では、ペットボトルのリサイクルについても説明を受けたと記されています。
回収された使用済みペットボトルを、再び新しいペットボトルへと生まれ変わらせる取り組みです。[3]
ただし、回収箱に入れれば必ず新しいペットボトルになる、という単純な話ではありません。
適切な分別と回収があって、初めてリサイクルの工程につなげられます。
同財団の報告では、自動販売機横の回収ボックスへペットボトル以外のごみを入れないよう説明があったことも紹介されています。
工場で形になった容器が、街で使われ、回収され、また資源になる。
自動販売機の横にある回収箱も、飲み物づくりの長い流れの一部だったのです。
工場見学の予約方法・料金・アクセス
ここからは、実際に見学へ行くための情報をまとめます。以下は2026年10月30日に確認した公式案内に基づきます。予約枠や休館日は変更されるため、申し込み前に最新カレンダーをご確認ください。
- 所在地
- 東京都東久留米市野火止1-2-9
- 参加費
- 無料
- 見学時間
- 約60分
- 実施日
- 月曜~金曜・祝日(工場休業日を除く)
- 開始時刻
- 10:00/13:00/15:00(実施日はカレンダーで確認)
- 参加人数
- 2~80名。1名のみの参加不可
- 予約
- 完全予約制。2~40名はWeb予約、41名以上は電話で相談
- 予約受付
- 個人のWeb予約は30日前の9:30から前日16:30まで
- 問い合わせ
- 050-3139-8489
受付9:30~17:00(月曜~金曜・祝日、工場休業日を除く) - 駐車・駐輪
- 駐車場・駐輪場なし。公共交通機関を利用
東久留米駅から行く場合
西武池袋線「東久留米駅」西口から、西武バスの武蔵小金井駅行き(錦城高校経由)に乗車します。
バス約8分、「八幡町1丁目」で下車。停留所から工場までの徒歩時間は、公式ページに記載されていないため、事前に経路を確認しておくと安心です。
清瀬駅から行く場合
西武池袋線「清瀬駅」南口から、武蔵小金井駅行き(前沢宿経由)の西武バスに乗車します。
バス約8分、「東久留米総合高校」で下車します。
いずれの経路も公式工場案内によるものです。交通状況やダイヤ改正で所要時間などが変わる場合があります。[1]
子ども連れ・初めての見学で注意したいこと
予約前にチェック
- 完全予約制で、当日申し込みは不可
- 中学生以下は引率者が必要
- 入場できるのは開始10分前から
- 工場内にエレベーターはなく、階段移動がある
- 製造ライン・映像スクリーン・スタッフの撮影は禁止
- 飲食物の持ち込みは禁止
- グッズ売店は設けられていない
- 製造ラインが停止している場合もある
車いす利用や介助など配慮が必要な場合は、予約前に電話で相談してください。[1]
いつもの一本が、少し違って見える
自動販売機で買ったコカ・コーラ。
冷蔵庫に入っているお茶やスポーツ飲料。
いつもは商品名や味を見て選ぶけれど、その向こう側には、1963年から東久留米にある大きな製造工場があります。
ペットボトルは最初から完成した形で運ばれるとは限らず、小さなプリフォームから膨らませてつくられること。
飲料を詰める設備には、1分間に何百本もの製造能力があること。
そして、飲み終えた容器の行き先までが、ものづくりと環境の話につながっていること。
多摩工場が現在も一般向けに見学を受け入れているのは、こうした仕組みを身近に学べる貴重な機会です。
今度、飲み終わった空のペットボトルを手に取ったら、その形を少し眺めてみてください。
あの一本が、最初からあの形だったわけではない。
そんな小さな発見から、いつもの飲み物の見え方が変わるかもしれません。
参考資料・出典
情報確認日:2026年10月30日。工場見学の条件については最新の公式ページを優先しています。2023年の資料に記載された設備能力・歴史情報は発表当時のものです。
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コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社「多摩工場(東京)|工場見学・アクセス」
https://www.ccbji.co.jp/plant/tama.php
公式予約カレンダー:
https://www.ccbji.co.jp/plant/reserve/calendar?f=tama -
コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社「多摩工場、工場見学の受入を再開」2023年3月28日発表。操業開始年、敷地面積、製造能力など。
https://www.ccbji.co.jp/news/detail.php?id=1381 -
公益財団法人 廃棄物・3R研究財団「コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社多摩工場を見学しました」2023年4月18日公開。プリフォームやリサイクルに関する見学報告。
https://www.jwrf.or.jp/news/activity/001280.html