
西武新宿線の東伏見駅。南口を出てすぐの場所に、少し意外な施設があります。
ダイドードリンコアイスアリーナ。
飲み物の名前が付いた、立派なスケート場です。
しかも、ただの冬の遊び場ではありません。フィギュアスケートやアイスホッケーの大会が行われ、最大3,500人もの観客を収容できる本格的な屋内施設なのです。
でも、どうしてこんな施設が駅前にあるのでしょう。
調べてみると、最初の手掛かりは意外な日付にありました。
開業日は1984年8月10日。真夏です。[1]
真夏に生まれた氷のアリーナ。その歩みをたどると、東伏見という街のもう一つの顔が見えてきます。
なぜスケート場が、真夏の8月に開業した?

スケートといえば冬。そんな印象があります。
ところが、西武グループの公式資料に記録されている開業日は、1984年8月10日。
しかも当時の名前は、現在のような長い名前ではなく「東伏見アイスアリーナ」でした。[1]
8月10日といえば、夏休みの真ん中です。
氷が恋しくなる季節ではありますが、普通に考えれば、スケート場のオープンとしては少し意外です。
ここに、この施設を理解する大切な手掛かりがあります。
東伏見アイスアリーナは、屋内で一年を通して利用できるスケート施設なのです。現在も大会や貸切利用だけでなく、日程に応じて一般滑走が行われています。[2]
つまり、夏だから営業できない施設ではありません。
暑い季節でも氷の上に立てる。それが、屋内型アイスアリーナの大きな特徴です。
東伏見アイスアリーナが開業。現在のダイドードリンコアイスアリーナへと続く歴史が、真夏に始まりました。
ただし、なぜ開業日を8月10日に設定したのか、その具体的な決定理由までは今回確認した公式資料から断定できません。
確かなのは、開業から40年以上がたった現在も、この場所で季節を問わず氷上スポーツを楽しめるということ。
そこで次に気になるのが、リンクそのものの大きさです。
駅前の施設なのに、最大3,500人も入れる?

東伏見駅南口から徒歩約1分。
そんな駅前にあるため、小さな街のスケート場を想像する人もいるかもしれません。
ところが、公式サイトにある施設の数字を見てみると、その印象が変わります。
氷の広さは60メートル×30メートル。面積にすると1,800平方メートルです。
さらに観客席を備え、最大3,500人を収容できると案内されています。[3]
駅のすぐ隣にあるのは、ちょっとした氷の遊び場ではなく、大会やショーも開催できるアリーナだったのです。
3,500人。
駅前の建物を眺めているだけでは、なかなか想像しにくい人数です。
この規模だからこそ、用途も幅広くなります。
フィギュアスケートの大会、アイスホッケーの試合、アイスショー。そして、一般の人が楽しむスケート。
氷の上を何人もが滑る日もあれば、観客席から競技を見守る日もある。同じリンクが、異なる役割を担っているわけです。
では、なぜそんな本格施設に、飲料メーカーの名前が付いているのでしょう。
そもそも、なぜ「ダイドードリンコ」という名前?

「ダイドードリンコアイスアリーナ」という名前。
冷静に考えてみると、ずいぶん独特です。
アイスアリーナなのに、名前の最初に来るのは飲み物の会社。
実は、ここにも施設の歴史が隠れています。
この施設は最初からダイドードリンコアイスアリーナと呼ばれていたわけではありません。
1984年の開業時は「東伏見アイスアリーナ」。その後「サントリー東伏見アイスアリーナ」という名称を経て、2006年から現在の名称が使われています。[4]
| 時期 | 施設の呼び名 |
|---|---|
| 1984年開業時 | 東伏見アイスアリーナ |
| 1997年から | サントリー東伏見アイスアリーナ |
| 2006年から | ダイドードリンコアイスアリーナ |
名称の変遷は施設に関する辞典資料などを照合。施設そのものが各時期に新設されたという意味ではありません。
仕組みは「ネーミングライツ」、日本語では施設命名権と呼ばれるものです。
企業が施設の名称に自社名などを付ける権利を取得し、その名前が一定の契約条件のもとで使用されます。
つまり、ダイドードリンコという名前は、施設が飲料工場だったからでも、氷を飲料メーカーが作っているからでもありません。
同じ施設が、時代によって違う企業の名前をまとってきた。
そう考えると、この長い名前も単なる看板ではなく、施設が歩んできた時間の一部に見えてきます。
では、名前が変わっても、この場所で続いてきたものは何だったのでしょう。
氷の上で続いてきた、もう一つの東伏見の日常

東伏見アイスアリーナの歴史は、西武グループが長年取り組んできた氷上スポーツとも重なります。
西武グループの公式年表には、1984年の東伏見アイスアリーナ開業に続いて、1990年に新横浜プリンスホテルのスケートセンター、1993年に東大和スケートセンターが開業したことが記録されています。[1]
東伏見は、その流れの中でも比較的早い時期に誕生した施設だったのです。
そして現在、公式サイトのスケジュールを見ると、リンクの役割がよく分かります。
2026年10月の予定には、一般滑走だけでなく「エイワ杯2026年度関東大学アイスホッケーリーグ戦」などの大会が掲載されています。[2]
大学生たちが真剣勝負を繰り広げる場所。
一方で、初めてスケート靴を履く子どもが氷の上に立つ場所でもあります。
同じ60メートル×30メートルのリンクなのに、そこに立つ人によってまったく違う世界になる。
これは、なかなか面白い施設です。
ちなみに公式サイトには、フィギュアスケート教室や、ジュニアアイスホッケークラブ「西武ホワイトベアーズ」の案内も掲載されています。
競技を観る場所であり、競技を始める場所でもある。アリーナという名前の中には、観客席だけでは見えない日常もあるのです。
試合会場なのに、普通の人も滑れるの?

ここまで読むと、少し敷居が高く感じるかもしれません。
本格的な競技場、最大3,500人収容、アイスホッケーの大会。
スケート経験がない人には、縁遠い施設のようにも見えます。
ところが、答えは意外と身近です。
ダイドードリンコアイスアリーナでは、一般滑走の時間に普通の利用者もスケートを楽しめます。[5]
レンタルシューズがあり、自分のスケート靴を持っていなくても利用できる仕組みです。
公式料金案内には、次の金額が掲載されています。
| 利用内容 | 料金(税込) |
|---|---|
| 一般滑走・おとな | 1,600円 |
| 一般滑走・こども(中学生以下) | 800円 |
| レンタルシューズ・おとな | 600円 |
| レンタルシューズ・こども | 400円 |
| おとな付添料(滑走なし) | 500円 |
| ヘルメット・肘当て・膝当て | 無料貸出(数量限定) |
2026年10月27日に確認した施設公式の一般滑走料金ページの表示額です。西武鉄道の別の観光案内には異なる料金も掲載されているため、実際の利用前に施設へ最新料金をご確認ください。
公式ページの掲載額をもとにすると、貸靴を借りる場合、おとなは合計2,200円、中学生以下のこどもは1,200円です。
SEIBU PRINCE CLUB会員向けの滑走料金割引も案内されています。適用条件は公式ページで確認してください。
ただし、一般滑走は毎日同じ時刻に行われるわけではありません。
大会や貸切営業の日は一般滑走がお休みになることがあります。
つまり、駅まで行けば必ず滑れるというわけではないのです。
出発前に公式サイトの営業カレンダーを確認すること。これが、もっとも大切な準備です。
初めて滑るなら、何を持っていけばいい?
意外と重要なのが手袋です。
一般滑走では手袋の着用が必須とされています。また、安全のため、後ろ向き滑走、ジグザグ滑走、滑走しながらの撮影などは禁止されています。[5]
服装は、動きやすい長ズボンと防寒できる上着が基本。氷の上は屋外の季節とは違うため、暑い日でも防寒を考えておきたいところです。
転倒への備えとして、無料貸出のヘルメットやプロテクターを利用する方法もあります。ただし数量には限りがあります。
最初から上手に滑ろうとする必要はありません。
まずは、氷の上に立つところから。
普段は選手たちが競技をするリンクを、自分も体験できる。これも東伏見アイスアリーナの魅力の一つです。
なぜ駅からたった1分? 東伏見と西武鉄道の関係
ここで、最初に見た駅前の風景に戻ってみましょう。
西武新宿線の東伏見駅南口から、徒歩約1分。
競技施設としては、とても駅に近い立地です。
この施設は西武グループのスポーツ事業の歴史に位置づけられており、同グループの公式年表でも「東伏見駅前に開業」と記録されています。[1]
さらに、東大和スケートセンターも西武拝島線の東大和市駅前に設けられました。
こうして並べると、西武線と氷上スポーツの施設が、駅前という場所で結びついていることが分かります。
ただし、東伏見の用地が選ばれた具体的な経営判断や建設計画の詳細については、今回確認できた資料だけでは断定できません。
それでも、駅前に競技用の大型リンクがあり、そのリンクが40年以上使われ続けてきたという事実は変わりません。
普段は何気なく通り過ぎる駅前の建物にも、西武グループのスポーツ事業と街の歴史が重なっているのです。
滑りに行く前に知っておきたい、入口と利用案内
実際に行くなら、もう一つ知っておくと便利なことがあります。
駅から近いものの、一般滑走の入口は建物正面を眺めるだけでは分かりにくいかもしれません。
施設公式のアクセス案内では、東伏見駅南口を出て横断歩道を渡り、くすりのダイイチの右側へ回り、南ゲートからリンク入口に向かうルートが紹介されています。[3]
- 施設名
- ダイドードリンコアイスアリーナ
- 所在地
- 東京都西東京市東伏見3丁目1番25号
- 最寄駅
- 西武新宿線「東伏見駅」南口より徒歩約1分
- 開業
- 1984年8月10日
- リンク
- 60m×30m/屋内型
- 収容人数
- 最大3,500人
- 一般滑走
- 営業日時は日によって異なる。大会・貸切時などは休業の場合あり
- 受付
- 10:00〜17:00(公式掲載の問い合わせ受付時間)
- 電話
- 042-467-7171
- 駐車場
- 有料駐車場あり。一般滑走利用時は施設内で駐車券の認証が必要。満車の場合あり
営業日時、料金、教室、イベント情報は変更される場合があります。来場前に最新の公式情報をご確認ください。
あの駅前の建物が、少し違って見えてくる
最初は、少し変わった名前のスケート場だと思っていました。
ところが、その名前をたどると、1984年の真夏に開業した「東伏見アイスアリーナ」に行き着きます。
サントリー、そしてダイドードリンコへと名前は変わりました。
それでも、駅前には今も大きな氷のリンクがあり、アイスホッケーの選手やフィギュアスケーター、そして初めて滑る人たちを迎えています。
東伏見駅南口から、ほんの1分。
いつもの駅前にある建物は、実は40年以上の歴史を持つ、氷上スポーツの舞台でした。
次に東伏見駅を通るとき、あの建物の中に広がる60メートルの氷と、3,500人分の観客席を、ちょっと想像してみたくなります。
真夏でも、その氷は街のすぐそばにあるのです。
氷のアリーナを出たら、東伏見のもう一つの物語へ
東伏見の面白さは、駅前のリンクだけではありません。少し歩くと、今度は名前や風景に隠れた不思議に出会えます。
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情報確認日:2026年10月27日。施設公式、西武グループの資料、関連する公開資料を確認しました。過去の名称や料金などは対象時期を区別しています。
- 西武ホールディングス|SEIBU SMILES on ICE 西武グループの氷上スポーツ事業の年表。東伏見アイスアリーナの1984年開業など。 資料を見る
- ダイドードリンコアイスアリーナ|公式トップページ 一般滑走の営業カレンダー、大会予定、教室・クラブ、貸切利用の案内。 資料を見る
- ダイドードリンコアイスアリーナ|施設案内・アクセス リンク寸法、最大収容人数、所在地、駅からのアクセス、施設利用案内。 資料を見る
- 小学館 デジタル大辞泉プラス|東伏見アイスアリーナ 1984年開設、施設命名権による名称変更、2006年からの現名称について。 資料を見る
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