
白糸台駅・武蔵野台駅|路線図の外を歩く
西武多摩川線の「白糸台駅」と、京王線の「武蔵野台駅」。駅名は違うのに、地図を開くと、ずいぶん近くにあります。
「これ、歩いて乗り換えられるのでは?」
その読みは当たりです。両駅は、駅の外を歩いて行き来できます。Yahoo!路線情報で確認した検索結果にも、白糸台から武蔵野台へ徒歩8分という経路が表示されています。西武から京王へ。間をつなぐのは、別の電車ではなく自分の足です。[1]
ただし、「3分で直結する秘密の連絡通路」と思って向かうのは、少し待ってください。駅の近さと、ホームからホームへ移る時間は、同じものではありません。
では、この二つの駅は、どう近くて、どうつながっているのでしょう。手掛かりは、地図だけでなく、駅の出口と府中市のまちづくり資料にもありました。
近いのに、なぜ改札の外を歩くの?
まず、二つの駅の位置関係を押さえましょう。白糸台駅は西武多摩川線、武蔵野台駅は京王線の駅。府中市の資料では、この地域を多摩川線が南北に、京王線が東西に通ると説明されています。[2]
南北の線と、東西の線。それなら、交わるところでまとめて乗り換えられそうです。
ところが、両社の駅構内図を見ると、白糸台駅と武蔵野台駅は、それぞれ独立した駅として描かれています。両駅の改札内を結ぶ通路は示されていません。利用するのは、白糸台駅の改札を出て、街路を歩き、武蔵野台駅の改札に入るという移動です。[3][4]
地図の上では近くても、駅の中では別々。お隣さんですが、廊下まで共用というわけではないのです。
ここで大切になるのが、「駅のどこを出て、どこへ入るか」。点と点の距離だけでは、乗り換えの全体像がつかめません。
「連絡通路」は、どこまで続いている?
武蔵野台駅の公式構内図には、北口と南口、線路の上にある改札階、ホームへ下りる階段やエレベーターが描かれています。白糸台駅から向かう際に目指すのは、武蔵野台駅の北口側です。[4]
府中市の資料にも、武蔵野台駅の駅舎を線路の上に設ける「橋上化」によって、自由通路の整備を進めたことが記されています。自由通路とは、電車に乗らない人も駅の両側を行き来できる通路のことです。[2]
ここが、言葉の小さな落とし穴です。
武蔵野台駅の南北をつなぐ自由通路と、西武・京王の二つの駅を直接つなぐ通路は、別の話。今回確認した資料では、白糸台駅から武蔵野台駅まで直結する専用連絡通路は確認できませんでした。
そのため、歩くときは「連絡通路の入口」を探すより、武蔵野台駅北口を目的地にして街路をたどるほうが、移動の仕組みをつかみやすくなります。
駅舎が近づいても、まだゴールではありません。京王線に乗るなら、改札階へ上がり、さらに乗る方向のホームへ移る。そのひと手間も、乗り換え時間のうちです。[4]
それでは、何分あれば乗り換えられる?
最初に渡された企画には「徒歩3分」とありました。しかし、その時間を駅間の乗り換え目安として裏付ける資料は見つかりませんでした。
一方、Yahoo!路線情報の確認できた検索結果では、両駅間は徒歩8分。別の検索では、白糸台から武蔵野台へ歩き、その先で京王線に乗る経路も表示されています。「乗り換え案内には出ない」と言い切れる経路でもありません。[1][5]
秘密の抜け道を探していたら、検索サービスにも見つかっていました。とはいえ、知っていないと思い浮かべにくい乗り継ぎではあります。
徒歩8分という表示も、誰でも必ず8分で次の電車に乗れるという保証ではありません。ホームから改札までの移動、踏切待ち、道を確かめる時間などで変わります。
初めてなら、編集部の目安として乗り換えに15分程度の余裕を。
これは実測値や鉄道会社の指定時間ではなく、道を確認しながら移動するための提案です。子ども連れや荷物の多い日はさらに余裕を取り、実際の列車時刻と歩行経路を確認してください。
では、こんなに近い二つの駅を、もっと移りやすくしようという話はないのでしょうか。
ありました。しかも、街の将来を考える資料に、駅名が並んで登場します。
この近さ、府中市も気にしていた
府中市が2022年2月に改定した「都市計画に関する基本的な方針」。その第1地域のまちづくり方針には、武蔵野台駅と白糸台駅の間のアクセスを改善することが盛り込まれています。[2][6]
さらに読み進めると、白糸台駅東口の開設などによって両駅の接続を向上させる方針や、円滑な乗り換えを鉄道事業者に要請し、周辺の道路整備を図る方針も示されています。[2]
「近いんだから、もう少し乗り換えやすくならないかな」。そんな疑問は、地図を見た人だけの思いつきではなかったのです。
ここから読み取れるのは、二つの駅の近さを、実際の使いやすさにつなげる余地があるということ。駅の入口や道路が変われば、同じ場所にある二駅でも、行き来のしやすさは変わります。
ただし、この資料はまちづくりの方針です。東口や直結通路が完成したという案内でも、開設日を知らせる資料でもありません。計画の言葉を、そのまま今日歩ける経路に置き換えないようにしましょう。
今回の発見は、「すごい秘密通路があった」という話から、少し姿を変えました。近くにある二駅をどう結ぶか。その途中に、街の道路と駅の入口があるのです。
歩いて乗り継ぐ前の、小さな案内
行き来する駅 西武多摩川線・白糸台駅(SW04)と、京王線・武蔵野台駅。白糸台駅の所在地は東京都府中市白糸台2-71-6です。[3] 移動の考え方 白糸台駅で改札を出て、街路を通り武蔵野台駅北口側へ。京王線に乗る場合は改札階を経てホームへ進みます。改札内の乗り換えではありません。[3][4] 時間の目安 確認できたYahoo!路線情報の表示は徒歩8分。初めての移動では、編集部提案として15分程度の余裕を取り、歩く速さや荷物に合わせて調整してください。[1] 京王線のホームを選ぶとき 武蔵野台駅の公式構内図では、1番線が京王八王子・高尾山口方面、2番線が新宿方面です。行先表示も確認してからホームへ。[4] 経路を確かめる 白糸台駅の公式案内と、武蔵野台駅の公式案内を確認し、地図サービスでは両駅間の徒歩経路を指定してください。踏切や交差点では、列車の時刻より安全を優先しましょう。駅名の違う二つの点が、歩くとつながる
白糸台と武蔵野台。最初は、地図に近接して載っている二つの駅名でした。
調べてみると、その間には、改札を出ること、街路を歩くこと、別の駅の改札へ入ることがありました。そして府中市の資料には、その行き来をもっと円滑にしようとする方針まで残っています。
「近い」と「乗り換えやすい」は、似ているようで少し違う。その違いをつくるのは、線路だけではなく、出口や道なのですね。
次にこの二つの駅名を見たら、その間の小さな空白にも目が向きそうです。そこは何もない場所ではなく、西武と京王を自分の足でつなげられる、街の一部分です。
白糸台の線路を、もう少したどるなら
人が歩いて別の路線へ移れる一方、多摩川線の電車自身にも、ちょっと意外な移動の事情があります。次は、ホームから見える電車や、その先の終点へ目を向けてみませんか。