
「ピックルボール」という、ちょっと不思議な名前のスポーツ。
ピックルと聞けば、思い浮かぶのはピクルス。あの野菜の漬物でしょうか。
ところが、テレビで紹介されたその競技を見てみると、手に持っているのはラケットのような道具。使うのは穴の開いたボールです。
しかも、東京都豊島区の東池袋には、このスポーツのために造られた大型施設があります。
名前は「Sansanピックルボールコート池袋」。
2026年10月25日(日)、TBSの番組『TBSレビュー』でも、この施設と11月13日のプロリーグ開幕戦が紹介されました。 [1] [2]
ここで、一つ気になることがあります。
初めてでも遊びやすいといわれるスポーツが、なぜ池袋で国際大会を開くほどの競技になったのでしょうか。
調べていくと、意外にも名刺管理などのサービスで知られるIT企業、そしてテレビ局まで登場します。
ボール一つから、ずいぶん大きな話になってきました。
池袋のコートは、初心者が体験できるスポーツ施設であり、プロの国際大会も開かれる場所です。
2026年11月13日(金)には「MLP Asia 2026」の開幕戦が予定されています。
会場は東池袋駅から徒歩約3分、池袋駅から徒歩約10分。初心者向け体験会は公式料金で1回4,000円(税込)です。 [3] [4] [5]
そもそもピックルボールって何? テニスとは違うの?

まずは、この不思議なスポーツの正体から。
ピックルボールは、1965年にアメリカで生まれました。テニス、卓球、バドミントンなどの要素を組み合わせたラケットスポーツです。
コートの大きさはバドミントンと同じ。卓球のラケットを少し大きくしたような「パドル」で、穴の開いたプラスチック製のボールを打ち合います。 [6]
見た目は小さなテニスのようですが、使う道具もボールの弾み方も違います。
もともとは、アメリカのベインブリッジ島で、家族が楽しめる遊びとして考案されたもの。
最初から大きな競技場やプロリーグを目指して作られたわけではありません。
なんと、出発点は家族の遊びだったのです。
では「ピックル」という名前はどこから来た?
名前の由来には複数の説があります。
ピックルボール日本連盟の歴史解説では、考案者の妻がボート競技の「ピクルボート」という言葉から着想を得たという説が有力とされています。
ピクルボートとは、さまざまなチームの選手が集まって構成された混成艇のこと。
複数のスポーツの特徴を組み合わせたピックルボールに、ぴったりの名前だったという説明です。 [6]
一方、考案者の家族が飼っていた犬「ピックルズ」に由来するという説も有名です。
ただし、連盟の解説では犬が家族に加わったのは競技誕生から3年後の1968年とされ、ボート競技由来の説を支持しています。
少なくとも、野菜のピクルスをボールにしたわけではなさそうです。
しかし、この競技が面白いのは、名前だけではありません。
家族向けの遊びが、なぜプロも夢中になる競技に発展したのでしょう。
強く打てば勝ち、ではない? コートにある「キッチン」の秘密
ピックルボールには「キッチン」と呼ばれる場所があります。
もちろん、試合中に料理をするわけではありません。
キッチンとは、ネットの両側に設けられた「ノンボレーゾーン」の通称です。
ボレーとは、ボールが地面に落ちる前に打つこと。このキッチン内では、ボレーが禁止されています。 [7]
ネット近くのキッチンでは、ノーバウンドでボールを打てません。
ただし、ボールが一度地面に弾んでから打つ場合は、キッチンに入ってプレーできます。
このルールがあることで、ネットの近くに立ち、ひたすら強いボールを打ち続けるだけでは勝てません。
相手が強打しにくい位置にそっとボールを落とす。打つ方向を工夫する。相手の動きを読む。
パワーだけでなく、駆け引きが重要になります。
さらに、サーブの直後には、両チームが一度ずつボールをバウンドさせて返球しなければならない「ツーバウンドルール」もあります。
サーブから一気にネットへ詰めて、すぐにボレーで決めることができない仕組みです。 [7]
つまり、始めやすいことと、勝つのが簡単なことは別。
初心者でもラリーを楽しみやすい一方で、上級者には戦術を考える面白さがあるのです。
そして、もう一つ注目したいのが、ダブルスでのプレーです。
2人で協力して打ち合い、相手チームともラリーを続ける。自然と人同士のやり取りが生まれます。
実は、この「人と人がつながる」という特徴に注目した企業がありました。
なぜ名刺管理のSansanが、スポーツ施設を作ったの?

池袋の施設名にある「Sansan」。
企業向けの名刺管理サービスなどで知られるSansan株式会社です。
ラケットを製造している会社でも、昔からスポーツジムを経営していた会社でもありません。
では、なぜピックルボールなのでしょうか。
その手掛かりは、Sansanが掲げる企業理念にあります。
Sansanは、仕事における人と人のつながりを重要視している企業です。
一方、ピックルボールも、年齢や経験に関係なく一緒に楽しみやすく、初対面の人との交流が生まれるスポーツです。
この共通点にSansanが着目しました。
同社は2024年から国内での普及活動を進め、体験イベントや企業交流会などを開催。2026年4月にはピックルボール関連企業への出資も発表しています。 [8]
名刺を交換する代わりに、ラケットを持って同じコートに立ってみる。
もちろん名刺交換とスポーツは別の行為ですが、初対面の緊張をほぐすという意味では共通点があります。
ピックルボールを単なる運動ではなく、人と人が出会うきっかけとして活用しようとしているわけです。
なるほど。スポーツ用品メーカーではないSansanが、コートを作った理由が少し見えてきました。
しかし、東京にはたくさんの街があります。
なぜ選ばれた場所が池袋だったのでしょうか。
なぜ池袋? 7面のコートができた理由
Sansanピックルボールコート池袋は、2026年7月10日にオープンしました。
一般利用が始まったのは翌11日です。
開業時の施設には、4階にインドアコート3面、6階にアウトドアコート4面、合計7面の専用コートが設けられました。
5階にはラウンジや更衣室、シャワーなども備えています。 [9]
都心のビルの中に、スポーツコートが7面。
かなり大胆な空間の使い方です。
Sansanの開設発表によると、背景には国内でピックルボールの競技人口が増える一方、専用コートが不足しているという課題がありました。
そこで、大型の専用施設を整備することで、初心者から競技者まで利用しやすい環境を作ろうとしたのです。 [10]
池袋が選ばれた理由は「人が集まる街」だから
同社が開設理由として挙げているのが、池袋の交通利便性と、多様な人が集まる街としての特徴です。
池袋駅には西武池袋線のほか、JRや東京メトロ、東武東上線などが乗り入れています。
仕事や学校の帰り、あるいは買い物のついでに立ち寄りやすい。
しかも施設は、池袋駅から徒歩約10分、東池袋駅から徒歩約3分という立地です。 [5]
Sansanが重視しているのは、多くの人が利用できるだけでなく、異なる背景を持つ人同士が出会えること。
人が集まる池袋という場所は、その考え方と相性がよかったのです。
しかも、もう拡張が決まっている
2026年7月の開業発表では、予約開始から約1カ月で予約数が1,800件を超えたことも明らかにされました。 [9]
さらに、2026年11月15日(日)には、新たに3階フロアを加えた拡大オープンが予定されています。
新設されるのは、フルサイズのインドアコート3面とハーフコート1面。
計画どおりに拡張されれば、既存の7面と合わせて合計11面になります。 [11]
2026年10月27日時点では、拡張はまだ予定段階です。
それにしても、開業から数カ月で増設予定とは、早い展開です。
そして、拡張予定日のわずか2日前には、この施設で国際大会が始まります。
ここで、10月25日のTBSの放送につながります。
なぜTBSが注目? 実はテレビ局自身もプロチームを作っていた
2026年10月25日(日)の『TBSレビュー』では、「スポーツ競技を育てる取り組み」がテーマになりました。
番組にはピックルボール選手の畠山成冴さんや、TBSのスポーツ局関係者がゲストとして登場。
ピックルボールの魅力や事業展開が取り上げられました。 [1]
番組の放送内容記録には、豊洲、銀座新橋、渋谷などのピックルボール施設とともに、池袋で11月13日に開催されるリーグ開幕戦への言及が記載されています。 [2]
しかし、TBSとピックルボールの関係は、スポーツを紹介するだけではありません。
2026年10月5日、TBSホールディングスと電通グループは、プロピックルボールチーム「THE DOTS TOKYO」の共同設立を発表しています。
さらに両社は、2026年11月に開幕するアジアのプロリーグ「MLP Asia 2026」の日本ラウンドの運営も担います。 [3]
つまり、TBSはピックルボールを取材・紹介するテレビ局であると同時に、この競技のプロチームや大会運営にも関わっているのです。
早朝のテレビ番組で紹介された池袋の施設。
その先にあるのは、単なる新しいスポーツ施設の話ではなく、プロスポーツとしての新たな市場づくりでした。
11月13日、池袋からアジアリーグが開幕! 何が見られる?

2026年11月13日(金)に開幕するのが、「MLP Asia 2026」です。
MLPは、アメリカ発祥のプロリーグ「Major League Pickleball」の略称。
アジア版となる今回のリーグには、日本、中国、フィリピン、ベトナム、香港、マレーシアの6チームが参加します。 [3]
開幕戦の会場が、Sansanピックルボールコート池袋です。
MLP Asia 2026 Group stage Week 1
- 会場
- Sansanピックルボールコート池袋
- 開場
- 17:00
- 第1試合
-
18:00〜
THE DOTS TOKYO(日本)
対 Manila Helios(フィリピン) - 第2試合
-
19:30〜
THE DOTS TOKYO(日本)
対 Malayan Stripes(マレーシア) - コートサイド席
- 3,000円(税込・自由席)
- 立見エリア
- 1,000円(税込)
- 観戦条件
- 入場には観戦チケットが必要
※2026年10月27日確認の開催予定です。第2試合の開始時刻は第1試合の進行により変更される場合があります。最新の販売状況・入場条件は公式チケットページをご確認ください。
リーグは男子ダブルス、女子ダブルス、混合ダブルスによるチーム対抗戦で行われます。 [4]
個人で勝つだけでなく、チームとしてどう戦うかも見どころです。
先ほど紹介した「キッチン」や、強打だけでは決められない駆け引きを思い出すと、試合を見る目も少し変わりそうです。
ボールの速さだけでなく、ネット近くの小さな動きにも注目してみたいところです。
テレビを見て気になったら、初心者でも池袋で体験できる?
ここまで読んで、「プロの試合も面白そうだけど、一度自分でもやってみたい」と思った人もいるかもしれません。
Sansanピックルボールコート池袋には、未経験者向けの体験会が用意されています。
公式の体験会料金は、1回4,000円(税込)。
パドルの握り方やラリーの基本をインストラクターから教わる形式です。 [12]
参加するには、公式サイトで会員登録を行い、希望する日時の体験会を予約します。
当日は予約時間の15分前を目安に来場するよう案内されています。
一人でも参加できる?
一人で参加したい人には、「オープンプレー」という選択肢もあります。
これは、その場に集まった参加者同士でゲームを楽しむ形式です。
公式料金では、早朝6:00〜9:00のオープンプレーが1回3,300円(税込)と案内されています。 [12]
ただし、オープンプレーは集まった人と試合を楽しむ形式のため、まったく初めてなら、基礎を教わる体験会を先に選ぶと参加しやすいでしょう。
友達とコートを借りるなら?
コートレンタルにも対応しています。
フルサイズのインドアコートは平日昼間で1時間5,500円、アウトドアコートは平日昼間で1時間3,300円から。
こちらは1人あたりの体験会料金ではなく、コート1面を1時間借りる料金です。曜日・時間帯によって変わります。 [12]
家族や友達と利用する場合は、コートレンタルという方法もあります。
なお、施設には用具のレンタルサービスがありますが、使用できるシューズの種類には制限があります。
一般的なランニングシューズなど、使用できない靴もあるため、初めて訪れる場合は事前に確認しておきましょう。
- 施設名
- Sansanピックルボールコート池袋
- 所在地
-
東京都豊島区東池袋4-27-10
サンソウゴ池袋ビル - アクセス
-
西武池袋線ほか「池袋駅」徒歩約10分
東京メトロ有楽町線「東池袋駅」徒歩約3分 - インドア
- 6:00〜23:00
- アウトドア
- 9:00〜21:00
- 定休日
- 年中無休(時短営業日あり)
- 初心者体験会
- 1回4,000円(税込)
- コートレンタル
-
インドア・フルコート 5,500円〜/時間
アウトドア 3,300円〜/時間 - 予約
- 原則事前予約制。公式サイトから申込
- 専用駐車場
- なし
※料金は2026年10月27日確認の公式掲載額です。体験会・レッスンは内容によって料金が異なる場合があります。営業日・利用条件・空き状況は予約前にご確認ください。
池袋の青いコートは、ただのスポーツ施設ではなかった
最初に「ピックルボール」という名前を聞いたとき、少し変わったスポーツだと思ったかもしれません。
テニスのような見た目なのに、使うのは穴の開いたボール。ネットのそばには「キッチン」という、料理とは関係のないエリアまであります。
しかし、ルールを調べてみると、家族で楽しめる遊びとして生まれた背景が見えてきました。
さらに、人同士の交流を大切にするSansanが注目し、多様な人が集まる池袋に専用コートが作られました。
そして、2026年11月13日には、その同じ場所にアジアのプロチームが集まります。
初心者がラケットを握るコートと、プロが国際大会を戦うコート。
その二つが、同じ池袋のビルの中につながっているのです。
TBSの放送で紹介された「Sansanピックルボールコート池袋」。
あの青いコートは、まだ知らない人と出会う場所であり、これから世界へ挑戦する選手たちの舞台でもある。
そう知ると、いつもの池袋のビルが、少し違った場所に見えてきます。
参考資料・出典
-
TBSテレビ|『TBSレビュー』2026年10月25日放送案内。放送日時・番組テーマ・出演者。
https://www.tbs.co.jp/tv/20261025_C25C.html -
TVでた蔵|『TBSレビュー』2026年10月25日放送内容記録。池袋の施設とMLPアジアリーグへの言及。
https://datazoo.jp/tv/TBSレビュー/1901473 -
TBS INNOVATION LAND|TBSと電通グループによる「THE DOTS TOKYO」設立、MLP Asia 2026参戦発表。2026年10月5日。
https://innovation.tbs.co.jp/neo_report/1226/ -
TBSチケット|MLP Asia 2026 Group stage Week 1。11月13日の対戦カード、試合時間、チケット料金。
https://tickets.tbs.co.jp/pickleball-asia2026/ -
Sansanピックルボールコート池袋|公式アクセス案内。所在地・営業時間・最寄駅からの徒歩時間。
https://sansan-pickleball.com/access/ -
Pickleball Japan(ピックルボール日本連盟)|ピックルボールの歴史。1965年の誕生と名前の由来。
https://japanpickleball.org/pickleball/history/ -
ピックルボール日本連盟|ピックルボールの基本ルール。ノンボレーゾーン・ツーバウンドルールの解説。
https://www.pickleball-japan.org/rule -
Sansan株式会社|ピックルボールワン社への出資および競技普及とビジネス交流の狙い。2026年4月7日。
https://jp.corp-sansan.com/news/2026/0407.html -
Sansan株式会社|「Sansanピックルボールコート池袋」開業発表。2026年7月10日。施設構成・予約数など。
https://jp.corp-sansan.com/news/2026/0710_01.html -
Sansan株式会社|大型ピックルボール専用施設開設の背景と狙い。2026年1月28日。コート不足・池袋選定理由。
https://jp.corp-sansan.com/news/2026/0128.html -
Sansan株式会社|2026年11月15日拡大オープン予定の発表。2026年9月30日。
https://jp.corp-sansan.com/news/2026/0930.html -
Sansanピックルボールコート池袋|公式料金表・初心者向け利用案内。
https://sansan-pickleball.com/pricing/
https://sansan-pickleball.com/guide/
最終情報確認日:2026年10月27日
放送内容はTBSの番組案内および公開された放送内容記録で照合。施設・大会・料金については主催者、施設運営者、関連団体の公開資料を参照しています。
※放送映像自体の直接確認や現地取材を行った記事ではありません。大会予定・料金・営業時間は今後変更される場合があります。