
いつものスーパーで買ったヤマザキパン。
食パン、あんぱん、クリームパン。毎日のように目にするおなじみの商品ですが、そのパンがどこの工場で作られたのか、考えたことはありますか?
実は、手元にあるパンの袋をよく見ると、製造工場を調べるための手掛かりが残されています。
例えば、「YM1」「YS1」「YS2」という短い英数字。
商品名でも、価格でも、消費期限でもありません。
では、この3つの記号が示す場所はどこなのでしょうか。
山崎製パンの公式資料を調べると、意外にもすべて西武線沿線の街につながっていました。
この対応は山崎製パンが公式サイトで公表しているものです。[1]
つまり、袋に「YM1」と書かれていれば、東京都東久留米市の武蔵野工場を示しています。
いつものパンの袋に、思いがけず地元の地名が隠れていたわけです。
でも、ここで一つ疑問が生まれます。
そもそも、なぜ工場名をそのまま書かず、暗号のような英数字を使うのでしょうか。
なぜパンの袋に「謎の英数字」が書かれている?

「YM1」や「YS1」などの英数字には、正式な名前があります。
製造所固有記号(せいぞうしょこゆうきごう)です。
少し難しそうな名前ですが、役割はシンプル。商品を製造した工場を特定するための記号です。
食品には原則として製造所の所在地や製造者などを表示する必要があります。ただし、同じ製品を複数の製造所で作る場合など、一定の条件を満たせば、事前に届け出た製造所固有記号を使用できます。[2]
では、工場名を直接書く場合と、記号にする場合では何が違うのでしょうか。
答えは、パンの「包装」にあった
ここが今回の話で、ちょっと面白いところです。
山崎製パンは、製造所固有記号を使う理由の一つとして、複数の工場で包装紙を共通に使用できることを挙げています。
仮に、同じ商品をA工場とB工場で作っているとします。
包装にそれぞれの工場名や住所をあらかじめ印刷すると、工場ごとに異なる包装資材を用意する必要が生じます。
ところが、共通の包装を使い、製造場所を識別できる記号で示せれば、包装を共通化しやすくなります。
その結果、包装紙のロスを減らすことにもつながるというのが、山崎製パンの説明です。[1]
パンの秘密かと思ったら、包装の工夫でした。
毎日大量の商品を扱う会社にとって、袋を共通化できることには意味があるのですね。
しかも、この仕組みにはもう一つの役割があります。
消費者が「これはどこの工場で作られたのだろう」と思ったとき、記号を調べることで製造場所を確認できるのです。
自分のパンはどこで作られた?袋の調べ方

仕組みが分かったところで、ここからは実践です。
お手元にヤマザキパンの袋があれば、表示を確認してみてください。
まず探したいのは、商品パッケージにある「製造所固有記号」です。
新制度に基づく製造所固有記号では、記号の前に「+」が付けられます。
この「+」は、計算の足し算ではありません。記号であることを示すための表示です。[2]
- パッケージの表示欄を見る 裏面や側面などにある、製造者・販売者・消費期限などの表示付近を確認します。表示位置は商品によって異なります。
- 製造所固有記号を探す 「+YM1」のような表示がないか確認します。別の形式で表示されている商品もあるため、パッケージの案内も見てください。
- 記号と工場一覧を照らし合わせる 「YM1」なら武蔵野工場、「YS1」なら埼玉第一工場、「YS2」なら埼玉第二東村山工場です。
- 公式資料で最終確認する 一覧にない記号や判断できない表示は、山崎製パンの公式ページ、消費者庁の検索サービス、または商品記載の問い合わせ先で確認します。
製造所固有記号は、製造時刻や商品の消費期限そのものを表す記号ではありません。また、商品に工場の所在地が直接表示されている場合もあります。
消費者庁の検索サービスでは、「+」を除いた記号を入力します。[2]
ここまでで、手元のパンの工場を調べる方法が分かりました。
しかし、公式一覧を眺めていると、さらに気になることがあります。
なぜ、東久留米・所沢・東村山という近い地域に、3つも工場があるのでしょうか。
なぜ西武線沿線に3つもヤマザキパンの工場がある?

山崎製パンの事業所一覧には、全国各地の工場が掲載されています。
その中に、東京都東久留米市、埼玉県所沢市、東京都東村山市の3つの製造拠点が並んでいます。[3]
しかも、3工場は西武線の駅から徒歩またはバスなどでアクセスできる場所にあります。
| 記号 | 工場名 | 所在地 | 駅からのアクセス |
|---|---|---|---|
| YM1 | 武蔵野工場 | 東久留米市柳窪 | 小平駅から徒歩約15分 |
| YS1 | 埼玉第一工場 | 所沢市坂之下 | 所沢駅からバス約26分 |
| YS2 | 埼玉第二東村山工場 | 東村山市久米川町 | 所沢駅からバス・徒歩約8分 |
※アクセスは山崎製パン公式の事業所案内に基づきます。所要時間は目安であり、運行状況により異なります。[3]
一見すると、それぞれ独立した工場の一覧です。
でも、名前をじっくり見ると、少し不思議なところがあります。
例えば、武蔵野工場なのに住所は東久留米市。
そして、埼玉第二工場なのに住所は東京都東村山市。
工場名と行政上の所在地が、必ずしも一致していないのです。
これを知らずに記号だけを見ていたら、ちょっと迷いそうです。
YM1|武蔵野工場は、実は東久留米市にある
製造所固有記号:YM1
東京都東久留米市柳窪2-5-14
山崎製パンの武蔵野工場は、東京都東久留米市柳窪にあります。
公式案内に記載されているアクセスは、西武新宿線小平駅から徒歩約15分です。[3]
「武蔵野」という名前から、武蔵野市の工場を想像する人もいるかもしれません。
でも、実際の所在地は東久留米市。
工場名だけでは分からない住所を、製造所固有記号から確かめられるというのも面白いところです。
YS1|所沢の埼玉第一工場
製造所固有記号:YS1
埼玉県所沢市坂之下85
埼玉第一工場は、所沢市坂之下にあります。
山崎製パンの公式案内では、JR東所沢駅からバス約6分、西武池袋線・西武新宿線の所沢駅からはバス約26分とされています。[3]
同じ所沢市でも、所沢駅前の商業エリアとは違う場所です。
もし、手元のパンに「YS1」と表示されていれば、この坂之下の工場を示していることになります。
駅前で買ったパンと、駅から離れた製造拠点。短い記号が、同じ市内の別々の景色を結び付けてくれます。
YS2|「埼玉第二」なのに東京都東村山市?
製造所固有記号:YS2
東京都東村山市久米川町1-53-1
3つの中でも、名前と住所の組み合わせが特に気になるのがここです。
正式な事業所名は「埼玉工場 埼玉第二東村山工場」。
ところが住所は、埼玉県ではなく東京都東村山市久米川町です。[3]
さらに、公式案内では西武池袋線・西武新宿線の所沢駅からバス・徒歩約8分とされています。
「東村山工場なら東村山駅から」と決めつけると、アクセスまで勘違いしそうです。
なぜ埼玉の名前が付いているのか、現在の工場名だけから詳しい命名経緯を断定することはできません。
ただ、確実に言えるのは、山崎製パン自身が東京都東村山市の工場をこの名称で案内しているということです。
そして「YS2」は、まさにその工場に対応しています。
上記は事業所の所在地と公式アクセス情報です。一般向けの工場見学や自由な立ち入りができることを示すものではありません。
今回紹介した3工場について、一般来場者向けの見学受付は公式案内から確認できませんでした。敷地内への無断立ち入りは避けてください。
ここで、もう一つ考えてみたいことがあります。
これだけ近い場所に工場があるなら、同じヤマザキパンの商品でも、買う場所によって製造工場が違うことはあるのでしょうか。
同じパンなのに、作った工場が違うことはある?

答えは、同じ製品を複数の工場で製造することはあり得る、です。
そもそも製造所固有記号の制度は、原則として同一製品を2か所以上の製造所で製造する場合に使用する仕組みです。[2]
山崎製パンも、複数の製造所で包装を共通化できることを制度利用の理由として説明しています。[1]
つまり、同じ商品名だからといって、必ず一つの工場だけで作られているとは限らないということです。
例えば、ある日に購入した商品と、別の日に購入した同じ商品を比較するとします。
もし、それぞれ異なる製造所固有記号が表示されていれば、対応する製造工場も異なることが分かります。
ただし、特定の食パンや菓子パンが今回の3工場すべてで製造されていると確認できたわけではありません。
商品ごとの製造体制は、実物の表示やメーカーへの確認が必要です。
ここは思い込みで決めつけず、袋に書かれた記号そのものを手掛かりにしたいところです。
買ったお店と、製造工場は同じ場所とは限らない
もう一つ大切なのは、購入した場所と製造した場所を混同しないことです。
所沢のお店で買ったからといって、必ず所沢の埼玉第一工場で作られているとは限りません。
東村山市のスーパーで買ったからといって、「YS2」と決まるわけでもありません。
商品の製造工場を知りたいなら、購入したお店の住所より、パッケージの表示を確認することが確実です。
買った場所は一つ。でも、作られた場所は別の街かもしれない。
普段何気なく食べているパンにも、そんな小さな地理の問題が隠れています。
YM1・YS1・YS2以外にも記号がある?

もちろん、山崎製パンの製造所固有記号は、この3つだけではありません。
公式資料には、千葉県、神奈川県、茨城県など、全国の工場に対応する記号も掲載されています。[1]
例えば、関東の工場には次のような記号があります。
| 記号 | 製造工場 | 所在地 |
|---|---|---|
| YM1 | 武蔵野工場 | 東京都東久留米市 |
| YS1 | 埼玉第一工場 | 埼玉県所沢市 |
| YS2 | 埼玉第二東村山工場 | 東京都東村山市 |
| YMK・YMM | 松戸第一工場 | 千葉県松戸市 |
| Y2M | 松戸第二工場 | 千葉県松戸市 |
| YC・YC2・YCM | 千葉工場 | 千葉県千葉市美浜区 |
| YY1 | 横浜第一工場 | 神奈川県横浜市戸塚区 |
| YY2 | 横浜第二工場 | 神奈川県横浜市都筑区 |
| YK | 古河工場 | 茨城県古河市 |
山崎製パン公式の製造所固有記号一覧から一部抜粋。2026年11月4日確認。[1]
一覧を眺めると、工場名を連想できそうなアルファベットもあれば、少し分かりにくいものもあります。
例えば「YM1」を武蔵野工場と結び付けるのは比較的覚えやすそうです。
一方で、すべての英数字が決まった規則だけで読めるとは限りません。
頭文字から予想するのは楽しいですが、正しい製造場所を調べるには、公式の対応表を使うのが確実です。
ヤマザキパンの製造記号でよくある疑問
Q. YM1はどこの工場ですか?
東京都東久留米市柳窪にある山崎製パン武蔵野工場です。西武新宿線小平駅から徒歩約15分の場所です。
Q. YS1はどこの工場ですか?
埼玉県所沢市坂之下にある埼玉第一工場です。山崎製パンの公式事業所一覧に掲載されています。
Q. YS2はどこの工場ですか?
東京都東村山市久米川町にある埼玉第二東村山工場です。名前に「埼玉」が入っていますが、実際の所在地は東京都です。
Q. 記号の前の「+」は何ですか?
新制度に基づく製造所固有記号と旧制度の記号を区別するための表示です。「+」そのものは製造所固有記号に含まれず、消費者庁の検索では入力する必要がありません。
Q. 記号を見れば原材料の産地も分かりますか?
いいえ。製造所固有記号は製造工場を識別するためのものです。小麦や卵などの原材料がどこで生産されたかを示す記号ではありません。原料原産地は商品の表示などで別途確認する必要があります。
Q. 商品のどこにも記号が見つからない場合は?
工場の所在地が直接表示されている場合があります。製造者や製造所の表示を確認し、それでも分からない場合はパッケージ記載の問い合わせ先や山崎製パンの公式案内を利用してください。
さらに知りたい人へ|公式サイトの関連情報
今回の調査では、山崎製パン自身が公開している情報から、記号と工場の対応、工場所在地、記号を使用する理由を確認できました。
パンそのものの製造工程も気になる人には、公式サイト内の「ヤマザキの工場見学『食パンができるまで』」というコンテンツがあります。
商品がどこで作られたかを調べた後は、どのようにパンができるのかを知るのも、次の楽しみ方です。
なお、今回の3工場について、製造記号と個別商品の製造状況を実証できる公式SNS投稿やYouTube動画は確認できませんでした。そのため、SNS上の推測を根拠として採用していません。
いつものパンの袋が、少し違って見えてくる
最初に見た「YM1」「YS1」「YS2」という小さな英数字。
ただの管理番号のように見えたかもしれません。
でも、その記号を読み解くと、東久留米市の武蔵野工場、所沢市の埼玉第一工場、東村山市の埼玉第二東村山工場という、実在する3つの製造拠点が見えてきました。
さらに、その記号には複数工場で包装を共通化し、包装資材のロスを減らすという役割もありました。
パンの袋に書かれた数文字から、製造場所だけでなく、会社のものづくりの工夫まで見えてくる。
そして、気付けばその工場は、小平駅や所沢駅からアクセスできる場所にありました。
次にヤマザキパンを買ったときは、食べる前に袋を少しだけ裏返してみてください。
そこにある小さな記号は、思っていたより身近な街の名前につながっているかもしれません。
今日のパンは、どこから来たのでしょう。
答えの手掛かりは、もう手元にあります。
身近な商品の「生まれた場所」を、もう少し
いつもの商品が、実は身近な街とつながっている。西武線沿線には、そんな発見がほかにもあります。
参考資料・出典
-
山崎製パン「商品に関するお問い合わせ・よくあるご質問」
製造所固有記号の意味、使用する理由、YM1・YS1・YS2と工場の対応、および全国の工場一覧を確認。
https://www.yamazakipan.co.jp/otoiawase/main2.html -
消費者庁「製造所固有記号制度届出データベース」
製造所固有記号制度の使用条件、届出制度、「+」の意味、製造所の検索方法を確認。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/unique_code/ -
山崎製パン「企業情報・事業所一覧」
武蔵野工場、埼玉第一工場、埼玉第二東村山工場の正式名称、住所、鉄道駅からのアクセスを確認。
https://www.yamazakipan.co.jp/company/zigyousho/ -
名古屋市「製造所固有記号」
食品表示における製造所固有記号の表示方法や問い合わせ方法について、公的機関の解説を参照。
名古屋市公式解説ページ
情報確認日:2026年11月4日
本記事は企業・行政の公開資料をもとに構成しています。特定商品の実物パッケージの記号を独自に収集・検証したものではありません。工場の製造体制、表示方法、アクセスなどは変更される場合があります。最新情報は山崎製パンおよび関係機関の公式案内をご確認ください。