
古民家の中に、カラフルな動物たちが大集合。猫も鳥もナマケモノも、どうやら普通の表情ではありません。ここは2026年9月に誕生した「emo cafe 雑貨店」。でも、なぜこんなに個性的な雑貨のお店が、昔ながらの日本家屋に生まれたのでしょう?
西武線・東村山駅の東口から歩いて約7〜8分。久米川町の古民家「百才(ももとせ)」に、2026年9月14日、新しいお店がオープンしました。
名前は「emo cafe 雑貨店」。
画家・テキスタイル雑貨デザイナーの神谷可奈子さんが手がけるブランド「emoemo(エモエモ)」の作品を扱い、カフェも併設しています。[1]
古民家というと、渋い骨董品や和雑貨を想像しませんか。
ところが、ここで主役を張っているのは、鮮やかな色の動物たち。しかも、ただの「かわいい雑貨屋さん」と考えると、この場所の面白さを少し見落としてしまいます。
手掛かりは、長年続いてきたブランドの歩みと、古民家そのものの過去にありました。
なぜ、カラフルな動物たちが東村山の古民家へ?

まず気になるのは、どうしてこの場所にお店ができたのか、ということ。
実は「emoemo」は、2026年に突然誕生した新しい雑貨ブランドではありません。
神谷さんは画家として活動を続ける一方、自分の絵を使った布製品や雑貨を制作。百貨店の催事や期間限定ショップ、いわゆるポップアップストアなどで商品を届けてきました。
立川や渋谷などでも作品を展開してきたブランドです。[1][2]
つまり、東村山にやって来たのは新しいブランドではなく、すでに活動していたブランドの初めての実店舗だったのです。
では、なぜ常設のお店をつくることにしたのでしょう。
地域情報サイト「まいぷれ」が2026年10月に掲載した取材には、その理由が紹介されています。
催事で作品を気に入ったお客さんから、いつでも商品を見られる実店舗がないかと、たびたび尋ねられていたそうです。
でも、店舗用の物件探しは簡単には進みませんでした。
転機になったのが、古民家「百才」での和紙作家・西村さんの個展。そこで物件を探している話をしたことから、この場所でカフェと雑貨店を始める話につながったといいます。[1]
まさか、常設店への道が、別の作家さんの個展から開けるとは。
百貨店などで作品を届けてきた「emoemo」に、いつでも訪ねられる場所が生まれた。そのきっかけが、東村山の古民家での出会いでした。
そして神谷さんは、高校時代から東村山市に暮らし、地元で制作活動を続けてきた人でもあります。
遠くの観光地ではなく、長く親しんできた東村山に店を構えたわけです。
ここで別の疑問が浮かびます。
新しいお店をつくるなら、ショッピングモールや駅前のビルという選択肢もあります。それなのに、なぜ舞台となったのは「百才」という古民家だったのでしょう。
そもそも「百才」って、築100年の家なの?
この古民家、名前からして気になります。
百才。読み方は「ももとせ」。
もしかすると、築100年のお屋敷だから?
そう考えたくなりますが、答えは少し違います。
「百才」という名前は、母屋と離れ、2つの建物の築年数を合わせて、およそ100年になることから付けられました。[3]
一つの家が100歳なのではなく、二つの家の年齢を足した名前。
家にも合計年齢があったとは。
2019年の取材では、母屋が築60年を超え、離れが築30年ほどの建物として紹介されています。
そして、この2棟はかつて空き家になっていました。
家を残したいという所有者の思いをきっかけに、地元の工務店や関係者が協力。2019年、コミュニティスペースやアトリエ、カフェなどが集まる文化複合施設として再生されたのです。[3][4]
そのコンセプトは「縁ひらく庭」。
建物を残すだけではなく、人と人が出会い、活動を始められる場所にしていく。そんな方向で再生された古民家でした。
先ほど、神谷さんがお店を始めるきっかけになったのも、この場所での作家さんの個展でした。
つまり、百才が人と人をつなぐ場所だったことと、emo cafe 雑貨店の誕生には、実際につながりがあったのです。
ここで最初の印象が少し変わってきます。
古民家にポップな雑貨を並べた、というだけの話ではありません。
古い家を新しい活動の場所に変えてきた「百才」に、もう一つ新しい活動が加わった。
そう考えると、昔ながらの木造家屋とカラフルな動物たちの組み合わせも、少し違って見えてきませんか。
それにしても、この動物たちはなぜこんなに個性的?
お店の背景が分かったところで、今度は肝心の雑貨を見てみましょう。
emoemoの動物たちは、いわゆる整ったかわいらしさとは、ちょっと違います。
猫、鳥、ナマケモノ。色彩は鮮やかで、表情にはユーモアがあります。
すましているような、考えごとをしているような、何とも言えない顔。
かわいいのに、ちょっとクセがある。
その秘密の一つは、もともと画家が手描きした絵を、布や雑貨へと広げていることにあります。
ただ絵を印刷して終わり、ではない
emoemoの公式オンラインショップでは、神谷さんの手描きによるオリジナルのテキスタイルブランドとして紹介されています。
テキスタイルとは、布地や、その模様・デザインなどを指す言葉です。
手刷りのシルクスクリーンなどを使った商品を展開しているのも特徴。シルクスクリーンは、版を使ってインクを布などへ刷る技法です。[5]
そして、作り方だけでなく、細かな遊び心にも注目です。
2026年10月の店舗取材では、猫の柄に小さな鈴が付いている布小物や、ポーチの内側にまで意匠を施す工夫が紹介されていました。[1]
表の絵だけで終わらず、裏側まで楽しい。
こうなると、雑貨選びなのに宝探しのようです。
「emoemo」という名前には、何が隠れている?
さらに面白いのが、ブランド名。
「emoemo」という名前は、神谷さんがフィンランド語で「母」を意味する言葉から着想を得たものだと、本人への取材で紹介されています。
作品を生み出す作り手と、子どものためにものを選び、贈る母親。その双方を重ねて考えた名前なのだそうです。[1]
お店にいる動物たちは、単にカラフルなキャラクターというだけではありません。
一枚の絵から生まれ、布になり、ポーチやバッグになり、誰かの日常へと出かけていく存在です。
百貨店で販売されてきた作品が、今度は作り手の地元に常設のお店を持った。
そう考えると、東村山の古民家に集まった動物たちは、なかなか長い旅をしてきたことになります。
雑貨店なのに、なぜカフェまであるの?
ここまで聞くと、emoemoの作品を見たり買ったりするためのお店だと分かります。
でも、名前は「emo cafe 雑貨店」。
雑貨店とカフェ、両方が主役のような名前です。
実際、店内には畳の間や縁側を生かしたカフェスペースが設けられています。
そして、コーヒーだけでなく、カレーやホットドッグ、焼き菓子、お茶なども提供されています。[1]
雑貨を見に来たのに、カレーまで食べられる。
動物たちを眺めて終わるつもりが、思いのほかゆっくり過ごせそうです。
カフェを加えた理由は、単なる飲食サービスではなかった
神谷さんへの取材では、創作活動を長く続けていくために、雑貨の販売とカフェを組み合わせるという考え方が紹介されています。
作品をつくって売るだけでなく、訪れた人に時間そのものを楽しんでもらう。
新しいお店には、そんな役割もあるようです。[1]
そして、神谷さんがこの場所に望んでいるのは、家事や仕事などの役割から少し離れ、訪れた人が自分のペースで過ごせること。
雑貨を見る。気に入ったものを手に取る。お茶を飲む。あるいは何もしない。
何かを買わなければ、と急ぐ必要のない時間も大切にしたいという思いが、取材から伝わってきます。
ここで、古民家という場所の意味がもう一度浮かび上がってきます。
畳や縁側のある家だからこそ、ただ商品を並べるだけではなく、ゆっくり腰を落ち着けて過ごす空間にもできる。
「百才」の持つ昔ながらのつくりが、emoemoの新しい挑戦を支える役割も果たしているわけです。
ここは雑貨を売るだけのお店ではなく、アートに触れ、飲み物や食事を楽しみながら、自分の時間を過ごせる場所。カフェと雑貨店を組み合わせた理由も、そこにつながっています。
何が買える? カフェでは何が楽しめる?

では、実際に訪れたら何を楽しめるのでしょう。
まず雑貨は、猫や鳥などをモチーフにしたバッグ、ポーチ、衣類、布小物、イラスト作品など。
身につけるものから、家で使うもの、贈り物にできそうなものまで、幅広い商品が紹介されています。[1]
オンラインショップでも、ファッション雑貨や生活雑貨、テキスタイル、絵本、ぬいぐるみなどを扱っています。
ただし、オンラインショップにある商品がすべて実店舗にも並ぶとは限りません。欲しいものが決まっている場合は、事前に確認すると安心です。[5]
カフェのメニューと価格の目安
2026年10月25日更新の地域メディア取材では、次のようなメニューが紹介されています。
フルーティーカレープレートとスパイシーカレーは各1,375円、ホットドッグは750円、コーヒーとミニケーキのデザートセットは1,200円。いずれも取材時の税込価格です。[1]
また、お茶のメニューもあり、カフェ目的で立ち寄る楽しみもあります。
※メニューや価格、提供状況は変更されることがあります。掲載価格は2026年10月の取材情報です。
emo cafe 雑貨店はどこ? 東村山駅からの行き方
お店があるのは、東村山市久米川町4丁目。古民家「百才」の母屋です。
最寄りは西武新宿線・国分寺線・西武園線の東村山駅。東口から徒歩約7〜8分です。[1][6]
百才は、府中街道沿いの天王森不動尊の近くにあります。
普通の店舗ビルを探すのではなく、古い日本家屋が残る一角を目指すと、場所の特徴が分かりやすいでしょう。
- 店名
- emo cafe 雑貨店
- オープン日
- 2026年9月14日(月)
- 所在地
- 東京都東村山市久米川町4-46-1
- 建物
- 縁ひらく庭 百才(ももとせ)母屋
- 最寄駅
- 西武線・東村山駅 東口
- 徒歩
- 約7〜8分
- 営業時間
- 11:00〜18:00
- 定休日
- 水曜日・不定休あり
- 主な内容
- emoemoの雑貨・アート作品販売、カフェ
- 公式SNS
- 神谷可奈子さんのInstagram
- 公式通販
- emoemo オンラインショップ
営業情報は2026年10月28日確認時点のものです。不定休や営業時間の変更があるため、訪問前に公式SNSなどで最新の案内を確認してください。
古い家に集まった動物たち。その意味が少し変わって見える
最初は、ちょっと不思議な組み合わせに見えました。
昔ながらの古民家に、鮮やかな色の猫や鳥、ナマケモノ。
でも、調べてみると、いくつもの話が重なっていました。
百貨店などで作品を届けてきた画家が、地元に初めての実店舗を持つことになった。
そのきっかけは、古民家での作家同士の出会い。
そして、その古民家自体も、かつての空き家を人々の活動の場所へと生まれ変わらせた建物でした。
新しい建物をつくる代わりに、古い建物へ新しい役割を加える。
絵を飾るだけでなく、布やバッグ、日々使う雑貨に変えていく。
やっていることは違っても、どちらも今あるものに、新しい楽しみ方を見つけるという点で重なって見えます。
「百才」という名前の家にやって来た、カラフルな動物たち。
次にこの古民家の前を通ったら、単にかわいい雑貨のお店ではなく、昔からの家に新しい物語が一つ加わった場所として見えるかもしれません。
参考資料・情報確認日
本文は公開資料と取材記事を基に構成しています。ekirip編集部による店舗への独自取材・実地訪問を示すものではありません。情報確認日:2026年10月28日。
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まいぷれ 東村山市・小平市・東大和市
「東村山の古民家に『emo cafe 雑貨店』がオープン!」
2026年10月25日更新。開店日、店舗情報、神谷可奈子さんへの取材、商品、カフェメニュー、出店の経緯を参照。
https://higashimurayama.mypl.net/article/newopen_higashimurayama/113541
確認日:2026年10月28日 -
立川経済新聞
「ルミネ立川に『emoemo』限定店 画家・神谷可奈子さんの布雑貨販売」
2026年4月20日公開。ブランドの展開や作品の特徴を参照。
https://tachikawa.keizai.biz/headline/4172/
確認日:2026年10月28日 -
タウンファクトリー(一級建築士事務所)
「日本家屋の文化複合施設 百才 東村山市」
2020年2月15日公開。百才の名称、建物の特徴、再生の経緯を参照。
https://www.townfactory.jp/news/2025.html
確認日:2026年10月28日 -
リンジン
「縁を紡ぐ久米川町46番地の庭」
2019年9月26日公開。百才の家主や再生関係者への取材、建物の過去と再生の背景を参照。
https://rinzine.com/article/momotose/
確認日:2026年10月28日 -
emoemo 公式オンラインショップ
「ABOUT」「商品一覧」
ブランド運営者による説明、商品カテゴリ、制作技法を参照。
https://emoemozakka.buyshop.jp/about
確認日:2026年10月28日 -
西武鉄道|西武ニュース fillute
「百才(ももとせ)」
2023年6月取材。所在地、東村山駅からのアクセス、文化複合施設としての特徴を参照。施設内の出店構成は取材当時の情報であり、2026年現在の構成とは区別しています。
https://www.seiburailway.jp/railways/fillute/experience/202306-03/
確認日:2026年10月28日
