
棚が変わると、作った人まで変わる。
江古田の「雑貨屋みつぼし」は、そんな少し変わった楽しみ方ができるハンドメイド雑貨店です。
アクセサリー、布小物、ポストカード。ひとつの店に並んでいるのに、作品の雰囲気が棚ごとに違います。
ふつうの雑貨店なら、商品がいろいろあっても、店全体に共通する雰囲気があるもの。
それなのに、どうして「みつぼし」は棚ごとに違う世界が広がっているのでしょうか。
その理由をたどると、単なる雑貨のセレクトショップではない、ちょっと素敵なお店の成り立ちが見えてきます。
「雑貨屋みつぼし」は、さまざまなハンドメイド作家の作品を預かり、販売するお店です。
棚ごとに作り手が違うため、素材もデザインも個性的。商店会の公式紹介でも「一期一会な出会い」をつなぐ店と案内されています。[1]
住所は東京都練馬区栄町39-6。2026年の商店会掲載情報では営業時間11:00〜18:00、不定休です。
なぜ、ひとつの店なのに棚ごとに世界が違う?

その答えは、商品の仕入れ方にあります。
雑貨屋みつぼしは、ハンドメイド作品の「委託販売」を行っています。
委託販売とは、作家が自分の作品をお店に預け、店頭で販売してもらう仕組みのことです。
作家本人が毎日お店に立たなくても、作品を多くの人に見てもらえる。買う人にとっても、さまざまな作家の作品を一度に手に取れるという良さがあります。
みつぼしでは、その作り手の違いが棚にも表れています。江古田の地域情報サイト「江古田情報ステーション」も、棚ごとに異なる作家の作品が並ぶ店として紹介しています。[2]
つまり、このお店の棚は、商品を種類ごとに収納しているだけではありません。
それぞれの作家の個性を、小さなスペースごとに楽しめる場所でもあるのです。
アクセサリーを見ていたつもりが、隣の棚では陶器が気になり、その次は手作りのカードに目が止まる。
小さな雑貨店の中で、何人もの作り手の作品に出会えるわけです。
なかなか忙しい棚めぐりになりそうです。
ただ、ここで別の疑問が生まれます。
どうして、こんなふうに作家たちが集まるお店が生まれたのでしょうか。
始まりは、クリエイター三姉妹だった
時計を少し戻して、2012年7月7日。
江古田の音大通りに、「みつぼし」がオープンしました。
地元情報サイト「練馬・桜台情報局」には、開店当日の記録が残されています。運営していたのは、ものづくりに関わる三姉妹でした。[3]
三姉妹というだけでも少し気になりますが、それぞれの仕事を知ると、さらに面白くなります。
江古田の地域ウェブマガジン「えこだ島」が2015年に紹介した内容によると、長女はDTPデザイナー、次女は漫画家・イラストレーター、三女はテキスタイル作家でした。[4]
DTPデザイナーは、印刷物などの文字や画像をレイアウトする仕事。テキスタイル作家は、布や織物などを使って表現する作り手です。
デザイン、イラスト、布の表現。
三人ともクリエイターですが、得意分野はそれぞれ違います。
まさに、棚ごとに違う作品が並ぶ現在のお店を思わせる組み合わせです。
なぜ、姉妹で雑貨店を始めたの?

その背景を伝える手掛かりが、2020年に公開された江古田の散歩取材記事にあります。
お散歩メディア「さんぽるじゅ」の取材では、長女が作家である二人の妹の作品を置くために始めたお店だと紹介されています。[5]
最初から巨大な雑貨店を目指したという話ではありません。
身近な作り手の作品を、誰かに届ける場所をつくる。
確認できる開店の背景には、そんな家族のものづくりがありました。
そして、ここで話がつながります。
二人の妹の作品を置くために生まれたお店は、やがて、ほかの作家の作品も扱う場所へと広がっていきました。
店名は「みつぼし」。三姉妹が始めた店だと知ると、名前まで気になります。
ただし、「三姉妹だから三つの星と名付けた」という直接の命名理由は、今回確認した資料では断定できません。
名前の由来には余白が残りますが、お店が三姉妹から始まったことは記録に残っています。
「一点もの」って、何がそんなに特別なの?
ここまでで、棚ごとに違う理由と、お店の始まりが分かりました。
でも、もう一つ気になる言葉があります。
江古田駅北口商店会は、みつぼしの作品をこのように紹介しています。[1]
ハンドメイドとは、人の手によって作られたもの。
形や素材の組み合わせ、細かな仕上がりなど、作り手の工夫が表れるのが魅力です。
もちろん、手作りだから必ずすべての商品が一点しか存在しない、という意味ではありません。同じデザインを複数作る作家もいます。
ただ、みつぼしでは作家のオリジナル作品が中心に扱われており、地元の紹介記事でも一点ものの魅力が繰り返し取り上げられています。
そして、この店の「一期一会」を考えるうえで重要なのは、作品だけではありません。
次に行ったとき、同じ棚があるとは限らない
江古田マップに参加する喫茶ポルトの店舗紹介には、興味深い説明があります。
みつぼしでは期間を決めて作品を扱うことがあり、次に訪れたときには、作家そのものが入れ替わっている場合もあるというのです。[6]
つまり、気に入った作品を見つけても、次に同じ場所にあるとは限りません。
普通のお店なら、「また今度にしよう」で済むことも多いでしょう。
でも、ここでは少し事情が違います。
気になる作品との出会いは、商品だけでなく、その作家がその時期に参加していることによって生まれます。
棚そのものが、時間とともに変わっていく。
これが、みつぼしを何度も見に行きたくなる理由の一つと考えられます。
ただし、作家の入れ替えについては過去の地域紹介に基づく説明です。現在の個別の委託期間や在庫状況は、店舗への確認が必要です。
買うだけじゃない。自分で「作る側」にもなれる?
みつぼしの特徴は、棚に並んだ作品を選ぶことだけではありません。
実は、ものづくりを体験できるワークショップも開催しています。[1]
これは、ここまでの話を知ると、とても自然な展開に思えます。
作家の作品に出会う。
「かわいい」と思う。
そして、「どうやって作るんだろう」と気になってくる。
その先に、自分で作ってみる体験があるわけです。
フランスの伝統工芸が登場したことも
具体例として、2025年3月の地域イベント「カラフェス2025」では、フランスの伝統工芸であるカルトナージュのワークショップが案内されていました。
カルトナージュは、厚紙などを布や紙で装飾して小物を作る工芸です。
このイベントでは「ペルメル」という、カードやメモなどを飾るアイテムを作る企画が紹介されていました。[7]
アクセサリーや雑貨を買うつもりで訪れるお店に、フランスの伝統工芸まで登場するとは。
棚の世界だけでなく、体験できるものづくりの世界も広いようです。
なお、これは2025年に実施が案内された企画で、現在も同じ内容・料金で参加できるという意味ではありません。最新の開催日は店舗のSNSで確認してください。
手芸用品やアクセサリーの修理にも対応
さらに、商店会の2026年掲載情報では、ビーズやボタンなどの手芸用品に加えて、アクセサリーの金具交換や修理にも対応していると案内されています。[1]
かわいい作品を見つけて買うだけでなく、自分で何かを作ったり、使っているアクセサリーを直したりすることにもつながります。
作品が完成したところで終わらない。
そんなものづくりとの付き合い方が、このお店にはあります。
なぜ、このお店は江古田の街に似合うのか?
ここまで、お店の棚から始まって、三姉妹、作家、ワークショップと話が広がってきました。
では、なぜその舞台が江古田なのでしょう。
江古田は、日本大学芸術学部や武蔵野音楽大学などがある、芸術や学生文化との関わりが深い街です。
地域の散歩記事でも、学生街という一面とともに、さまざまな個人店が並ぶ街の様子が紹介されています。[5]
ただし、「芸術系の大学があるから、みつぼしが開店した」とまで断定できる資料はありません。
確かなのは、ものづくりに関わる三姉妹がこの街に店を開き、さまざまな作家の作品を紹介する場所を育ててきたということです。
そして、この店の仕組みを知ると、江古田の街の一面が少し具体的に見えてきます。
芸術や創作というと、美術館の展示や舞台の公演を思い浮かべるかもしれません。
けれど、表現の場所はそれだけではありません。
小さなポストカードや、手作りのアクセサリー、布を使った雑貨も、誰かのアイデアから生まれた作品です。
その作品を、特別な展覧会ではなく、街の雑貨店で手に取れる。
江古田のものづくり文化を、日常の買い物の中で感じられる。
みつぼしの魅力は、そんなところにもあるのではないでしょうか。
雑貨屋みつぼしの場所・営業時間・行く前の確認
みつぼしがあるのは、江古田駅北口側の音大通り沿いです。
2026年2月更新の江古田駅北口商店会の情報をもとに、店舗の基本情報を整理しました。
- 店名
- 雑貨屋 みつぼし
- 所在地
- 東京都練馬区栄町39-6 小林ビル1階
- 最寄駅
- 西武池袋線・江古田駅(北口側)
- 営業時間
- 11:00〜18:00
- 定休日
- 不定休
- 取扱内容
- ハンドメイド雑貨、アクセサリー、手芸用品など。ワークショップ、アクセサリー金具交換・修理の案内あり
- 支払い
- 練馬区商品券の取扱案内あり。その他の決済方法は店舗で確認
- 店舗情報
- 江古田駅北口商店会の店舗ページ
- @shopmituboshi
定休日は不定休です。過去の地域情報サイトには異なる営業時間も残っていますが、この記事では2026年更新の商店会情報を優先しています。
臨時休業やイベント出店、ワークショップの予定については、来店前に店舗のInstagramやXで最新の案内を確認してください。
また、作品の種類や在庫、金具交換・修理の対応可否などは、その日の状況によって異なる場合があります。
小さな棚の向こうに、何人もの作り手がいる

最初に気になったのは、「なぜ棚ごとに違う雑貨が並んでいるのか」ということでした。
調べてみると、みつぼしは三姉妹によるものづくりから始まり、さまざまなハンドメイド作家の作品と買い手をつないできたお店でした。
棚によって違うのは、色やデザインだけではありません。
その向こうには、それぞれの作品を考え、手を動かして作った人がいます。
しかも、作家や作品が入れ替わることもある。
そう考えると、店内の棚は、いつも同じ商品が並ぶ売り場とは少し違って見えてきます。
一つひとつが、小さな作品発表の場所なのかもしれません。
江古田の音大通りにある「雑貨屋みつぼし」。
お気に入りの雑貨を探しに行く場所であり、まだ知らない作り手に出会う場所でもある。
棚ごとに違う世界が広がっている理由は、そこにありました。
参考資料・出典
情報確認日:2026年10月24日。現在の店舗情報は2026年更新の商店会資料を優先し、創業時や過去の取扱作品については当時の地域取材資料を参照しています。
-
江古田駅北口商店会|雑貨屋 みつぼし
発行:江古田駅北口商店会
2026年2月更新。店舗所在地、営業時間、定休日、委託販売、ワークショップ、手芸用品、修理対応など。
https://ekoda-kitaguchi.com/mitsuboshi/
確認日:2026年10月24日 -
江古田情報ステーション|雑貨屋みつぼし
発行:江古田情報ステーション
2025年2月22日更新。棚ごとに異なる作家の作品、委託販売、ワークショップ、不定休の案内。
https://ekoda-event.jp/detail.php?shop_id=659
確認日:2026年10月24日 -
練馬・桜台情報局|ハンドメイド雑貨ショップ「みつぼし」(江古田)、オープン
発行:練馬・桜台情報局
2012年7月7日公開。創業日、三姉妹による開店、開業当初の取扱作品など。
https://s-nerima.jp/wp/18241
確認日:2026年10月24日 -
えこだ島|ハンドメイド雑貨ショップ「みつぼし」
発行:江古田の地元情報WEBマガジン「えこだ島」
2015年4月17日公開。三姉妹それぞれの創作分野、店のコンセプト、ワークショップの紹介。
https://ekodajima.com/ekodamap_mitsuboshi/
確認日:2026年10月24日 -
さんぽるじゅ|センス輝く個人店を巡る ― 芸術と食欲の秋を楽しむ【江古田】さんぽ
発行:さんぽるじゅ
2020年10月30日公開。姉妹の作品を置くために始まった店という取材内容、江古田の街と個人店の紹介。
https://sanporge.com/ekoda/
確認日:2026年10月24日 -
喫茶ポルト|ハンドメイド雑貨ショップ「みつぼし」
発行:喫茶ポルト・江古田マップ参加店紹介
音大通りの立地、委託販売、取扱作品、期間による作家の入れ替えなどを紹介した過去の地域資料。
喫茶ポルトの店舗紹介ページ
確認日:2026年10月24日 -
江古田イベント情報ステーション|カラフェス2025「雑貨屋みつぼし」編
発行:江古田イベント情報ステーション
2025年2月21日公開。2025年3月のカルトナージュ体験企画を紹介。現在の開催案内ではありません。
https://ekoda-event.jp/news.php?news_id=54
確認日:2026年10月24日
※本記事は公開資料および過去の取材記事をもとに構成しており、エキリプ編集部による現地訪問や店舗への独自取材を行ったことを示すものではありません。作品や作家の最新の参加状況、当日の営業情報は店舗の案内を優先してください。