
EKIRIP|テレビで話題の西武線沿線
EXILE・NAOTOさんが、所沢の自慢として持ち出した「トトロの森」。
2026年10月27日放送の日本テレビ系『踊る!さんま御殿!!』。埼玉県の北と南をめぐるトークの中で、所沢出身のNAOTOさんが地元の魅力を紹介しました。
番組の事前紹介記事によると、NAOTOさんは西武園ゆうえんちやベルーナドームなどとともに、自宅の近くにあるという「トトロの森」に言及。すると明石家さんまさんが、映画の舞台と所沢の位置関係にツッコミを入れる展開が紹介されています。[1]
なるほど、所沢にはトトロの森がある。
でも、ここで一つ気になります。
「トトロの森」とは、映画のモデルになった一つの森の名前なのでしょうか?
実際に調べると、答えは少し違いました。
森は一つではありません。しかも、その数は67か所。
67か所。想像していたより、ずいぶん多い。
なぜそんなにあるのでしょう。そして、そもそも誰が森に「トトロ」という名前を付けたのでしょうか。
まず分かったこと
「トトロの森」は、狭山丘陵とその周辺に点在する、市民の寄付などで取得・保全されてきた森の総称です。2026年6月時点で67か所あります。
映画の世界を再現したテーマパークではなく、実際の自然と里山の風景を守るための森なのです。[3]
放送情報について:10月27日の番組放送とHuluでの同日回の配信は確認できています。ただし、この記事では該当場面の映像自体を直接検証していません。NAOTOさんと明石家さんまさんのやり取りは、放送前に公開されたWEBザテレビジョンの番組紹介記事に基づいています。[1][2]
なぜ「トトロの森」は一つではない?

まず、「トトロの森」という名前から思い浮かべる風景を整理してみます。
大きな森が一つあって、その中に映画の舞台を思わせる場所がある。そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。
けれど、現実の「トトロの森」は違います。
舞台となるのは、東京都と埼玉県にまたがる狭山丘陵。東西約11キロ、南北約4キロに広がる地域です。丘陵全体が一つの「トトロの森」というわけではありません。[4]
その中や周辺に、公益財団法人トトロのふるさと基金が取得した小さな森が点在しています。
それぞれに「トトロの森1号地」「トトロの森2号地」と番号が付いているのです。
つまり、映画のロケ地を67か所指定したという話ではありません。
自然を守るために取得した土地が増えていった結果、67か所になった。
この違いは大切です。
では、そもそもどうして、森をわざわざ買い取る必要があったのでしょう。
森を守るために、森を「買う」ことにした

時間を少し戻してみましょう。
狭山丘陵は、住宅地や都市の近くにありながら、雑木林や畑、谷戸などの風景が残る場所です。
ただし、その緑がすべて自動的に守られるわけではありません。
トトロのふるさと基金の沿革には、狭山丘陵周辺で進められようとした宅地開発や大学進出計画、そして自然を残そうとする市民の活動が記されています。[5]
ここで登場するのが、少し聞き慣れない言葉です。
ナショナル・トラストとは?
ナショナル・トラストは、守りたい自然や歴史的な場所を、寄付などのお金で取得して保全していく活動です。
「この森を残してほしい」と願うだけではなく、土地を取得して守る。
森の所有者になることが、保全のための具体的な手段になるわけです。
トトロのふるさと基金の活動は1990年に始まりました。そして翌1991年、最初の森が生まれます。
狭山丘陵周辺では開発計画をめぐり、自然保護のための市民活動が続いていました。
「トトロのふるさと基金委員会」が設立されます。
所沢市上山口の雑木林を取得。「トトロの森1号地」が誕生しました。
保全地は67か所に。活動の範囲は狭山丘陵とその周辺へ広がっています。
年表はトトロのふるさと基金の沿革・取得地情報に基づきます。[5][7]
1号地が守ったのは、森だけではなかった
最初の1号地は、開発計画が迫っていた所沢市上山口の雑木林でした。
基金の記録によると、土地所有者の協力を得て購入したことがきっかけとなり、周辺のおよそ6ヘクタールの雑木林も埼玉県と所沢市によって取得され、保全につながりました。[5]
小さな森を一つ買う。
その行動が、周囲の緑を残す動きにもつながったのです。
これなら、67という数字にも意味が見えてきます。
一つの大きな観光施設をつくったのではなく、失われるかもしれない森を、その都度、一つずつ守ってきた記録なのです。
それでも、もう一つ疑問が残ります。
自然保護の活動なら、なぜ名前が「トトロ」なのでしょう。
「トトロ」の名前は、勝手に付けたわけではなかった

映画『となりのトトロ』が公開されたのは1988年。
森を守る運動が始まるより前です。
トトロのふるさと基金は、狭山丘陵について、映画の舞台のモデルの一つになったといわれる場所だと説明しています。[3]
ここで気になるのは、「モデルの一つ」という表現。
つまり、映画の風景を特定の森一か所と完全に結び付けているわけではありません。
作品を思い起こさせる里山の風景が、この地域に残っているという関係です。
そして、名前についても公式な説明があります。
基金が活動を始める際、宮崎駿監督や映画会社の関係者から許可を得て、取得地を「トトロの森」と名付けたというのです。[4]
まさか、名前の由来を追うと、きちんと許可を得た市民の保全活動に行き着くとは。
ここにも誤解しやすい点があります。
「トトロの森」という名称の使用が許可されたからといって、森そのものがスタジオジブリの運営するテーマパークになったわけではありません。
守っている主体はトトロのふるさと基金であり、活動を支えているのは寄付者や会員、保全に携わる人々です。
映画が自然保護の活動に名前を貸した。そして現実の人々が、その名前の付いた森を少しずつ増やしてきた。
テレビで交わされた「所沢とトトロ」の話題も、こうして見ると少し違って聞こえます。
映画の舞台を一つの住所に決める話と、所沢を含む地域でトトロの森が守られている話は、同じではないのです。
森を残すなら、何もしないのが一番?

森を買い取って守る。
ここまで聞くと、人の手を入れず、自然のままにしておくことが一番よさそうにも思えます。
ところが、トトロの森にはもう一つ大切な特徴があります。
基金が保全している森の多くは「雑木林」です。
雑木林とは、さまざまな木が育つ林のこと。狭山丘陵に残る雑木林の多くは、人々が暮らしの中で利用し、手を入れることで形づくられてきました。
このような森は「二次林」とも呼ばれます。完全に人の手が入っていない原生林とは違うのです。[6]
昔の人は、薪になる木を育て、落ち葉を集め、畑や暮らしの中で森の恵みを利用していました。
つまり、森と人の生活は別々ではありませんでした。
森を守る活動には、土地を買うことだけでなく、植生を調べたり、状況に応じて木々を管理したりする仕事も含まれています。
何もしないことが、いつも正解というわけではない。
昔の人が使いながら育ててきた森だからこそ、今も人の手による適切な管理が必要になる場合がある。
ここが、自然をただ眺めるだけでは気付きにくい部分です。
映画を思わせる風景が残っているのは、自然の力だけでなく、その風景に関わってきた人の歴史があるからでもあります。
では、その森を私たちが見に行くことはできるのでしょうか。
実際に「トトロの森」へ行くなら、どの駅で降りる?

ここで、少し現実的な問題です。
「トトロの森に行こう」と思って、電車に乗るとします。
しかし、行き先を一つに決めることができません。
なにしろ森は67か所。場所が違えば、近い駅も変わります。
トトロのふるさと基金も、目的とする森の番号を決め、公式の散策地図を確認してからアクセスを考えるよう案内しています。[4]
最初の1号地は所沢市上山口
1991年に取得された1号地は、所沢市上山口にあります。狭山湖の東側に広がる樹林地の一角です。
ただし、地名だけで入口や歩行可能な道が分かるわけではありません。
初めて訪れる場合は、公式散策ガイドで「トトロの森1号地」と周辺の散策路を確認しておくことが大切です。
西武球場前駅・小手指駅からの公式散策マップもある
基金は、駅を起点とする散策マップを公開しています。
例えば「西武球場前駅からクロスケの家」「西武球場前駅からいきものふれあいの里センター」「小手指駅からクロスケの家」といったコースです。[8]
西武線沿線から歩き始めるなら、まずこの公式マップを使うと、森と駅の関係を理解しやすくなります。
ただし、それぞれ別の散策ルートです。すべてが1号地へ直接向かう最短コースという意味ではありません。
VISIT GUIDE|トトロの森 散策の基本
- 名称
- トトロの森(トトロのふるさと基金のトラスト取得地)
- エリア
- 埼玉県・東京都にまたがる狭山丘陵とその周辺
- 主な対象駅
- 西武球場前駅、小手指駅など。目的地によって最寄り駅は異なります。
- 森の数
- 67か所(2026年6月時点)
- 料金
- 通常の散策に入園料は設定されていません。なお、ガイドイベントや別施設の見学には参加費・予約が必要な場合があります。
- 公開形態
- 一般のテーマパークとは異なり、共通の開園時間や入場ゲートはありません。保全地への立入りが自由という意味ではないため、散策路と現地表示に従ってください。
- 駐車場
- トトロの森専用の駐車場はありません。公共交通機関の利用が案内されています。
- 公式案内
- 公益財団法人 トトロのふるさと基金
目的の森を選び、公開されている地図と最新の注意事項を確認してから出発してください。
森の中に入って、トトロを探せる?
ここは、出かける前に知っておきたい重要な点です。
基金の公式FAQによると、トトロの森には、遊具やキャラクターの置物、飲食店や売店などはありません。[4]
そして、森は生きもののすみかです。
基金は、保全地の林内へむやみに入らず、指定された散策路から観察するよう呼びかけています。
訪れる際は、特に次の点を守りましょう。
- 指定された散策路から森を眺め、立入禁止区域には入らない。
- 植物や生きものを採取せず、私有地の畑や田んぼにも立ち入らない。
- ごみは持ち帰り、歩きやすい靴と虫よけを用意する。
- ナラ枯れによる枯れ木、倒木や落枝、ぬかるみ、スズメバチなどに注意する。
- 日没前に余裕を持って散策を終える。
上記は基金の公式注意事項を要約したものです。現地の規制・通行案内を優先してください。基金は取得地の商用ツアー利用や、現地で撮影した画像の広告など営利目的での利用も制限しています。[3][8]
森へ行く目的が「トトロの姿を探すこと」だと、少し拍子抜けするかもしれません。
けれど、そこに人の手で作られたキャラクターの展示がないことも、この森の性格を表しています。
主役は、今もそこで育っている木や草、生きものたちなのです。
森を守る活動そのものを知るなら「クロスケの家」
森を残してきた人たちの活動を、もう少し身近に知りたいなら、所沢市三ケ島の「クロスケの家」という選択肢もあります。
ここはトトロのふるさと基金の活動拠点となっている古民家です。
母屋、蔵、茶工場が国の登録有形文化財に登録されています。
ただし、こちらは森の散策とは違い、見学には事前予約が必要です。公式案内では小学生以上の入場料は500円となっています。[9]
森を歩く日と古民家を見学する日を分けても、違った発見がありそうです。
テレビで話題になった「トトロの森」が、少し違って見えてきた
EXILE・NAOTOさんが所沢の魅力として紹介した「トトロの森」。
最初は、映画で見たような大きな森が所沢のどこかにある、という話に聞こえたかもしれません。
しかし、調べてみると、そこにあったのは一つの森をめぐる観光案内ではありませんでした。
1991年、開発の可能性があった雑木林を、市民の力で買い取った人たちがいました。
その取り組みは一度きりでは終わらず、次の森、そのまた次の森へと続いていきました。
「トトロ」という名前も、単に映画を連想して付けられたものではなく、許可を得て自然保護の活動に使われてきた名前でした。
67か所という数字は、その積み重ねを表しています。
映画の中では、森は不思議な存在が暮らす場所として描かれます。
一方、現実のトトロの森には、寄付を集める人、土地を提供する人、森を手入れする人がいます。
物語の森は、映画の中にある。
でも、その風景を思わせる現実の森を未来へ残そうとした人たちは、確かに所沢の周辺にいたのです。
次に西武線の車窓から雑木林が見えたら、少し思い出してみてください。
あの緑も、ただ偶然そこに残ったとは限らない。
誰かが「残したい」と願い、行動した結果、今も見えている森なのかもしれません。
もう少し、所沢のトトロをたどってみる
参考資料・情報源
番組情報、森の保全状況、名称の由来、散策の注意事項を以下の公開資料で確認しました。確認日:2026年10月29日。
- WEBザテレビジョン|EXILE・NAOTOの地元にある「トトロの森」を紹介した番組事前記事 発行:WEBザテレビジョン編集部/公開:2026年10月27日 https://thetv.jp/news/detail/1451977/ 確認日:2026年10月29日
- Hulu|『踊る!さんま御殿!!』配信作品ページ 2026年10月27日放送「北埼玉VS南埼玉バトルSP」の掲載を確認。記事執筆時点で該当場面の映像は未確認。 https://www.hulu.jp/dancing-sanma-palace/assets 確認日:2026年10月29日
- 公益財団法人 トトロのふるさと基金|トトロの森 ナショナル・トラストによる保全活動、67か所の取得地、散策時の注意事項。 https://www.totoro.or.jp/intro/ 確認日:2026年10月29日/森の数は2026年6月現在の公式公表値
- 公益財団法人 トトロのふるさと基金|よくある質問 名称の使用許可、映画との関係、森の所在地、設備・入園条件。 https://www.totoro.or.jp/faq/ 確認日:2026年10月29日
- 公益財団法人 トトロのふるさと基金|当法人の活動・沿革 市民による保護運動、1990年の活動開始、1991年の1号地取得と周辺保全。 https://www.totoro.or.jp/activity/ 確認日:2026年10月29日
- 公益財団法人 トトロのふるさと基金|トトロの森ってどんなところ? 雑木林の成り立ち、人の暮らしと里山の関係。 https://www.totoro.or.jp/intro/totoro_forest/ 確認日:2026年10月29日
- 公益財団法人 トトロのふるさと基金|トラスト取得地のご紹介 トトロの森各号地の取得記録と所在地情報。 https://www.totoro.or.jp/national_trust/ 確認日:2026年10月29日
- 公益財団法人 トトロのふるさと基金|散策ガイド 西武球場前駅・小手指駅からの散策マップ、森のマナーと安全情報。 https://www.totoro.or.jp/intro/stroll_guide/ 確認日:2026年10月29日
- 公益財団法人 トトロのふるさと基金|クロスケの家 施設の役割、登録有形文化財、見学予約と料金。 https://www.totoro.or.jp/kurosuke/ 確認日:2026年10月29日
※この記事は公開資料に基づく編集記事であり、番組出演者・放送局・スタジオジブリ・トトロのふるさと基金による監修記事ではありません。映画の舞台のモデルに関する説明は基金の公式表現に沿っており、特定の森が唯一の舞台であるとは断定していません。掲載情報は確認時点のものです。散策時は最新の公式案内と現地表示を優先してください。