東村山駅は今どう変わっている?志村けんと東村山音頭、高架化工事が交差する街
「東村山」と聞いて、まず志村けんさんの「東村山音頭」を思い浮かべる人は少なくないはずです。 その一方、現在の東村山駅へ行くと目に入るのは、巨大な橋脚、高架ホーム、仮設線路、そして駅の上空を覆うように広がる工事現場。 昭和のテレビから全国へ広がった街が、今まさに駅そのものを大きく作り替えている途中です。
東村山駅付近では、西武新宿線・国分寺線・西武園線の約4.5kmを高架化する連続立体交差事業が進行しています。 2025年6月29日には新宿線下り線がひと足先に高架へ切り替わり、2026年8月現在も新宿線上り線、国分寺線、西武園線、高架駅コンコースなどの工事が続いています。
点数ではなく、この場所の特徴を6方向の感覚で表しています。
交通の便利さ
新宿線・国分寺線・西武園線が集まる主要駅
日常の買い物
約4.5kmに及ぶ高架化事業が進行中
外食・カフェ
志村けんさんと東村山音頭の街として全国的な知名度がある
子育て環境
東口には志村けんさんの銅像や記念樹がある
自然・散歩
工事中のため駅周辺の動線は時期により変わる
地域のにぎわい
踏切遮断時間や府中街道の渋滞に改善効果が確認されている
#01|WHAT IS?
そもそも、なぜ「東村山」は全国に知られるようになった?
東村山市出身の志村けんさんは、テレビ番組の中で「東村山音頭」をアレンジして披露し、東村山という地名を全国へ広めました。 東村山市自身も、志村さんが「東村山音頭」などを通じて市の名前を全国に広めた功績を公式に紹介しています。
ポイントは、東村山音頭そのものが志村さんによってゼロから作られた曲ではないこと。 東村山市にはもともとの「東村山音頭」があり、志村さんがテレビ向けにアレンジして披露したことで、一気に全国的な知名度を持つようになりました。
ご当地ソングは全国にありますが、街の名前そのものがテレビのお茶の間で繰り返され、世代を超えて記憶されるケースはかなり特殊です。 「東村山」という4文字は、市外の人にとっても“聞いたことのある東京の街”になりました。
その記憶が現在も駅前に残っているのが、東口の志村けんさんの銅像や「志村けんの木」。 昭和・平成のテレビ文化の記憶と、令和の巨大インフラ工事を同じ駅前で見られるのが、今の東村山のおもしろさです。
東村山駅では「東村山音頭」が発車メロディになったことも
西武鉄道は2020年、志村さんへの感謝を込め、東村山駅1・2番ホームの発車メロディとして「東村山音頭」を復活させました。 西武鉄道も、志村さんがテレビ番組内でアレンジして披露したことで曲が有名になったと紹介しています。
#02|BY THE NUMBERS
東村山駅の高架化工事は、どれくらい巨大なの?
現在進んでいるのは「西武鉄道新宿線、国分寺線及び西武園線(東村山駅付近)連続立体交差事業」。 東京都が事業主体となり、東村山市と西武鉄道が連携して進めています。
| 対象路線 | 西武新宿線・国分寺線・西武園線 |
|---|---|
| 事業延長 | 約4.5km 新宿線 約2.3km/国分寺線 約0.8km/西武園線 約1.4km |
| 構造 | 高架方式 |
| 解消予定の踏切 | 5か所 |
| 都市計画決定 | 2012年10月2日 |
| 都市高速鉄道事業の事業期間 | 2029年3月31日まで |
| 鉄道付属街路事業の事業期間 | 2031年3月31日まで |
駅だけを建て替えているのではありません。 久米川駅側から東村山駅を通り、所沢・西武園方面まで線路そのものを持ち上げながら、駅施設や周辺道路も組み替えていく大規模な都市計画です。
現地で「駅がずっと工事中だな」と感じるのは当然。ホーム1本を造り直す工事ではなく、3路線が絡む鉄道ジャンクションそのものを段階的に高架へ載せ替えている途中です。
#03|NOW
2026年8月現在、どこまで高架化した?
最も大きな節目のひとつが、2025年6月29日の西武新宿線下り線高架化でした。 本川越・所沢方面へ向かう下り列車が、新しい高架線と高架ホームを走り始めています。
ただし、これで東村山駅の高架化が完成したわけではありません。 西武鉄道が2026年8月1日に公開した最新の工事進捗では、駅の南北で新宿線上り線の高架橋を建設中。さらに国分寺線、西武園線の高架橋、東村山駅の上りホーム側コンコースも構築が進められています。
#04|WHY?
なぜ東村山駅では、こんな大工事が必要だった?
最大の理由は、線路と道路が同じ高さで交差する「踏切」です。 東村山駅周辺は新宿線だけでなく、国分寺線、西武園線まで集まる場所。列車本数が多い一方、周辺道路側から見ると線路が街を横切るため、踏切待ちや交通渋滞が起きやすい構造になっていました。
連続立体交差事業では鉄道を高架へ上げることで、最終的に5か所の踏切を解消する計画です。 「電車を便利にする工事」というより、鉄道と道路を上下に分離し、街全体の移動を組み替える工事と考えると分かりやすいでしょう。
すでに府中街道では渋滞緩和の効果も
東京都が2026年3月に公表した調査では、新宿線下り線の高架化後、周辺4か所の踏切で遮断時間が約3割減少。 さらに府中街道の踏切では、渋滞長が約6割減少し、久米川町四丁目交差点から八坂交差点までの所要時間も約3割減少したとされています。
#05|DEEP GUIDE
東村山駅が難しいのは「3路線が集まる駅」だから
東村山駅を巨大工事にしているポイントのひとつが、線路の多さです。 ここには西武新宿線だけでなく、国分寺方面へ向かう国分寺線、西武園方面へ向かう西武園線が集まります。
列車を止めて一気に造り替えることはできないため、普段の運行を続けながら仮線へ切り替え、高架橋を造り、新しい線路へ移し、空いた場所で次の工事を進める——という工程を繰り返します。
完成後は高架駅として自然な景色になってしまう場所も、工事中の今なら「地上を走る仮線」「すでに完成した高架線」「これから線路が載る高架橋」が同時に存在します。
鉄道好きでなくても、ひとつの駅が段階的に上空へ持ち上がっていく過程を目で追える期間は限定的。 数年後に同じ場所を歩けば、風景の変化がかなり大きく感じられそうです。
#06|LOCAL MEMORY
駅前では今も志村けんさんに会える
東村山駅東口ロータリーには、志村けんさんの銅像があります。 和装姿で代表的な「アイーン」のポーズをとる像で、背後には志村さんにゆかりのある写真を使ったモザイクアートも設置されています。
銅像は2021年6月に完成。 東村山市の公式観光ガイドでも、東村山駅東口を代表するスポットとして紹介されています。
さらに駅前には、市の木であるケヤキ3本を植樹した「志村けんの木」もあります。 東村山市は、志村さんが東村山音頭などを通じて街の名前を全国に広めたことを記念して紹介しています。
駅周辺は高架化工事中です。工事柵や仮設動線があるため、銅像や駅周辺を見て歩く際は案内表示に従い、工事区画へ立ち入らないようにしましょう。
SOCIAL VOICES
写真や動画で見ると、街の変化がもっと分かる
#07|HALF DAY WALK
東村山駅へ行くなら、工事だけ見て帰るのはもったいない
東村山駅を目的に訪れるなら、まず東口で志村けんさんの銅像と「志村けんの木」を確認し、そのあと駅周辺から高架橋を眺めるのが分かりやすい流れです。 駅そのものが工事中なので、遠くへ移動しなくても“昔の東村山”と“これからの東村山”を続けて見ることができます。
QUESTION
東村山駅の高架化で気になること
銅像の向こうにクレーンが見え、高架を電車が走り、その隣では次の橋脚が造られている。完成後には見られなくなる、“街が変わる途中”そのものが、2026年の東村山駅の風景です。
