
小平駅南口から徒歩約3分|巨大ポストの、見た目と中身をたどる
高さ約2.8メートル。赤くて丸い、あの郵便ポストが、人を見下ろすほど大きくなっています。
小平駅近くの「ルネこだいら」前に立つ、その名も「日本一丸ポスト」。ここまで大きいと、まず疑いたくなるのは「これ、記念撮影用の飾りでは?」ということです。
答えは、本当に手紙やはがきを投函できる、現役のポスト。郵政の紹介でも、実際に使われていることが確かめられます。見た目は特大。仕事は、ちゃんと郵便です。[1]
ただ、そうなると次の疑問が。あんなに高いところへ、どうやって手紙を入れるのでしょう。そして、そもそも誰が「ポストを巨大にしよう」と考えたのでしょうか。
高すぎる投函口。手紙を出すのに、背伸びが必要?
大きなポストの上のほうには、おなじみの投函口があります。市報の説明では、その高さは地面から2.1メートル。数字にすると、普通に立った人の頭より、まだ上です。[2]
手紙を出すたびに、ちょっとした運動会。それでは、使えるポストとしては困ってしまいます。
そこで目を下へ移すと、もう一つ、低い位置にも投函口があります。市報では高さ1.44メートルと説明され、郵政の記事でも「見上げた先」と「通常の高さ」の2か所が紹介されています。上に届かなくても、下の口から出せる仕組みです。[2][1]
巨大な姿を見せるだけなら、投函口は高い位置に一つでもよかったはず。けれど、ここには使う人の高さに合わせた入口もある。この二つの口を見ると、「眺めるもの」であると同時に「使うもの」でもあることが分かります。
では、そんな手の込んだポストを、なぜ小平に作ったのでしょうか。答えは、この一本ができる前の街にあります。
巨大ポストがあるから「丸いポストのまち」になった?
順番は、逆でした。
小平には、巨大ポストができる前から、昔ながらの丸ポストが多く残っていました。市報が伝えるのは、市内に残る丸ポストを生かして、まちおこしをしようという動きが、2007年に大きくなったという経緯です。[2]
つまり、何もないところに突然、大きなポストを置いたわけではありません。先に街のあちこちに赤い丸ポストがあり、それを小平らしい風景として伝えるためのシンボルが作られたのです。
小さな丸ポストたちを代表して、一本だけ、ぐんと大きくなった。そう捉えると、この大きさにも役割が見えてきます。
製作したのは「日本一丸ポスト製作実行委員会」。市報によれば、丸ポストが好きな市民や商店などが力を合わせ、2009年10月に小平市へ寄贈しました。日本記録認定協会の紹介にも、実行委員会が製作して市へ寄贈したことが記されています。[2][3]
「日本一」は大きさの話ですが、作り手をたどると、急に近所の人たちの話になります。
しかも、その人たちは、巨大な丸ポストをどう形にしたのか。ここで資料に、少し予想外の材料が出てきます。
ポストの材料に、土管と中華鍋?
市報には、手作りの図面から始め、土管や中華鍋を材料に使ったとあります。さらに、郵便物を取り出す扉が割れないよう、内部に鉄板を入れる工夫も紹介されています。[2]
郵便の話を追っていたら、中華鍋。いったん台所のほうへ話が曲がりました。
小平市文化振興財団の説明では、本体に水道管、頭のふたに中華鍋を使い、モルタルで形を整えています。モルタルは、セメントと砂、水を混ぜた建築材料です。見慣れた丸い姿は、意外な材料の組み合わせでできていました。[4]
ただ大きな筒を赤く塗るだけなら、郵便物を出し入れする扉のことまで考える必要はありません。取り出し口にまで工夫があるのは、実際に使うポストを作ったからこそです。
下の投函口も、扉の補強も、同じ方向を向いています。大きく見せることと、郵便を扱うこと。その両方を成立させようとした作りなのです。
遠目には、一つの赤い塊。材料や構造を知ると、今度は「どこが鍋のふただろう」「下の口はここか」と、見る場所が増えてきます。
では、自分の一通をここから出すには?
特別な申し込みをする体験施設ではなく、通常の郵便ポストとして利用されています。出したい手紙やはがきを用意すれば、見学を「本当に使ってみる寄り道」に変えられます。[1][2]
- 家で、宛先と差出人を書いておく。
手紙なら封をして必要な料金分の切手を貼り、はがきなら料金が足りているか確認します。筆記具も持っていけば、現地で一言足すこともできます。 - 小平駅南口から、ルネこだいらへ。
施設公式の交通案内では徒歩3分。ポストは建物の前にあります。[5][6] - 届く高さの投函口から、無理なく入れる。
上の口へ届かせるために登ったり、手紙を放り投げたりする必要はありません。下の口を使い、現地の表示に従って投函しましょう。
体が大きいからといって、どんな荷物でも入れてよいわけではありません。まずは普通の手紙やはがきが分かりやすい選択です。郵便料金や送れる大きさは、日本郵便の案内で確認できます。[7]
取集は、ポストの中の郵便物を回収すること。その時刻は現地の表示で確認してください。「投函した時刻」と「郵便局へ運ばれる時刻」は同じではないため、期日のある郵便は余裕を持って出しましょう。
書く相手に迷ったら、自分宛てでもよさそうです。「今日、見上げるほど大きなポストから出しました」。届くころには、赤い姿を思い出す一枚になります。
手紙を一通、持っていくためのメモ
場所 日本一丸ポスト/ルネこだいら(小平市民文化会館)前。東京都小平市美園町1丁目8番5号。[5][6] アクセス 小平駅南口から徒歩約3分。ルネこだいらには一般来館者用の駐車場がないため、電車での寄り道が組みやすい場所です。[5] 持ち物 宛先を書いた手紙またははがき、必要な郵便料金、必要なら筆記具。ポスト利用とは別に、通常の郵便料金がかかります。 現地で確かめること 投函口と取集時刻の表示。撮影のときは、郵便を出す人や歩行者の通り道を空けましょう。大きいのは、目立つため。その下には、使うための口がある
最初は「飾りでは?」と疑いたくなる、約2.8メートルの赤いポスト。
けれど、下の投函口を見つけ、街に残る丸ポストとのつながりを知り、土管や中華鍋を使った製作の話までたどると、見え方が少し変わります。
これは、市民や商店などが作って贈った、街のシンボル。そして今も、自分の手紙を受け取ってくれる道具です。
写真なら、隣に立てば大きさが残ります。手紙なら、その場所で何をしたかが、相手の手元に届きます。
次にこの赤い姿を見上げるときは、ポケットに一通、入れておくのもよさそうです。
小平の「いつもの姿」を、もう一つ読み解く
大きなポストの理由が分かったら、帰りに使う駅や、同じ市内の駅名にも目を向けてみませんか。次は、線路と道に残る手掛かりです。
参考資料
情報確認日:2026年10月16日。市内の丸ポスト総数は資料の対象時点や数え方で異なるため、本記事では固定した本数を掲載していません。
- 「丸いポストのまち こだいら」を巡る。あちこちで見かける懐かしい表情に、ちょっぴりタイムスリップ気分/日本郵政・JP CAST、2024年5月16日。大きさ、現役利用、上下の投函口。
- 市報こだいら:2019年2月20日号 1面(抜粋記事)/小平市。まちおこし、製作・寄贈の経緯、投函口の高さ、材料と補強の工夫。同号紙面PDF。
- 日本最大の丸ポスト/日本記録認定協会。製作主体・寄贈を確認。同協会の記録値は2m77cmで、本文は郵政・行政の案内に合わせ「約2.8m」と表記。
- 日本一丸ポスト/公益財団法人小平市文化振興財団。材料と製作方法。
- 交通アクセス/ルネこだいら。所在地、小平駅南口から徒歩3分、駐車場の案内。
- 丸いポストのまち(みどころ)/多摩北部都市広域行政圏協議会・たまろくナビ、2024年12月11日更新。設置場所、大きさ、実際に投函できること。
- 郵便物(手紙・はがき等)/日本郵便。郵便サービスの利用案内。