
川越で、うなぎの蒲焼きが500円。
うなぎといえば、うな重を注文して数千円。ちょっと特別な日の食事というイメージがあります。
ところが、小江戸・川越の一番街には、うなぎを串に刺して500円で提供するお店があるのです。
その名も「うなぎ傳米(でんべ)」。
2026年11月3日放送のTBS系『ひるおび』でも、この500円のうなぎ串が紹介されました。[1]
でも、なぜ本格的なうなぎをワンコインで食べられるのでしょう。
調べてみると、単に小さく切って販売しているだけではない、うなぎ専門店ならではの考え方が見えてきました。
500円でうなぎ?「ひるおび」で紹介されたのは何だった?

まず、気になる500円の正体から。
2026年11月3日の『ひるおび』では、「1日5千円まんぞく旅」として、川越の観光スポットや食べ歩きグルメが取り上げられました。
川越氷川神社や時の鐘を訪ねる旅の途中に登場したのが、うなぎ傳米の「ミニ蒲焼」500円です。番組内容を記録したメディアでは、スタジオでもこの500円のうなぎが気になるという反応があったことが紹介されています。[1]
うなぎの蒲焼きを、串に刺して手軽に味わえる商品です。
つまり、500円でうな重が食べられるわけではありません。ご飯の入ったお重ではなく、うなぎそのものを少量から楽しむための一本なのです。
なるほど。サイズを変えれば、うなぎも食べ歩きグルメになる。
でも、そこで新しい疑問が浮かびます。
小さな串だからといって、味まで簡単なものになっているのでしょうか。
小さいのに本格派。その理由は「うなぎを育てる会社」にあった
実は、うなぎ傳米を手がけているのは、単なる飲食店の運営会社ではありません。
栃木県那珂川町を拠点とする「林屋川魚店」。うなぎの養殖も手がける川魚の専門企業です。[2]
川魚の製造・販売を続けてきた林屋川魚店が、川越でうなぎ料理を提供しているのです。
そして、うなぎ傳米で使用するうなぎは、自社の養鰻場で育てたものが中心。養鰻場とは、うなぎを育てる施設のことです。
すべてが自社養殖というわけではなく、時期によっては外部から仕入れることもあります。その場合も、川魚を扱ってきた専門家の目で選んでいると、2025年の取材記事で説明されています。[3]
ここで、500円の串焼きの印象が少し変わってきます。
安いからうなぎの専門性を省いているのではなく、うなぎを育て、選び、料理する人たちが、少量で楽しめる商品を用意しているということです。
しかも、串焼きには大きなうなぎを使う?
さらに意外なのが、テイクアウト用のうなぎのサイズです。
西武鉄道沿線メディア「ぐるっとプラス」が2025年に行った取材では、店主の小林優仁さんが、店内で提供するものよりもさらに大きなうなぎをテイクアウト用に使用すると説明しています。[2]
小さい串なのに、使ううなぎは大きい。
ちょっと逆では?と思いますよね。
大きなうなぎは脂がのりやすく、少量でもうなぎらしい旨みや食べ応えを感じてもらう狙いがあるそうです。
もちろん、500円という価格が実現できる具体的な原価や利益の仕組みまでは公表されていません。
ただ、この商品が単なる廉価版ではなく、うなぎの魅力を伝えるために考えられたことは、取材内容から分かります。
焼き方は、本格的な関東風
蒲焼きは、蒸してからタレを付け、炭火で焼く関東風の調理法。
一度蒸すことで柔らかな食感を引き出し、最後に焼くことで香ばしさを重ねます。
川越グルメの定番であるうなぎを、串一本から体験できる。
どうやら500円のミニ蒲焼は、食事の量を減らした商品であると同時に、本格的なうなぎ料理への入り口でもあるようです。
なぜ、うなぎを「食べ歩き」にしたのか?
うなぎ屋と聞くと、席に座り、うな重が運ばれてくるのを待つ光景を想像します。
ところが傳米には、店内で味わう料理とは別に、店頭で購入できるテイクアウトメニューがあります。
なぜ、その両方を用意したのでしょう。
答えは、若い世代にもうなぎを知ってもらいたいという思いにありました。
2025年の「ぐるっとプラス」の取材で、店主は10代や20代の人たちにも、うなぎのおいしさを知ってもらうためにテイクアウトを考えたと説明しています。[2]
確かに、うな重が数千円となれば、川越観光の途中で気軽に試すには少し勇気が必要です。
でも500円の串なら、さつまいもスイーツやお団子と並べて、食べ歩きの候補に入れやすくなります。
うなぎの入口を、ぐっと低くしたわけです。
しかも川越は、もともとうなぎ料理と関わりの深い街。その背景を知ると、傳米がこの場所にある理由も見えてきます。
そもそも、なぜ川越にはうなぎ屋が多いの?

ここで、少し街の歴史に目を向けてみましょう。
川越名物といえば、さつまいもや和菓子を思い浮かべる人も多いはず。
けれども川越には、江戸時代から続くうなぎの老舗もあります。
例えば、1807年創業とされる「小川菊」や、1832年創業の「いちのや」。どちらも長い歴史を持つうなぎ店です。
なぜ海のない川越で、うなぎ文化が育ったのでしょう。
老舗「小川菊」の七代目店主への取材では、江戸時代の川越周辺では、鯉やフナなどの淡水魚が身近なたんぱく源で、そうした川魚を扱う商売の中からうなぎ料理が発展していったことが語られています。[4]
当時の川越は、江戸との結びつきが深い商業の街でもありました。
川魚が身近だった土地で、商家の集まる街の食文化としてうなぎ料理が受け継がれていったのです。
ここで面白いのは、昔とうなぎの食べられ方が変化していることです。
川魚として身近だったうなぎが、やがて特別な食事として親しまれるようになり、今度は500円の串になって街歩きの中へ戻ってくる。
同じうなぎでも、時代によって食卓での役割が変わっているように見えます。
林屋川魚店が、川越に進出した理由
傳米の運営元である林屋川魚店にとっても、川越は縁のある土地でした。
「ぐるっとプラス」の取材によると、川越のうなぎ文化や以前からの取引関係を背景に、2010年に「うなぎ林屋」を開店。その後、2021年に2店舗目となる「うなぎ傳米」が誕生しました。[2]
つまり、傳米は昔からこの建物で営業していた老舗ではありません。
歴史あるうなぎ文化の街に、川魚の専門企業が新しい食べ方を持ち込んだお店なのです。
古い街だから、昔と同じ食べ方だけが残っているわけではない。川越の面白さは、こうした新旧の組み合わせにもあります。
築約140年の薬屋が、うなぎ屋に? 建物にも意外な過去があった

もう一つ、傳米には見逃せない特徴があります。
それは店舗の建物です。
現在のうなぎ傳米は、かつて薬屋として使われていた築約140年の町家を改装した店舗だと紹介されています。[2]
薬屋から、うなぎ屋へ。
扱う商品はずいぶん変わりました。
しかし、古い建物の構造を生かしながら、今も商売の場所として使われているところに、川越らしさがあります。
店内には、薬屋の時代に使われていた蔵も残されており、その2階にも客席が設けられています。
外から見ると昔ながらの商家ですが、中に入れば、現在のうなぎ料理店として使われている。
これはまさに、街の歴史と今の暮らしが同居している建物です。
「傳米」という名前に込められた意味
そして、店名にも手掛かりがありました。
「傳米」は「でんべ」と読みます。
一見すると人の名前のようですが、公式サイトでは、この二つの漢字に込めた思いが説明されています。
「米」という文字には、手間をかけて良質なものを作るという先人の思いを重ね、「傳」には、良質なうなぎ、歴史的な建物、日本の食文化や米文化を伝え、つないでいきたいという願いが込められています。[5]
なるほど。うなぎだけを意味する店名ではなかったのです。
食べ物も、建物も、文化も。
古いものをそのまま残すだけではなく、今の人が楽しめる形で次へ渡していく。
そう考えると、500円のミニ蒲焼も、店名に込められた思いと重なって見えてきます。
500円の串だけじゃない!傳米の具体的なメニューと値段
では、実際に行くなら何を注文できるのでしょうか。
傳米には、食べ歩き向けのテイクアウト商品と、店内で味わううな重や一品料理があります。
食べ歩き・テイクアウトメニュー
| メニュー | 税込価格 | 特徴 |
|---|---|---|
| ミニ蒲焼 | 500円 | 炭火焼きのうなぎを串で味わう |
| 鰻のきも焼き | 400円 | うなぎの肝を使った串焼き |
| う巻き | 500円 | 蒲焼きをだし巻き玉子で包んだ料理 |
| うな飯 | 800円 | ご飯と蒲焼きをカップ状の容器で楽しめる |
※2025年4月・11月の取材記事に掲載された価格。ミニ蒲焼500円は2026年11月3日のテレビ紹介でも確認されています。それ以外の商品の2026年11月時点の価格や販売状況は、来店前に店舗へご確認ください。[1][3]
まず試すなら、番組で紹介されたミニ蒲焼が分かりやすい一品です。
ご飯も一緒に楽しみたいなら、うな飯。玉子料理が好きなら、う巻きという選び方もできます。
うなぎの肝焼きは身の蒲焼きとは異なる歯ごたえや苦味も特徴です。うなぎにも、いろいろな味わい方があるのですね。
店内で食べるうな重・ひつまぶし
一方、じっくり食事を楽しみたい人には店内メニューがあります。
公式サイトで公開されている2025年11月版のお品書きには、次の料理が掲載されています。[6]
| メニュー | 税込価格 |
|---|---|
| うな重 並(鰻半身分) | 2,970円 |
| うな重 上(鰻一匹分) | 4,620円 |
| うな重 特上(鰻一匹半分) | 6,380円 |
| ひつまぶし | 5,170円 |
| お子様うな重 | 2,343円 |
| 坂東太郎うなぎ 大 | 8,800円 |
| 坂東太郎うなぎ 特大 | 11,000円 |
※公式掲載の2025年11月版メニューを参照。現在の販売価格・内容とは異なる場合があります。「坂東太郎うなぎ」は入荷がない場合や売り切れの場合があります。お子様うな重は小学生までが対象です。
ひつまぶしは、そのまま味わったり、薬味やとろろを加えたり、最後はだしをかけたりと、食べ方を変えられる料理です。
500円の串から、1万円を超える特別なうな重まで。
価格の幅が大きいのも、このお店の特徴です。
少しだけ食べたい人も、うなぎを主役にした食事を楽しみたい人も、それぞれに選べるようになっています。
本川越駅からどう行く? お店の場所と営業時間
うなぎ傳米があるのは、川越観光の中心地である一番街商店街です。
蔵造りの町並みが続く通り沿いで、川越のシンボル「時の鐘」からも近い場所にあります。
西武新宿線の本川越駅からは、徒歩約14分が目安。電車で川越を訪れる人にも立ち寄りやすい位置です。[2]
料理のラストオーダーは16:00の案内あり
店舗所在地・営業時間・定休日・電話番号は2026年11月5日に公式サイトで確認。ラストオーダーは2025年取材記事の情報です。臨時休業や売り切れ、最新の販売状況は公式案内をご確認ください。[5]
食べ歩きで気を付けたいこと
串焼きだからといって、混雑した道路を歩きながら食べるのは避けたいところです。
川越の一番街は、観光客だけでなく車も通る道路です。購入後は、店舗の案内に従い、安全な場所で立ち止まって楽しみましょう。
また、うなぎの串や食べ終えた容器は、周囲に放置せず、店舗のルールに従って処理してください。
テレビや取材記事では、どんなふうに紹介されてきた?
うなぎ傳米は、2026年の『ひるおび』だけでなく、以前からテレビや街歩きメディアで紹介されてきました。
2026年11月3日|TBS系「ひるおび」
「1日5千円まんぞく旅」の川越編に登場。
500円のミニ蒲焼が取り上げられ、限られた予算の中でも川越名物のうなぎを楽しめることが伝えられました。
番組では川越氷川神社、時の鐘、和紙ノート作り、いもめん、おさつチップなども紹介され、最後は残金29円という旅になりました。[1]
2022年12月3日|フジテレビ系「ぶらサタ・タカトシ温水の路線バスで!」
こちらの番組でも、うなぎ傳米が紹介されています。
放送情報のまとめには、当時のうな飯700円、ミニ蒲焼500円、きも焼き350円というメニューが掲載されています。[7]
注目したいのは、2022年の時点でもミニ蒲焼が500円だったことです。
今回の『ひるおび』で突然始まったサービスではなく、以前から食べ歩き向けの商品として親しまれてきたことが分かります。
2025年4月|「さんたつ by 散歩の達人」
実際に店を訪ねた取材記事では、うなぎの仕入れや焼き方、うな飯、う巻き、肝焼きなどが詳しく紹介されています。
店長への取材を通じて、うなぎとタレ、ご飯の組み合わせや、うなぎを少量から楽しんでもらう考え方も伝えています。[3]
2025年11月|「ぐるっとプラス」
西武線沿線の情報を発信する「ぐるっとプラス」では、養鰻場の三代目が店を手がけること、築約140年の町家を活用していること、若い世代へうなぎを届けたいという思いなどが紹介されました。
特に、大きなうなぎを使った500円のミニ蒲焼という話は、値段だけでは分からない商品の魅力を教えてくれます。[2]
公式SNSで最新情報を確認
うなぎ傳米の運営元「林屋川魚店」は、店舗公式ページから川越店のInstagramを案内しています。限定メニューや営業変更などを調べる際は、店舗公式ページから確認すると安心です。
なお、上記の番組内容は公開されている放送記録・紹介記事に基づくもので、放送映像やSNS投稿をすべて直接検証したものではありません。
500円の一本が、川越のうなぎ文化への入り口だった
最初は、500円でうなぎが食べられるという値段の意外さに目が向きました。
でも、調べていくと、その小さな串にはいくつもの背景がありました。
栃木県でうなぎを育てる川魚の専門企業。若い人たちにもうなぎの味を伝えたいという考え。昔から川魚を食べてきた川越の食文化。そして、かつて薬屋だった町家を活用するお店づくり。
そのどれもが、傳米というお店の個性につながっています。
うなぎの老舗が並ぶ街で、2021年に誕生した新しいうなぎ屋。
伝統的な食べ物を、今の街歩きに合った形で楽しめるようにする。
500円のミニ蒲焼は、ただの小さなうなぎではなく、うなぎ文化に親しむための一本だったのかもしれません。
次に川越の一番街を歩くとき、「うなぎ」と書かれた看板が少し違って見えそうです。
何千円もする特別な食事だけではない、その街ならではのうなぎとの付き合い方が、そこにあるのです。
そして一本食べて気に入ったら、次はうな重へ。
500円から始まる、なかなか奥の深い川越グルメです。

うなぎの次は、もう少し川越を歩いてみよう
傳米でうなぎを味わったら、同じ街で受け継がれてきた老舗や、意外な名物を探してみるのも楽しそうです。
参考資料・出典
-
「テレビでみた」/2026年11月3日放送『ひるおび』川越5千円旅の記録。ミニ蒲焼500円、紹介店舗、残金の推移など。
https://tv-mita.jp/2026-11-03/hiruobi/ -
「ぐるっとプラス」/2025年11月20日公開「川越『うなぎ傳米』の絶品うな重&食べ歩きできるうなぎ料理を味わう」。2025年10月7日の現地取材。店舗の沿革、建物、養殖、調理方法、価格、店主の説明。
https://grutto-plus.com/area/kawagoe/660/ -
「さんたつ by 散歩の達人」/2025年4月25日更新「本格うなぎを気軽に楽しめる川越『うなぎ 傳米』」。うなぎの仕入れ、川越の食文化、食べ歩きメニューの取材。
https://san-tatsu.jp/articles/400087/ -
「川越観光やグルメ情報満載!」/老舗「小川菊」七代目店主への取材記事。川越における川魚とうなぎ料理の歴史。
https://mag.c-kawagoe.com/archives/3359 -
林屋川魚店/「うなぎ傳米(DENBE)」公式店舗案内。店名の意味、住所、電話番号、営業時間、定休日。
https://nasu-hayashiya.co.jp/store/denbe/ -
林屋川魚店/「傳米 店内メニュー」公式PDF(2025年11月版)。うな重、ひつまぶし、お子様料理などの内容と税込価格。
公式メニューPDFを見る -
ActiviTV/2022年12月3日放送「ぶらサタ・タカトシ温水の路線バスで!」のうなぎ傳米紹介記録。当時の料理と価格。
https://www.activitv.com/entry/burabura_221203_taka-kawagoe/
情報確認日:2026年11月5日。料金・メニュー・営業時間・販売条件は変更される場合があります。テレビ番組・取材記事に登場した過去の価格は、その時点の情報として記載しています。この記事は各公開資料に基づく編集記事であり、現地訪問による独自取材を行ったものではありません。