
しかも、畑に行く前にクイズを解く?
南大泉with農フェスタ2026|参加無料のクイズラリーと200円の収穫体験。街の中に残る畑をめぐる2日間。
野菜のお祭りと聞けば、広場に野菜が山積みになっていたり、農産物の販売テントがずらりと並んでいたり。そんな光景を思い浮かべるかもしれません。
ところが、保谷駅の近くで開かれる「南大泉with農フェスタ2026」は、少し様子が違います。
住宅街を歩き、スマートフォンで5つのクイズに挑戦。その先に待っているのが、畑での農産物収穫体験。
野菜を収穫するために、まず街を歩く。なかなか面白い順番です。
開催日は2026年11月21日(土)・22日(日)。クイズラリーは無料で、条件を満たして収穫体験補助クーポンを取得すると、200円で指定の収穫体験に参加できます。事前予約は不要です。 [1]
では、なぜ収穫をするだけではなく、街を歩いてもらうのでしょう。
その理由を追いかけると、保谷駅の南側に残る、ちょっと特別な風景が見えてきます。
なぜ、農業フェスなのに会場が一つではない?

このイベントで最初に気になるのは、開催場所です。
会場は「南大泉農の風景育成地区」。東京都練馬区南大泉3丁目・4丁目に広がる一帯です。
駅前広場でも、大型のイベント施設でもありません。
住宅街の中にある複数の農園や公園などが、イベントの舞台になります。 [1]
ここで一つの疑問が浮かびます。
東京の住宅街に、それほどたくさんの畑があるのでしょうか。
実は、約70ヘクタールの「農の風景育成地区」
練馬区の資料を見ると、南大泉3・4丁目の一部は、2019年12月20日に東京都から「農の風景育成地区」に指定されています。
指定された地区全体の広さは約70.2ヘクタール。 [2]
ヘクタールという単位は少し想像しづらいのですが、1ヘクタールは100メートル四方の広さ。70.2ヘクタールは、その約70個分に相当します。
ただし、この面積がすべて畑という意味ではありません。
地区には住宅や道路もあり、その間に農地や樹林が残っています。農家が野菜づくりを教える体験農園や、果物の栽培を体験できる農園なども点在しています。 [3]
なるほど。畑が集まった大きな農業施設なのではなく、人が暮らしている街の中に、農業が組み込まれている場所なのです。
だからイベント会場も、一か所にまとめるのではなく、地区内の農園をめぐる形になっているわけです。
そう考えると、最初の疑問は少し解けました。
でも、まだ不思議なところがあります。
畑を見てもらいたいなら、農園に直接来てもらえばよさそうです。それなのに、なぜ最初にクイズが用意されているのでしょう。
畑に行く前に5つのクイズ。なぜこんな仕組みに?

2026年の収穫体験には、ちょっとした手順があります。
参加者はスマートフォンを使い、地区内に設置された5か所のクイズスポットを探します。
スポットにあるNFCタグにスマホを近づけるとクイズに挑戦でき、正解するとスタンプを獲得。NFCに対応していない端末でも、QRコードから参加できます。 [1]
NFCとは、スマートフォンを近づけるだけで情報を読み取れる通信技術のことです。交通系ICカードなどにも使われています。
つまり、紙の問題用紙を持って歩くのではなく、街の中にあるデジタルのクイズスポットを巡る仕組みです。
収穫体験までは4つのステップ
-
クイズスポットを探す
公式会場マップに示された5か所の「Q」を目指して地区内を歩きます。 -
スマートフォンで回答
NFCタグまたはQRコードからクイズに挑戦し、正解してスタンプを集めます。 -
5つ集めたら農園へ
収穫体験補助クーポンを取得し、希望する対象農園へ直接向かいます。 -
クーポンを提示して収穫
農園の受付でクーポンを見せ、参加費200円を支払って指定の収穫体験を楽しみます。
一見すると、少し遠回りにも感じます。
けれども、この仕組みなら、収穫する農園だけでなく、その途中にある街の風景も目に入ります。
畑がどんな場所にあるのか。住宅とどれくらい近いのか。普段は気に留めない風景が、クイズを探す目印になるかもしれません。
これはイベントの構成から読み取れる楽しみ方ですが、地区の農業を知ってもらうという取り組みの方向性とも重なっています。
実は2020年にも「南大泉の謎」という企画があった
さらに過去の記録を調べると、面白い名前が見つかりました。
「南大泉の謎」。
これは2020年に実施されたスタンプラリーの名称です。
練馬区の記録によれば、スマートフォンの専用アプリを使って地区内を巡り、すべてのスタンプを集めると、大根やネギ、にんじんなどの収穫体験に参加できる企画でした。 [4]
なんと、2026年のデジタルクイズラリーより前から、街歩きと収穫体験を組み合わせる取り組みがあったのです。
2020年の企画が現在の仕組みに直接どう引き継がれたかまでは、公開資料だけでは断定できません。
ただ、少なくともこの地域では、畑に直接向かうだけでなく、街を歩いて農業に触れる企画が以前から続けられてきたことが分かります。
2026年の収穫体験補助クーポンはスマートフォン1台につき1枚までで、発行枚数に上限があります。1枚で各農園が指定する1回分の体験に参加できる仕組みです。すべての農園を200円で回れるという意味ではありません。
ここまで来ると、クイズラリーは単なるおまけではなさそうです。
では、その先にあるマルシェや写真展示には、どんな意味があるのでしょう。
野菜のお祭りなのに、ピザや写真まで登場するのはなぜ?

2026年の農フェスタには、収穫体験のほかにも楽しみがあります。
その一つが「南大泉のマルシェ」です。
公式発表では、キッチンカーの料理や、練馬の野菜・果物・花などの販売、地場産の食材を使った弁当や惣菜などが案内されています。 [1]
畑で収穫した野菜が、今度は料理になる
出店予定の中には、ピザを販売する「PIZZERIA GTALIA DA FILIPPO」や、いちごジュースを提供する「KATO FARM」などの名前もあります。
ほかにもホットドッグ、焼きそば、地場産の惣菜やパンなど、さまざまな出店が予定されています。
野菜を収穫するところを知り、次に、その野菜や地域の農産物が食べ物になる場面に出会う。
畑と食卓の間には、思っていたよりも短い距離があるのかもしれません。
もちろん、出店する料理すべてが南大泉産の食材で作られているという意味ではありません。地元農産物を使用したものと、一般の飲食メニューは区別して楽しみたいところです。
とうもろこしが芸術作品の題材に?
そして、もう一つ意外なのが「農のフォトアート」です。
2026年は、日本大学芸術学部デザイン学科による「とうもろこしのデッサン・プロジェクト」が紹介されています。
プロの写真家と学生が、農産物を芸術の視点から表現する企画です。展示場所として、南大泉自転車駐車場横や加藤農園の柿畑が案内されています。 [1]
とうもろこし。食べる前に、じっくり眺めることになりそうです。
考えてみれば、野菜には色や形、葉の広がり方、表面の模様など、食べるだけでは気づかない特徴があります。
農産物を「食べ物」としてだけでなく、「観察するもの」として見せる。農業と芸術の組み合わせには、そんな面白さもありそうです。
子どもには商店街からのお楽しみも
地元の南大泉商愛会による「ガラポンdeお菓子」も予定されています。
対象は収穫体験に参加した子ども。農園の受付で抽選参加券が配られ、会場の南大泉三丁目緑地でガラポンに挑戦できます。
ただし、抽選参加券は先着順で枚数限定です。 [1]
農家だけでなく、飲食店や商店街、芸術に関わる人まで参加する農業イベント。
なぜ、これほど多くの人たちが関わるのでしょうか。
その答えは、イベント名に入っている「with農」という言葉と、地区の指定目的を重ねると見えてきます。
そもそも、なぜこの街は畑を守ろうとしている?
南大泉が指定されている「農の風景育成地区」は、東京都が2011年に創設した制度です。
目的は、都市部に残る農地や屋敷林などを保全し、農のある風景を将来へ引き継ぐこと。 [5]
ここで大切なのは、守ろうとしているものが、農作物だけではないという点です。
畑には野菜を育てる役割があります。
でも、それだけではありません。
東京都は、都市農地について、街に開放的な空間をつくることや、災害時に役立つことなど、複数の役割があると説明しています。 [5]
スーパーに並ぶ野菜を作る場所であり、住宅街の景色をつくる場所でもある。
さらに、この制度には農家と地域住民の交流を促し、都市の農地について理解を深めてもらう狙いもあります。
つまり、農地を守るための取り組みは、農家だけで完結するものではないのです。
そこに暮らす人たちが、街の畑を知ることも大切にされています。
練馬区では、南大泉地区の農業者などが行う都市農業の魅力発信や農地保全の取り組みを支援しています。 [4]
ここで、最初のクイズラリーの話に戻ります。
収穫体験だけなら、一つの農園に向かえば済みます。
けれども、地区全体を歩けば、畑と住宅の距離や、街の中に残る緑、農業に関わる人たちの存在まで知るきっかけになります。
公式資料が示す地区の目的と、農フェスタの仕組みを重ねると、この催しは野菜を収穫するだけでなく、「農のある街そのもの」を体験してもらうイベントとして理解できます。
「with農」は、農業を一日だけ楽しむというより、農業とともにある暮らしを知る入口なのかもしれません。
11月21日・22日の開催情報と参加前の注意点
最後に、実際に出かけるための情報を整理しておきましょう。
南大泉with農フェスタ2026|基本情報
- 開催日
- 2026年11月21日(土)・22日(日)
- 開催時間
-
午前の部 10:00〜12:00
午後の部 13:00〜15:00
※12:00〜13:00は昼休み - 会場
-
南大泉農の風景育成地区内
東京都練馬区南大泉3・4丁目 - 最寄駅
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西武池袋線「保谷駅」南口
地区まで徒歩約5分
※各農園までの距離は異なります - 料金
-
クイズラリー無料
クーポン利用の収穫体験200円
※飲食や物販などは別料金 - 予約
- 事前予約不要
- 主な企画
- クイズラリー、農産物収穫体験、マルシェ、キッチンカー、農のフォトアート、ガラポンdeお菓子
- 天候
- 小雨決行・荒天中止
- 主催
- 南大泉農の風景育成地区実行委員会
収穫体験ができる農園は?
2026年の公式案内では、次の5農園が収穫体験会場として紹介されています。
- 鈴木農園
- 高橋農園
- いながき農園
- シトラスファーム高橋 第一農園
- 南大泉 加藤農園(緑と農の体験塾)
体験できる農産物や内容は農園ごとに異なります。希望する農園へ直接向かい、受付で案内を確認してください。
子ども連れで出かけるなら
収穫体験を予定している場合は、汚れてもよい服と靴がおすすめです。
収穫した農産物を持ち帰るための袋も忘れずに持参しましょう。
スマートフォンはクイズラリーで使用します。通信料は参加者負担となるため、充電や通信環境も確認しておくと安心です。
車・自転車・クーポンについて
イベント専用駐車場はありません。車での来場を前提にしない計画がおすすめです。
自転車の場合、練馬区立南大泉自転車駐車場がイベント当日に限り2時間無料で利用できます。
クーポンはスマホ1台につき1枚までで、規定枚数に達すると発行終了となります。終了後も農園によっては通常の有料収穫体験に参加できる場合がありますが、実施の有無や料金は各農園の案内に従ってください。
荒天による中止や企画変更は、主催者の公式ホームページ・SNSで発表されます。 [1]
保谷の住宅街にある畑は、何のために残っている?
最初は、ちょっと不思議でした。
野菜を収穫するイベントなのに、なぜクイズを解きながら住宅街を歩くのか。
でも、南大泉の資料を調べると、その景色には別の意味があることが分かりました。
農地を保全するために指定された地区があり、そこでは農家と地域の人たちが関わりながら、農業の魅力を伝える取り組みが続いています。
クイズを解く道も、収穫する畑も、食べ物が並ぶマルシェも、別々の催しに見えて、同じ街の農業につながっています。
2020年には「南大泉の謎」というスタンプラリーがあり、2026年にはスマートフォンを使って5つのクイズスポットを巡る仕組みが用意されています。
その先で収穫する一本の野菜は、スーパーで買う一本と同じように食卓へ届くものかもしれません。
けれども、どこで育ち、誰が手をかけ、どんな街の中に畑が残っているのかを知った後では、少し違って見えそうです。
保谷駅の南側にある、いつもの住宅街。その中の畑は、野菜が育つ場所であると同時に、街の暮らしと農業が出会う場所でもありました。
南大泉の畑を知ったら、次はこんな農業の話も
参考資料・情報確認先
-
南大泉農の風景育成地区実行委員会
「南大泉with農フェスタ2026 開催します!」
https://www.minamioizumi.jp/2026/10/10/festa2026/
2026年10月10日公開。開催日、時間、企画内容、収穫体験の参加条件、会場マップ、出店情報を確認。 -
練馬区
「農の風景育成地区」
練馬区公式資料
南大泉地区の指定年月日、区域、約70.2ヘクタールの面積、地区の目的を確認。 -
南大泉農の風景育成地区実行委員会
「育成地区について」
https://www.minamioizumi.jp/about_area/
住宅街と農地の関係、地区の特色、体験農園や緑地の存在を確認。 -
練馬区
「農の風景育成地区農地保全事業」
練馬区公式資料
2020年の「南大泉の謎」、過去の農フェスタ、地区内の農業振興・保全活動を確認。 -
東京都都市整備局
「農の風景育成地区制度」
東京都公式資料
制度創設の背景、都市農地の役割、指定の目的と効果を確認。 -
ねりま観光センター「とっておきの練馬」
「南大泉with農フェスタ2026」
2026年イベント案内
開催日時、保谷駅南口からのアクセス、会場、参加料金を確認。
情報確認日:2026年11月4日。
本記事は主催者、練馬区、東京都、ねりま観光センターの公開資料をもとに作成しています。現地取材による報告ではありません。収穫できる農産物、出店内容、クーポン配布状況、天候による開催判断などは変更される場合があります。お出かけ前に主催者の最新情報をご確認ください。