
拝島駅と多摩川・残堀川|名前の由来・氾濫履歴・洪水ハザードを解説
西武拝島線の終点・拝島駅がある昭島市は、市域の南側を多摩川が流れる「川の街」です。一方、残堀川は拝島駅のすぐ近くを流れているわけではなく、瑞穂町の狭山池から武蔵村山市・昭島市東部・立川市へ進み、多摩川へ合流する支川です。昭島市の最新ハザード情報では、多摩川と残堀川の外水氾濫に加えて、大雨による内水氾濫も別々に確認する必要があります。この記事では、2つの川の名前と歴史、拝島周辺で水害時に何を確認すべきかを整理します。
昭島市、東京都建設局、国土交通省関東地方整備局・水管理国土保全局、西武鉄道の公開情報を確認しています。
点数ではなく、この場所の特徴を6方向の感覚で表しています。
交通の便利さ
拝島駅から多摩川側の拝島町へ移動できる
日常の買い物
川と台地が昭島の地形を形づくってきた
外食・カフェ
多摩川と残堀川の公的な浸水想定図が公開されている
子育て環境
河川敷や公園など水辺を感じられる場所がある
自然・散歩
川と用水の歴史が街の成り立ちと結びつく
地域のにぎわい
大雨時は河川洪水と内水氾濫の両方を確認する必要がある
拝島駅は多摩川と残堀川の洪水に注意が必要?
「拝島駅そのもの」と「拝島町の多摩川沿い」を同じリスクとして考えないことが大切です。昭島市の洪水・土砂災害ハザードマップを見ると、多摩川沿いの拝島町南部には洪水時の浸水想定区域が広がっています。一方、拝島駅周辺まで一様に同じ浸水想定が広がっているわけではありません。残堀川については昭島市東部を通るため、「拝島駅のすぐ横を流れる川」と考えるのは正確ではありません。
さらに昭島市では、河川そのものがあふれる「外水氾濫」と、下水道などの排水能力を超えて水がたまる「内水氾濫」を別のハザードマップで示しています。大雨時は両方を確認する必要があります。
多摩川と残堀川はどんな川?
| 項目 | 多摩川 | 残堀川 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 多摩川水系の本川 | 多摩川へ流れ込む一次支川 |
| 昭島市との関係 | 市域南側を流れる | 昭島市東部を通過 |
| 拝島駅との関係 | 駅南側の拝島町方面へ進むと多摩川流域 | 駅直近ではなく、市内では主に東側 |
| 主な洪水資料 | 国土交通省「洪水浸水想定区域図」 | 東京都「残堀川流域洪水浸水想定区域図」 |
東京都によると、残堀川は瑞穂町の狭山池を源とし、武蔵村山市・昭島市・立川市を経て多摩川へ合流する一級河川で、流域面積は34.7平方キロメートル、流路延長は14.5kmです。
[ekirip-chart type="bar" title="2つの川を見るときの代表的な公表数値" description="東京都公表の残堀川流域面積・流路延長を比較。単位が異なるため数値規模を見る参考図です。" labels="残堀川の流域面積|残堀川の流路延長" values="34.7|14.5" unit="" source="東京都建設局 残堀川流域" source_url="[https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/river/seibi/zanbori](https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/river/seibi/zanbori)" note="流域面積は平方キロメートル、流路延長はkm。異なる単位の値を同じ尺度で性能比較するものではありません。"]なぜ「多摩川」という名前なの?
多摩川は古く「玉川」と記されてきました。国土交通省の多摩川流域歴史セミナー資料では、河原に見られる石を「玉」のような美しい石と捉えたことが「玉川」という名称につながったとする説が紹介されています。さらに古代の地名表記の変化を経て「多摩」の字が使われるようになったと説明されています。
つまり「多摩という地域を流れているから多摩川」という一方向だけではなく、むしろ川の名前と地域名の成立が深く結びついている可能性があるのが面白いところです。
残堀川の「残堀」は何が由来?
残堀川は、名前が付けられた時期と理由を一つに確定できていません。東京都の河川整備計画資料では、主に「残堀地区の地名が川名になった説」「狭山池に伝わる蛇喰治右衛門の伝説に由来する説」「川の特徴から付いた説」の3説が紹介されています。
むしろ残堀川で注目したいのは、その流路そのものが長い時間をかけて変わってきたことです。
残堀川はなぜこんな流れ方をしている?
現在の残堀川は、単純に昔から同じ場所を流れてきた川ではありません。東京都の資料では、もともと狭山丘陵から流れてきた水が現在とは異なる方向へ進んでいたとされます。1654年に玉川上水が開通すると、残堀川は上水への助水として利用されるよう流路が変更されました。
多摩川扇状地の地形に沿い、現在とは異なる方向へ流れていたとされています。
玉川上水の開通後、残堀川の水を上水へ取り込むため流路が変更されました。
水質などを背景に玉川上水から再び分離する工事が進められました。
昭島市東部から立川市へ入り、日野橋上流側で多摩川へ合流する流れになっています。
東京都建設局も、残堀川について「玉川上水と密接な関係を持ち、人為的な流路変更を重ねて現在の形になった川」と説明しています。
多摩川は昔から「あばれ川」だった
国土交通省は、多摩川について首都圏の一級河川の中でも比較的勾配が急で、古くから「あばれ川」として知られてきたと紹介しています。江戸期から治水工事が続き、大正期には住民による築堤運動、戦後には1974年の狛江水害など、大きな洪水の歴史があります。
これは「拝島で同じ被害が起きた」という意味ではありません。多摩川水系そのものが、長い歴史の中で洪水と治水を繰り返してきた河川だという背景です。
昭島市の市制70周年記念誌を見ると、市内の古い村名の由来にも多摩川の影響が現れます。「築地」は多摩川氾濫後に新しく築かれた土地、「上川原」は氾濫を受けて高い場所へ集落を形成したことに由来する説が紹介されています。川は昭島の地名そのものにも痕跡を残しています。
拝島周辺で洪水時に注意したい場所は?
昭島市の洪水・土砂災害ハザードマップでは、多摩川沿いの拝島町・田中町・大神町・宮沢町・福島町方面など、市南部の広い範囲に洪水浸水想定区域が示されています。特に「川の近くだから危険、駅なら安全」と単純化せず、自宅・勤務先・学校・避難経路を住所単位で地図に重ねて確認することが重要です。
「洪水」と「内水氾濫」は何が違う?
外水氾濫
多摩川や残堀川の水が河道からあふれたり、堤防の決壊などによって浸水する現象です。
確認:昭島市洪水・土砂災害ハザードマップ
内水氾濫
短時間の強い雨などで下水道や排水施設の能力を雨水が上回り、道路や宅地に水がたまる現象です。
確認:昭島市水害(内水)ハザードマップ
昭島市は2026年3月に水害(内水)ハザードマップを更新し、外水氾濫とは別のものとして確認するよう案内しています。川から離れているから水害リスクが完全になくなる、という考え方は避けたほうがよいでしょう。
残堀川の洪水想定はどのくらいの雨を前提にしている?
東京都が2024年2月15日に指定した残堀川流域の洪水浸水想定区域図は、想定最大規模として1時間最大153mm、24時間総雨量690mmの降雨を条件にしています。対象は立川市、昭島市、武蔵村山市、瑞穂町です。これは通常の天気予報の雨量予想ではなく、洪水浸水想定を作成するための条件です。
[ekirip-chart type="bar" title="残堀川の洪水浸水想定で使われる降雨条件" description="東京都が想定最大規模の洪水浸水想定区域図で使用する降雨条件" labels="1時間最大雨量|24時間総雨量" values="153|690" unit="mm" source="東京都建設局 残堀川流域洪水浸水想定区域図" source_url="[https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/river/chusho_seibi/panhulink/menu/menu02-08](https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/river/chusho_seibi/panhulink/menu/menu02-08)" note="実際の大雨予報ではなく、洪水浸水想定区域を作成するための想定最大規模降雨です。"]昭島市のハザードマップはどこを見る?
まず見るべきなのは、昭島市が公開している「洪水・土砂災害ハザードマップ」です。市は、台風接近時などにはアクセスが集中してページを表示しにくくなる可能性があるため、災害前から自宅周辺と避難経路を確認しておくよう案内しています。
① 自宅・勤務先を見る
住所付近に浸水想定の色が付いているか、想定水深はどの区分かを確認します。
② 避難先だけでなく経路を見る
目的地が安全でも、途中に低い場所や浸水想定区域があれば別ルートが必要になる場合があります。
③ 洪水と内水を両方見る
多摩川・残堀川の外水氾濫と、道路などに水がたまる内水氾濫を別々に確認します。
④ 家族で複数案を決める
昭島市は、災害状況によって予定していた避難場所へ行けない可能性も考え、複数候補を決めることを案内しています。
拝島周辺の避難所は?
昭島市には拝島第一小学校、拝島第二小学校、拝島第三小学校、拝島中学校など複数の避難所があります。ただし、「一番近い避難所=水害時に必ず安全な避難先」ではありません。河川の状況や開設状況を確認し、市がその時点で案内する避難所へ向かう必要があります。
| 施設 | 所在地 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 拝島第一小学校 | 拝島町1-14-14 | 台風・大雨時の避難所一覧に掲載 |
| 拝島第二小学校 | 代官山1-6-7 | 台風・大雨時の避難所一覧に掲載 |
| 拝島第三小学校 | 松原町3-12-15 | 台風・大雨時の避難所一覧に掲載 |
| 拝島中学校 | 緑町2-2-12 | 台風・大雨時の避難所一覧に掲載 |
| 緑会館 | 緑町4-13-26 | 台風・大雨時の避難所一覧に掲載 |
なお、昭島市は「居住地域ごとに避難先を固定しているわけではない」と説明しています。災害ごとに安全な方向が変わるため、平常時から複数の避難先を考えておくことが重要です。
警戒レベル4になったらどうする?
すでに周囲が冠水して屋外移動のほうが危険な場合などは、状況に応じて建物内のより安全な場所へ移る判断が必要になることもあります。実際の災害時は昭島市・気象庁・国土交通省などの最新情報を優先してください。
街そのものをハザードマップにする取り組みも
昭島市では、多摩川洪水浸水想定区域や残堀川流域浸水予想区域にある市内の電柱100か所へ、想定浸水深を示す表示板を設置しています。地図を開かなくても、日常生活の中で「この場所ではどこまで水が来る想定なのか」を意識できる「まるごとまちごとハザードマップ」です。
普段歩いている道でこうした表示を見つけたら、数字だけを見るのではなく、「ここから安全な方向はどちらか」「夜や雨の中でも通れる経路か」まで一緒に考えておくと実用的です。
大雨になる前にできること
ハザードマップを保存
スマートフォンだけに頼らず、家族で浸水想定区域と避難経路を共有しておきます。
避難情報の入手方法を確認
昭島市公式サイトや防災情報、国土交通省「川の防災情報」など複数の情報源を確認できる状態にします。
停電・断水を想定
照明、携帯電話の充電、トイレ、水、薬など、ライフラインが止まった場合に必要なものを確認します。
早い段階で判断
道路が冠水してから避難を始めるのではなく、市や気象機関からの情報を見て早めに行動します。
川の氾濫は、水があふれてから準備を始めるのでは間に合わない場合があります。ここでは今回確認した多摩川・残堀川周辺の水害リスクを踏まえ、停電・断水・避難準備などで事前に確認しておきたい用品をまとめました。商品は公的な避難情報や早めの避難に代わるものではありません。
拝島駅から見ると、多摩川はどんな存在?
拝島駅は西武拝島線の終点で、JR青梅線・五日市線・八高線とも接続する交通の結節点です。西武鉄道による駅所在地は昭島市美堀町5丁目。駅を出て南側の松原町・緑町・拝島町方面へ進むと、多摩川沿いの地域へつながっていきます。
一方で残堀川は「拝島駅から歩いてすぐ見られる川」ではありません。東京都の資料では昭島市東部を流れるとされているため、拝島という駅を起点に昭島全体の水害を考える際に、多摩川と残堀川を同じ位置関係だと思わないことがポイントです。
「駅から川を見に行く散歩」と「大雨時の川の確認」は完全に別です。平常時の水辺は街歩きの目的になりますが、増水時は河川敷や橋へ近づかず、公的なライブカメラ・水位情報で確認しましょう。
こんな人に読んでほしい
- 拝島駅・昭島市周辺へ引っ越したばかりの人
- 多摩川に近い地域の洪水リスクを確認しておきたい人
- 「残堀川はどこを流れているの?」と気になった人
- 家族で避難経路や防災用品を見直したい人
- 川と昭島の歴史・地名のつながりを知りたい人
川を知り
いつもの道が
地図になる
拝島駅と一緒に読みたいekiripの記事
行く前・大雨になる前に知っておきたいこと
Q&A|拝島・多摩川・残堀川の疑問
Q. 拝島駅のすぐ近くを多摩川が流れていますか?
駅のすぐ横ではありません。多摩川は拝島町など昭島市南部を流れており、駅から南方向へ街を抜けた先に河川沿いの地域があります。
Q. 残堀川は拝島駅の近くですか?
拝島駅直近の河川ではありません。東京都の資料では残堀川は昭島市東部を通り、その後立川市へ流れて多摩川へ合流します。
Q. 多摩川が氾濫すると拝島駅まで浸水しますか?
駅周辺と多摩川沿いを一括りにはできません。昭島市ハザードマップでは場所ごとに想定が異なるため、駅名ではなく住所を基準に最新地図を確認してください。
Q. 多摩川の洪水ハザードだけ見れば十分ですか?
いいえ。昭島市では外水氾濫用の洪水・土砂災害ハザードマップとは別に、内水氾濫を想定した水害(内水)ハザードマップも公開しています。
Q. 過去に自宅付近で浸水したか確認できますか?
昭島市では平成11年度以降に市へ報告された浸水履歴を、防災安全課窓口で確認できます。ハザードマップの想定と過去の実績は別の情報なので、両方を見ると理解しやすくなります。
Q. 大雨のとき、川の水位はどう確認すればいい?
国土交通省「川の防災情報」などの公的な水位・カメラ情報を利用してください。確認のために河川敷や橋へ近づく必要はありません。
一言で言うと
拝島は「多摩川のある街」ですが、水害を考えるなら多摩川だけでなく残堀川・内水氾濫まで別々に見ることが大切です。
川を知ると、拝島の景色が少し違って見える
多摩川は昭島の南側を形づくり、時には氾濫しながら街の地名や集落の位置にまで影響を与えてきました。残堀川は玉川上水との関係の中で何度も流れを変え、現在の昭島・立川へ続く姿になりました。
普段は意識せず通り過ぎる坂や低地、橋、道路にも、川と暮らしてきた街の歴史があります。そして、その歴史を現在の暮らしにつなぐ道具がハザードマップです。
雨の降っていない日に一度だけでも、自宅・駅・学校・職場と川の位置関係を地図で見ておく。拝島と多摩川を知る最初の一歩は、それだけでも十分意味があります。
参照・確認した情報
- 昭島市|洪水・土砂災害ハザードマップ
- 昭島市|水害(内水)ハザードマップ
- 昭島市|まるごとまちごとハザードマップの設置
- 昭島市|台風・大雨時の避難所
- 昭島市|避難場所・避難所一覧
- 昭島市|警戒レベルと避難情報
- 昭島市|過去の浸水履歴を知りたい
- 昭島市|災害時の避難場所はどこですか
- 国土交通省 京浜河川事務所|多摩川・浅川・大栗川 洪水浸水想定区域図
- 東京都建設局|残堀川流域洪水浸水想定区域図
- 東京都建設局|残堀川流域の概要・河川整備
- 東京都建設局|北多摩北部建設事務所 河川の整備
- 国土交通省|日本の川・多摩川の歴史
- 国土交通省|地域と多摩川・利水の歴史
- 国土交通省 京浜河川事務所|多摩川 秋川合流点・昭島市拝島町
- 西武鉄道|拝島駅