
味噌は、ご飯のお供。そう思っていたら、川越ではパンの主役になっていました。
2026年10月29日の日本テレビ系『DayDay.』で紹介された「川越ベーカリー楽楽(らくらく)」。菓子屋横丁に店を構えるベーカリーで、40種類以上のパンや看板商品「お味噌のパン」が取り上げられたとされています。
しかし、少し不思議です。
川越といえば、さつまいも、駄菓子、和菓子。そこで味噌を使ったパンが名物になるとは。
しかも、味噌が入っているのはパン生地だけではありません。表面のクッキー生地にまで、味噌が使われています。
つまり、味噌を隠し味にしたパンではなく、味噌そのものを楽しむためのパンなのです。[1]
なぜ、そんなパンが生まれたのでしょう。調べていくと、一つのパンから、川越という街に合わせて変化してきたお店の物語が見えてきました。
「お味噌のパン」は、しょっぱいパンではなかった?

まず気になるのは、味です。
味噌を使ったパンと聞くと、焼きおにぎりや味噌田楽のような、香ばしくて塩気のある味を想像しませんか。
ところが、楽楽の「お味噌のパン」は、甘さと塩気を組み合わせたおやつパンです。
作り方の特徴は、大きく分けて三つあります。
まず、小麦粉に餅粉を合わせた生地。次に、埼玉県秩父地域の味噌。そして仕上げに、味噌を使ったクッキー生地を表面にのせて焼き上げます。
餅粉を組み合わせることで生地にもちっとした食感を持たせ、表面にはクッキー生地の香ばしさを重ねる構成です。味噌の風味は、中にも外にもあります。[1][2]
なるほど。味噌パンという名前から思い浮かべる、具入りの惣菜パンとは違うようです。
しかも、使うのは川越のすぐ近くにある秩父地域の味噌。
ここで新たな疑問が生まれます。
なぜ、わざわざパンに秩父味噌を使ったのでしょうか。
なぜ川越のパン屋が、秩父の味噌を選んだの?

答えの手掛かりは、楽楽が大切にしてきた素材選びにあります。
楽楽が開業したのは2006年。創業者の上野岳也さんは、パン作りの経験がない状態からお店を始めました。
その際、ほかの店との違いをつくるために注目したのが、国産小麦でした。現在まで、国産の素材を大切にするパン作りが続いています。[3]
パンの作り方だけで勝負するのではなく、素材からお店の個性をつくろうとしたわけです。
その考えは小麦粉だけにとどまりませんでした。
楽楽の運営会社が2023年に発表した資料では、味噌、醤油、酒粕、よもぎ、干し柿など、日本の食材を生かしたパン作りへの思いが説明されています。[1]
そこで見えてくるのは、味噌を使ったパンが単なる変わり種ではないということ。
日本の食材を使い、日本の街で楽しんでもらうパンをつくる。
秩父味噌を使う理由も、その素材選びの方針と重なっています。
ただし、創業者が最初に秩父味噌を選んだ具体的な出来事や、複数の味噌を比較した経緯まで確認できるわけではありません。
確かに分かるのは、埼玉の味噌を使ったパンが開店当初から続く看板商品になったことです。
それにしても、味噌パンだけが特別に売れたのでしょうか。
累計150万個。その人気には、テレビが関係していた

楽楽の「お味噌のパン」には、もう一つ驚く数字があります。
累計販売数150万個以上。
2023年の運営会社発表ですでに150万個の実績が紹介され、2026年の世田谷パン祭り公式紹介でも、150万個以上を売り上げた看板商品として掲載されています。[1][3]
150万個。
一つの味噌パンから始まった話なのに、急に数字が大きくなりました。
では、なぜここまで知られるようになったのでしょう。
実は、過去のテレビ出演が重要なきっかけでした。
楽楽の運営会社は、味噌風味のクッキーを組み合わせたパンがテレビ番組で紹介されたことを機に、大きな人気を得たと説明しています。
その後も10年以上にわたって改良を重ね、味や品質を磨いてきたそうです。[1]
つまり、テレビで紹介されたことで突然生まれた人気商品ではありません。
もともと店にあったパンが、テレビをきっかけに多くの人に知られ、さらに改良されていったのです。
2026年10月29日の『DayDay.』で注目されたことも、そんな長い歩みの延長にあります。
提供された放送情報では、日本テレビ系『DayDay.』の2026年10月29日9時29分〜9時36分の枠で、川越ベーカリー楽楽と「お味噌のパン」が紹介されています。ただし、番組公式の個別放送記録は今回確認できていないため、出演者の具体的な発言や試食の感想は記載していません。
ここで興味深いのは、運営会社自身の振り返りです。
同じような味噌パンを作っても、ほかの店では売れないと言われることがあったそうです。
同じような材料を使っているのに、なぜでしょう。
その答えを考えるうえで、次に注目したいのが、パンではなく街のほうです。
同じ味噌パンでも、なぜ「川越」で食べると特別なの?

楽楽があるのは、川越の菓子屋横丁です。
駄菓子や和菓子など、昔ながらの食文化が息づく一角。その中に、国産小麦を使うパン屋が店を構えています。
一見すると、少し意外な組み合わせです。
ところが、運営会社はこの街とパンの組み合わせこそが強みではないかと考えました。
2023年の発表では、ほかの店で同じようなパンを作っても人気が再現されないことについて、和の街・川越で食べるからこそ、和素材のパンが魅力的に映るのではないか、という見方を示しています。[1]
これは科学的に証明された売上の法則ではなく、お店自身による考察です。
それでも、なかなか面白い考え方です。
味噌パンそのもののおいしさに加えて、菓子屋横丁という場所も商品の魅力をつくっているのではないか。
和菓子店が並ぶ街で、和の材料を使ったパンを見つける。
パンなのに、川越らしい。
そんな組み合わせが、このお店の個性になっていると考えられます。
40種類以上のパン。そして「小江戸の和パン」へ

楽楽には、お味噌のパン以外にも多彩な商品があります。
過去の取材記事では、常時40種類以上のパンを扱っていると紹介されていました。ただし、種類や品ぞろえは営業日によって変わります。[4]
そして、2023年にはお店の方向性をより明確にする取り組みが行われました。
掲げたテーマは、「小江戸の和パン」です。
ここでいう和パンとは、和の食材や調味料をパンに組み合わせたもの。
味噌だけでなく、わさび、酒粕、醤油、よもぎなど、日本の食文化から発想を広げています。[1]
開発にも特徴がありました。
2023年のリブランディングでは、製造に携わる社員全員で新商品の開発に取り組んだといいます。
その中には、当初、味噌を使った惣菜系のパンを考えていたものの、味が濃くなりすぎて苦労した商品もありました。
そこでヒントになったのが、あの「お味噌のパン」です。
味噌はしょっぱい料理だけのものではない。甘いパンにも合う。
その発想から、味噌にはちみつを合わせた塩バターロールへ方向を変えたと説明されています。[1]
なるほど。最初の味噌パンが、新しいパンを考えるための手掛かりにもなっていたわけです。
2026年の世田谷パン祭りの紹介では、麹を使った食パンへのリニューアルも案内されています。
一つの看板商品だけにとどまらず、和素材の可能性を広げ続けていることが分かります。[3]
そもそも、店名が「楽楽」なのはなぜ?
ここまでパンを調べてきましたが、最後に店名にも注目してみましょう。
「楽楽」。
何となく、気軽に食べられそうな名前です。
でも、そこにはお客さんだけでなく、パンを作る人たちへの思いもありました。
創業者への取材記事では、スタッフもお客さんも楽しくいられるお店にしたい、という考えが店名の由来として紹介されています。[5]
2023年の商品開発に社員全員が参加したことも、この考え方と重なります。
作る側も、食べる側も楽しめる。
名前は「楽楽」でも、パン作りにはずいぶん手間をかけているようです。
その少しおかしな対比も、この店の面白さなのかもしれません。
本川越駅からどう行く? 営業時間・アクセス
実際にお味噌のパンを探しに行くなら、菓子屋横丁を目指しましょう。
西武新宿線・本川越駅からは徒歩約15〜20分が目安。蔵造りの街並みを通りながら、川越の観光スポットと組み合わせて訪れやすい場所です。[6]
- 店名
- 川越ベーカリー楽楽(らくらく)
- 住所
- 埼玉県川越市元町2-10-13
- 最寄駅
- 西武新宿線 本川越駅
- 徒歩目安
- 約15〜20分
- 営業時間
- 9:00〜16:30(2026年の世田谷パン祭り掲載情報)。売り切れ次第終了する場合あり
- 定休日
- 掲載媒体によって不定休・月曜休みの案内があるため、訪問前に公式情報を確認
- 電話
- 049-257-7200
- 看板商品
- お味噌のパン(秩父味噌・餅粉使用)
- 公式サイト
- 川越ベーカリー楽楽
※営業時間は2026年のイベント出店者紹介に掲載された内容です。以前の観光情報には異なる営業時間が残っています。定休日・臨時休業・価格・当日の品ぞろえは、訪問前に公式サイトや公式SNSでご確認ください。
味噌パン一つで、川越の見え方が少し変わる
最初に気になったのは、パンに味噌を入れるという、ちょっと意外な組み合わせでした。
けれども調べてみると、そこには国産小麦へのこだわり、秩父味噌という地域の食材、テレビ出演をきっかけに広がった人気、そして菓子屋横丁という土地の個性が重なっていました。
味噌パンは、単に変わった材料を使ったパンではありませんでした。
楽楽が目指す「小江戸の和パン」という考え方を、開店当初から形にしてきた商品だったのです。
和菓子の街でパンを食べる。
それも、味噌のパンを。
最初は少し不思議に思えた組み合わせが、今ではむしろ川越らしいものに見えてきます。
次に菓子屋横丁を歩いたときは、和菓子だけでなく、パン屋のショーケースも覗いてみたくなりそうです。
パンの次は、菓子屋横丁と川越の街へ
味噌パンから川越の食文化に興味が湧いたら、同じ菓子屋横丁や本川越駅周辺の、もう一つの物語もどうぞ。
参考資料・出典
情報確認日:2026年10月30日。店舗情報・商品情報・過去の発表時点を区別して掲載しています。
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合同会社楽楽|「小江戸の和パン」リブランディングに込めた思い
PR TIMES STORY、2023年9月21日。お味噌のパンの材料、販売実績、テレビ出演の影響、和パン開発の背景。
原文を確認 -
まいぷれ川越|川越ベーカリー楽楽
2026年6月23日。お味噌のパンの素材と店舗所在地。
原文を確認 -
世田谷パン祭り2026|川越ベーカリー楽楽
主催イベントの出店者紹介。創業背景、商品紹介、2026年の営業時間情報。
原文を確認 -
レッツエンジョイ東京|お味噌のパンが絶品「川越ベーカリー楽楽」
2022年の取材記事。40種類以上の品ぞろえや素材へのこだわり。
原文を確認 -
川越観光情報|川越ベーカリー楽楽 インタビュー
店名の由来や創業者の考え方を紹介した取材記事。
原文を確認 -
小江戸川越観光協会|川越ベーカリー楽楽
観光協会掲載の施設情報。所在地・電話番号など。
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