
西武拝島線・西武立川駅|テレビで紹介された個性派グルメ
つけ麺の写真を見ていたはずなのに、スープが見当たりません。
麺はある。チャーシューもある。ところが、つけ汁の器には、こんがり焼けた丸い生地がふたのようにかぶさっています。
まるでレストランで出てくるパイ包みシチュー。これ、本当につけ麺なのでしょうか。
東京・西武立川駅の近くにある「UMA TSUKEMEN(ユーエムエー ツケメン)」の看板料理です。2024年3月28日には、テレビ東京の『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!』でも濃厚な海老つけ麺が取り上げられました。[1][2]
でも、この料理の面白さは、単に見た目が変わっていることではありません。
あの丸いふたには、つけ麺好きなら一度は感じたことがありそうな、不満への答えが隠れていました。
パイ包みは、食べている間につけ汁が冷めてしまう問題を解決するために考えられました。 洋食経験のある店主が、パイ包みシチューの調理方法をつけ麺に応用したのです。[3]
なぜ、つけ麺をパイで包んでしまったのか?

そもそも、つけ麺にはラーメンと違う弱点があります。
温かいスープに麺を浸しながら食べるため、食べ進めるうちに、つけ汁の温度が下がってしまうことです。
最初のひと口は熱々でも、終盤にはぬるくなる。濃厚なスープでは、冷えるにつれて脂の状態も変わります。
この問題を何とかしたいと考えたのが、店主の皆川富士雄さんでした。
皆川さんは、調理師専門学校を卒業後、ホテルやレストランなどで洋食を中心に経験を積んできた料理人です。ラーメン一筋で修業した人が思いついた発想、というわけではありません。[3][4]
そこで生まれたのが、洋食の「パイ包みシチュー」と、つけ麺を組み合わせるアイデアでした。
つけ汁を入れた器に生地をかぶせ、そのままオーブンで焼き上げる。生地だけでなく、器と中のスープも温められるため、最後まで熱さを楽しめるよう工夫されています。[3][8]
つけ麺の弱点を、洋食の調理技術で補う。
見た目は少し奇抜ですが、発想の出発点はかなり実用的だったのです。
しかも、これはテレビで話題になるために新しく考えた料理ではありません。日本テレビの『ぶらり途中下車の旅』では、すでに2010年10月2日の放送で、パイシチューをヒントにした「極UMAつけ麺」が紹介されていました。[8]
少なくとも2010年には、もうこの姿。なかなかのベテランです。
でも、ふたをしたら麺をつけられないのでは?

つけ汁の温度を保つ理由は分かりました。
しかし、ここで次の問題が生まれます。
ふたがあるままでは、肝心の麺をスープに浸せません。
答えはシンプル。焼き上がった生地を外側に開いて、つけ汁を出します。
そして、麺をスープにつけて食べる。途中で焼いた生地をちぎり、そのまま食べたり、スープに軽く浸したりして楽しむのが、この店ならではの食べ方です。[3]
つまり、つけ汁のふたが、そのままもう一つの食べ物になっています。
麺を食べて、焼いた生地も食べる。つけ麺の途中で、ちょっとしたパン料理のような楽しみが増えるわけです。
ここで少し意外な「パイ生地」の話
この店の公式サイトでは、桜えびとチーズを使った「パイ生地」と説明されています。一方、日本食糧新聞の取材記事では、つけ汁を覆うものを「薄いピザ生地」と紹介しています。[5][9]
パイなのか、ピザなのか。
呼び方には資料による違いがありますが、確かなのは、単なる飾りではなく、焼いた生地そのものも食べられるということです。
西武鉄道の沿線メディア「ぐるっとプラス」の取材では、店主が、生地をつけ汁の中へ一度に落とさないよう案内していました。生地が大量にスープを吸うと、麺をつける分が減ってしまうためです。生地は少しずつ、熱い器にも注意して楽しみましょう。[4]
パイが主役に見えるけれど、スープと麺はどうなっている?
ここまで調べると、気になってくるのは、ふたの下にあるスープです。
せっかくパイ包みの技術で熱々に仕上げても、肝心のつけ汁がおいしくなければ意味がありません。
UMA TSUKEMENの公式サイトによると、店では2日間煮込んだ豚骨スープと、名古屋コーチン・大山地鶏を使った「青島スープ」を使い分けています。[5]
さらに、西武鉄道の取材では、つけ麺用の自家製太麺に複数の小麦をブレンドし、全粒粉を加える工夫も紹介されています。全粒粉は小麦の表皮や胚芽などを含む粉のこと。麺の表面に生まれる細かな凹凸が、濃厚なスープを絡めやすくするのだそうです。[4]
スープが冷めにくいようにする。
そのスープを麺がしっかり持ち上げるようにする。
最初はパイだけが目立ちますが、よく見ると、温度・スープ・麺の組み合わせを一つの料理として考えていることが分かります。
海老だけではない、パイ包みつけ麺
テレビで紹介された海老つけ麺のほかに、店の公式案内にはカレー、味噌、醤油、辛味噌なども並んでいます。[6]
パイ包みという仕組みを残しながら、つけ汁の味を変えているのです。
さらに鯛らぁ麺や海老塩らぁ麺、ワンタンメン、炒飯、餃子まであります。
パイの印象が強すぎて忘れそうになりますが、ここはつけ麺だけの専門店というより、洋食の発想も生かしたラーメン店なのです。
それなら、なぜ店名が「UMA」なのか?
料理の仕組みが分かると、ようやく店名の不思議にも目が向きます。
「UMA」といえば、未確認生物を表す言葉として知られています。
まさか、ラーメン屋さんの名前に未確認生物?
ところが、そのまさかでした。
西武鉄道の取材で皆川さんが説明したところによると、「UMA」には「うまい」と「未確認生物」の二つの意味が込められています。ほかの店では見かけない独特なつけ麺を、ラーメン業界における未確認生物のような存在にしたかったという発想です。[4]
ちなみに店名の「UMA」は「ユーエムエー」、メニュー名の「UMA」は「ウマ」と読むそうです。
なるほど。「うまい」と「未確認」の二重構造。
名前まで、料理と同じように一ひねりしてありました。
そう考えると、丸く膨らんだ生地も、単なる奇抜な見た目ではなく、店名を象徴する存在のように見えてきます。もちろん、これは店名の説明と料理の姿を重ねた読み方です。
しかも、お店はトレーラーハウス? 西武立川のどこにある?

料理だけでは終わりません。
店があるのは、西武拝島線・西武立川駅の南口から歩いて約3分、玉川上水沿いです。
店舗として使われているのは、トレーラーハウスを改装した建物。店内には厨房に向かうカウンター席が設けられています。[4]
パイ包みのつけ麺が、トレーラーハウスで食べられる。
料理も建物も、一般的なラーメン店のイメージから少し外れています。
ここで気をつけたいのが「西武立川」という駅名です。
JR立川駅のすぐ隣にある駅だと思って向かうと、かなり遠回りになります。西武立川駅とJR立川駅は別の場所で、徒歩で簡単に乗り換えられる距離ではありません。
実際の最寄り駅は西武拝島線の西武立川駅。駅の南口から玉川上水沿いを進むのが、店の公式サイトで案内されているアクセスです。[7]
繁華街の中心というより、住宅地と水辺の近く。そんな場所に、テレビでも紹介された個性派の一杯があります。
UMA TSUKEMENのメニュー・営業時間・アクセス
ここからは、実際に食べに行くための情報です。
主なメニューと税込価格
価格は2026年11月4日に閲覧した店舗公式メニューページの掲載額です。過去のテレビ番組や取材記事に登場する価格とは異なる場合があります。[6]
夜 17:30〜21:00
水曜日は昼営業のみ
※店舗公式サイトの掲載情報
2026年11月4日確認。営業時間は店舗公式サイトと一部グルメサイトで表記が異なっています。公式サイトには、麺・スープなどがなくなった場合は早めに営業終了する旨の記載もあります。特に夜の来店前には電話などで最新情報をご確認ください。[7]
あの丸いふたは、つけ麺への小さな答えだった
最初は、少し不思議に見えた丸いパイ包み。
どうして、つけ麺のスープをわざわざ覆ってしまうのか。
その答えは、つけ汁を最後まで温かく味わってほしいという、料理人の工夫でした。
洋食の経験からパイ包みシチューを思いつき、オーブンで焼き上げた生地をもう一つの食べ物に変える。濃厚なスープには、それを絡めるための自家製麺も用意する。
そして、店名の「UMA」には、うまさと未確認生物の意味まで隠れていました。
不思議な見た目の正体をたどるうちに、料理としての理由が一つずつ見つかりました。
次にあの丸い生地を見たら、ただの変わったつけ麺とは、少し違って見えるかもしれません。
あれはスープを隠すふたではなく、おいしさを最後まで届けるために作られた、食べられるふたなのです。
もう少し、西武立川の不思議を歩いてみる
参考資料・出典
情報確認日:2026年11月4日。放送内容、店主の発言、店舗情報について、放送局・店舗公式サイト・取材媒体の公開資料を照合しました。過去の取材記事の価格や営業時間は、現在の営業条件とは区別しています。
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テレビ東京・BSテレ東
『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!』2024年3月28日放送回・番組公式情報。放送日と濃厚エビつけ麺の紹介を確認。 https://www.tv-tokyo.co.jp/taxi_umaimise/lineup/202403/26706_202403281825.html 確認日:2026年11月4日 -
ActiviTV
『タクうま』濃厚エビつけ麺「UMAツケメン」紹介記事。2024年3月28日放送回の店舗特定を補足確認。 https://www.activitv.com/entry/taxi_umaimise_240328o_ebi/ 確認日:2026年11月4日 -
近代食堂プラス
『土日100人の人気郊外店「UMA TSUKEMEN」』。店主の調理経験、パイ包み考案の理由、食べ方、店の特徴。2025年7月28日公開(近代食堂2024年12月号の記事)。 https://note.com/kinshoku_plus/n/n51e1ec57b9c3 確認日:2026年11月4日 -
西武鉄道沿線メディア・ぐるっとプラス
『西武立川「UMA TSUKEMEN」で店主の遊び心が詰まったユニークなつけ麺を堪能』。店主への取材、UMAの名前の意味、食べ方、自家製麺、トレーラーハウスの特徴。2023年8月3日公開。 https://grutto-plus.com/area/haijimaline_tamagawaline/459/ 確認日:2026年11月4日 -
UMA TSUKEMEN公式サイト
『こだわり』。桜えび・チーズを使ったパイ包みつけ麺、スープの材料と製法。 https://uma-tsukemen.com/about.html 確認日:2026年11月4日 -
UMA TSUKEMEN公式サイト
『メニュー』。各種つけ麺、ラーメン、サイドメニューおよび税込価格。 https://uma-tsukemen.com/menu.html 確認日:2026年11月4日 -
UMA TSUKEMEN公式サイト
『ホーム・店舗情報』。住所、電話番号、営業時間、アクセス、駐車場、座席数、支払い方法。 https://uma-tsukemen.com/ 確認日:2026年11月4日 -
日本テレビ
『ぶらり途中下車の旅』2010年10月2日放送内容。パイ包みつけ麺を考案した理由と当時の店舗紹介。 https://www.ntv.co.jp/burari/contents/detail_268770.html 確認日:2026年11月4日 -
日本食糧新聞
『メニュートレンド:ピザ生地で蓋する新感覚つけ麺 洋食の発想でもう一つの楽しみ』。2023年5月1日付。生地の説明と、パイ包みという洋食技法の応用を補足。 https://news.nissyoku.co.jp/restaurant/tanakak20230420112557786 確認日:2026年11月4日