
川越に、創業100年を超える印刷会社があります。
そこで体験できるのは、なんと針と糸を使った和紙のノート作り。
印刷会社なのに、印刷するのではなく、自分で紙を綴じる?
ちょっと不思議な組み合わせです。
その場所は、蔵造りの町並みで知られる川越・札の辻近くにある「文星舎(ぶんせいしゃ)」。
2026年11月3日放送のTBS系『ひるおび』でも、川越の1日5,000円旅のなかで、和紙ノート作りが紹介されました。 [1] [2]
実は、この会社が生まれたのは1924年。100周年を迎えた2024年に、自分たちが受け継いできた紙と文字の文化を伝える体験施設を開いたのです。 [3]
でも、それなら気になることがあります。
100年続く印刷会社が、なぜ今、昔ながらの「紙を綴じる仕事」を人々に教えているのでしょう?
100年続く印刷会社が、なぜ体験施設を開いた?

最初の手掛かりは、会社の歴史にありました。
文星舎を運営しているのは、川越の「株式会社櫻井印刷所」。
創業は大正13年、1924年です。場所は川越の札の辻。ちょうど蔵造りの町並みが続く、一番街の北側にあたる地域です。
そして2024年、創業100周年という節目に、創業の地で体験施設「文星舎」を始めました。 [3]
つまり、文星舎そのものが100年以上営業しているわけではありません。
100年を超える印刷会社が、自分たちの原点を伝えるために開いた、新しい場所。
ここが重要な違いです。
1924年:櫻井印刷所が川越・札の辻で創業
2024年:創業100周年を迎え、紙・文字・印刷文化の体験施設「文星舎」を開設
2026年:創業から102年。『ひるおび』で和紙ノート作りが紹介される
櫻井印刷所は現在も、商業印刷だけでなく、企画、デザイン、動画、Webなど、幅広い仕事を手掛けています。 [3]
デジタルにも対応している会社が、あえて昔の印刷や製本を伝えている。
時代に取り残されたからではなく、時代が変わったからこそ残したい技術がある、ということなのでしょう。
そして、もう一つ。
「文星舎」という少し文学的な名前にも、会社の歴史が隠されていました。
「文星舎」は新しい名前? 実は創業当時の屋号だった

文星舎。
どこか昔の出版社や本屋さんを思わせる名前です。
100周年に合わせて考えた新しいブランド名かと思いきや、実は違いました。
「文星舎」は、櫻井印刷所が創業した当時の屋号なのです。 [3]
つまり、100年後に突然生まれた名前ではなく、創業時の名前をもう一度使っているわけです。
なるほど。名前まで原点回帰だったのですね。
昔の会社が、昔の道具を展示するだけではなく、実際に使える体験へとつなげている。
そこには、印刷会社ならではの理由があります。
櫻井印刷所が創業した時代、印刷の中心にあったのは「活版印刷」でした。
では、その活版印刷とは、今のプリンターと何が違うのでしょう。
パソコンより前、文字は一つずつ並べていた?
例えば「川越」という二文字を印刷するとします。
今ならパソコンで入力して、印刷ボタンを押せば終わりです。
ところが、昔の活版印刷ではそうはいきません。
「川」の活字を選び、「越」の活字を探し、それらを並べて版を作るところから始まります。
活字とは、文字がハンコのように浮き出た金属などの小さな部品のこと。
文字を組み合わせ、インキを付け、紙に圧力をかけることで文字を写します。 [3]
たった二文字でも、まず二つの部品が必要。
長い文章になったら、いったい何文字を並べるのでしょう。
文星舎には、昔の活字を収納した棚や活版印刷機があり、取材記事でも紹介されています。 [4]
活版印刷の面白さは、紙に残るわずかな凹みや、インキのかすれにもあります。
同じ文字を印刷しても、均一なデジタル印刷とは少し違う表情が生まれます。
文星舎では、その活版印刷を実際に体験することもできます。
そして面白いのは、ここで体験できるのが「文字を印刷する技術」だけではないこと。
次に登場するのは、紙を本にする技術です。
なぜノートを糸で綴じる? 和綴じに隠された昔の知恵

一般的なノートの背中には、針金や接着剤が使われていることがあります。
ところが文星舎で作るノートには、表紙の端に糸が通っています。
これは「和綴じ(わとじ)」という、日本で古くから使われてきた製本方法です。
紙を重ね、端に穴を開け、糸を通して一冊の本に仕上げます。
代表的なのが、四つの穴を使う「四つ目綴じ」。
針と糸で本を作る。洋服のお直しではありません。本づくりです。
では、どうしてこんな方法が使われてきたのでしょう。
手掛かりは、使われる紙にあります。
和紙は、長く残すための素材でもあった
日本の伝統的な和紙には、楮(こうぞ)や雁皮(がんぴ)などの植物繊維を原料とするものがあります。
紙の種類や保存条件によって違いはありますが、丈夫で長期保存に向く和紙は、古い書物や記録を残すうえでも重要な役割を果たしてきました。 [3]
そして、和紙を重ねて糸で綴じる技術が、書物の形を作ってきたのです。
今回作るのは小さなノートですが、手を動かしている作業は、昔の本づくりにつながっています。
そう考えると、ノート一冊の見え方も少し変わります。
では、その和綴じを初めて体験する人でも、本当に自分で作れるのでしょうか。
『ひるおび』では1,000円! 和紙ノート作りは何をする?
2026年11月3日の『ひるおび』では、岡田結実さんが小江戸・川越を巡る「1日5千円まんぞく旅」が放送されました。
TBSの番組案内でも、グルメだけでなくアクティビティや買い物を楽しむ企画として紹介されています。 [1]
放送内容をまとめた記事によると、文星舎で紹介された和紙ノート作りは1,000円。
番組内では30種類以上の表紙が紹介され、起き上がりこぼしの柄を選び、緑色の糸で綴じたと記録されています。 [2]
ここで少し注意したい点があります。
2026年11月5日時点の文星舎公式サイトでは、1,000円の簡単な和綴体験について「約10種類の絵柄から選ぶ」と案内されています。 [3]
番組で紹介された表紙の数と現在の公式掲載数は異なるため、当日選べる種類は予約時に確認するのが確実です。
約30分の「簡単な和綴ノート」
現在公式サイトに掲載されている簡単な体験は、A6サイズの和綴ノート作りです。
-
表紙の絵柄を選ぶ
公式案内では約10種類のデザインから選べます。 -
綴じる糸の色を決める
表紙に合わせて好きな色を選びます。 -
針と糸で紙を綴じる
和綴じの方法でノートを一冊に仕上げます。 -
完成したノートを持ち帰る
自分で選んだ表紙と糸の組み合わせが、旅の記念になります。
簡単な和綴ノート体験
料金:1,000円(税込)
所要時間:約30分
仕上がり:A6サイズ
予約:必要(現行公式案内)
2026年11月5日時点の公式掲載情報。以前の取材記事では予約不要と紹介されていましたが、現在は予約が必要と案内されています。
30分ほどで、和紙を綴じる昔の技術に触れられる。
しかも、自分で選んだ糸の色まで作品に残ります。
もちろん、ここで作るのは完成品を買うだけのお土産ではありません。
自分の手で仕上げることが、体験の中心なのです。
もっと本格的に作るなら? 4,400円の体験は別世界
ここまでのノート作りは、比較的短時間で楽しめるコースです。
でも文星舎には、もう一つ、本格的な和綴製本の体験があります。
名前は「帖 -kakimono-」。
こちらは和綴製本と活版印刷を組み合わせたコースで、料金は4,400円(税込)、所要時間は公式案内で約1時間30分です。 [3]
では、1,000円の体験とは何が違うのでしょうか。
表紙だけでなく、中の和紙まで選べる
本格コースではA6またはA5サイズを選択でき、表紙になる和紙も自分で決められます。
A6サイズでは中身の和紙も複数の種類から選択可能。A5サイズは二つ折りの紙を使い、御朱印帳としても利用できる形です。
2024年に公開された西武線沿線メディア「ぐるっとプラス」の体験取材では、表紙用の和紙が約50種類用意されていたと紹介されています。 [5]
表紙だけで約50種類。
そこに糸の色や中身の和紙まで組み合わせるとなると、制作前から迷ってしまいそうです。
ただし、この種類数は2024年の取材時点のもの。現在も同じ数を選べるとは限りません。
取材記事で紹介された制作工程
「ぐるっとプラス」の体験記では、次のような工程が紹介されています。
- 表紙用の和紙を選び、裏表紙や中身の紙を組み合わせる。
- 綴じ糸の色と、背の上下を補強する「角布(かどぎれ)」を選ぶ。
- 表紙の芯となる紙に和紙を貼り、角を整える。
- 中身の紙を重ね、表紙と合わせて穴を開ける。
- 四つの穴に糸を通して綴じ、結び目を目立たないように収める。
- 表紙を仕上げ、オリジナルノートを完成させる。
さらに活版印刷の体験が含まれ、お菓子も付いています。 [3] [5]
ここまでくると、単なるノート作りというより、小さな製本職人体験です。
表紙の角をきれいに仕上げたり、糸の結び目を隠したり。
完成品では見えにくい工夫を、自分の手で知ることができます。
和紙ノート以外にも! 文星舎で体験できる4つのメニュー
文星舎の体験は、和紙ノート作りだけではありません。
印刷会社ならではの、文字を使ったメニューもあります。
| 体験内容 | 料金(税込) | 所要時間 |
|---|---|---|
| 簡単な和綴ノート(A6) | 1,000円 | 約30分 |
| 本格和綴製本&活版印刷「帖 -kakimono-」 | 4,400円 | 約90分 |
| 蔵書票への活版印刷名入れ(5枚) | 1,300円 | 約30分 |
| レターセット・一筆箋への活版印刷名入れ | 商品代+1,000円 | 約60分 |
※料金・所要時間は2026年11月5日時点の櫻井印刷所公式サイト掲載情報です。いずれも予約が必要です。内容は変更される場合があります。 [3]
「蔵書票」って何? 本に貼る小さな名札
メニューの中で、少し耳慣れない名前があります。
蔵書票(ぞうしょひょう)。
これは、自分の本であることを示すため、本の内側などに貼る小さな紙のことです。
文星舎では、好きな蔵書票を5枚選び、活版印刷で名前を入れる体験ができます。
本に名前を書くかわりに、特別な小さなラベルを貼る。
しかも、その名前を昔ながらの印刷技術で入れられるわけです。
お気に入りの本を、さらに自分だけの一冊にできそうです。
レターセットにも名前を印刷できる
レターセットや一筆箋に、活版印刷で自分の名前を入れる体験も用意されています。
料金は選んだ商品の代金に1,000円を追加する方式。
手紙を書くことが少なくなった時代だからこそ、名前が印刷された便せんには、ちょっと特別な魅力があります。
誰かに渡す一枚を、自分で印刷する。
文字を届ける仕事を100年以上続けてきた会社らしい体験です。
文星舎はどこ? 本川越駅からのアクセス・予約方法
文星舎は、川越の蔵造りの町並みで知られる一番街の北側、札の辻交差点近くにあります。
西武新宿線・本川越駅からは徒歩約18〜20分。
2024年の「ぐるっとプラス」取材では徒歩18分、西武鉄道の観光案内では徒歩20分と紹介されています。 [5] [6]
蔵造りの町並みを通って向かうこともできるので、川越観光と組み合わせやすい場所です。
- 施設名
- 文星舎(ぶんせいしゃ)
- 運営
- 株式会社櫻井印刷所
- 所在地
- 埼玉県川越市元町2-4-5
- 最寄駅
- 西武新宿線・本川越駅
- アクセス
- 本川越駅から徒歩約18〜20分。路線バス利用の場合は「札の辻」下車、徒歩すぐ。
- 営業時間
- 参考目安10:00〜16:00。営業日・受付時間は事前確認を推奨。
- 定休日
- 不定休
- 予約
- ワークショップ・見学とも要予約
- 電話番号
- 049-222-1164
- 駐車場
- 専用駐車場なし
- 公式サイト
- 文星舎|櫻井印刷所公式ページ
※営業時間10:00〜16:00は2025年公開の「るるぶ&more.」掲載情報を参考にしています。現行公式サイトでは不定休と案内されており、営業カレンダー・予約受付状況を事前に確認してください。
予約なしで行っても大丈夫?
ここは特に注意しておきたいところです。
2024年や2025年の取材記事には、短時間の和綴体験を「予約不要」と紹介したものがあります。
しかし、2026年11月5日時点の公式サイトには、ワークショップ・見学は要予約と明記されています。 [3]
テレビを見て、そのまま立ち寄りたくなる場所ですが、体験希望の場合は先に問い合わせておくのがおすすめです。
とくに休日や親子での参加では、希望日時、人数、体験メニューを伝えて確認すると安心です。
針を使用する体験もあるため、小さな子どもと参加する場合は、保護者の付き添いや参加条件について予約時に確認してください。
テレビだけじゃない! 西武線沿線の取材記事でも紹介
文星舎は『ひるおび』だけでなく、以前から旅行メディアや西武線沿線の情報媒体でも紹介されてきました。
2026年11月3日|TBS『ひるおび』
岡田結実さんによる川越の「1日5千円まんぞく旅」の中で、和紙ノート作りが登場。
放送内容の記録記事では、体験料1,000円、起き上がりこぼしの表紙、緑色の綴じ糸が紹介されています。
2024年11月20日|ぐるっとプラス
西武線沿線メディア「ぐるっとプラス」では、実際に活版印刷と和綴製本を体験した様子を紹介しています。
和紙の種類や糸の色選び、目打ちによる穴開け、四つ目綴じなど、制作工程が写真付きで詳しく掲載されています。
本格コースで何をするのか、具体的に知りたい人には参考になる記事です。
2025年3月30日|るるぶ&more.
旅行メディア「るるぶ&more.」でも、文星舎の活版印刷や和綴製本が紹介されています。
活字棚、伝統的な和紙、短時間の体験メニュー、本格コースの違いなど、印刷文化に触れる施設としての魅力が取り上げられています。
西武鉄道の観光情報でも掲載
西武鉄道の沿線情報「fillute」でも、活版印刷と和綴じを楽しめるスポットとして紹介されています。
こちらは2024年1月時点の情報で、本川越駅から徒歩20分と案内されています。
100年の印刷会社が、今も「紙」を大切にする理由
最初は少し不思議でした。
100年以上続く印刷会社で、なぜ印刷するのではなく、糸でノートを作るのか。
でも、歴史をたどると、その理由が見えてきます。
1924年に川越で生まれた櫻井印刷所。
活字を並べ、紙に文字を刷る技術を扱ってきた会社が、100周年に創業時の屋号「文星舎」をよみがえらせました。
そして始めたのは、昔の機械や技術をただ眺めるのではなく、実際に手を動かして体験できる場所でした。
一文字ずつ印刷する活版印刷。
一枚ずつ紙を重ね、針と糸で仕上げる和綴製本。
どちらも、普段は完成品しか目にしない技術です。
でも、自分で一冊作ってみると、紙を選び、文字を印刷し、糸を通すという仕事が、どれほど細かな工程でできているのか分かります。
文星舎の和紙ノートは、100年の印刷会社が受け継いできた「紙と文字の文化」に、自分の手で触れられる小さな入口なのです。
『ひるおび』で紹介された1,000円のノート作り。
最初は気軽な川越土産に見えましたが、その糸の結び目には、昔の本づくりにつながる技術がありました。
完成したノートに最初の一文字を書くとき、いつものノートとは、ちょっと違う気持ちになるかもしれません。

次は川越で、もう一つの「手作り」と「文字の物語」を
文星舎で紙と文字の面白さを知ったら、川越にはまだ、少し変わった体験があります。
自分の手で何かを作ったり、誰かに言葉を届けたり。そんな川越の別の顔も、のぞいてみませんか。
参考資料・出典
本記事は、施設公式情報、テレビ番組の公開案内、放送内容の記録記事、取材記事などを照合して作成しました。料金・予約条件は原則として2026年11月5日時点の公式掲載情報を優先しています。
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TBSテレビ|『ひるおび』2026年11月3日放送案内
発行:TBSテレビ
放送日、岡田結実さんによる川越5,000円旅の企画概要を確認。
https://www.tbs.co.jp/tv/20261103_C3A1.html
確認日:2026年11月5日 -
テレビでみた|『ひるおび』11月3日の紹介内容
発行:テレビでみた
番組内の櫻井印刷所、1,000円の和紙ノート作り、表紙と糸の選択内容を確認。TBS公式の番組案内とは区別した二次情報。
https://tv-mita.jp/2026-11-03/hiruobi/
確認日:2026年11月5日 -
文星舎|櫻井印刷所公式サイト
発行:株式会社櫻井印刷所
1924年創業、2024年の施設開設、屋号の由来、和綴製本・活版印刷のメニュー、料金、予約条件、住所、電話番号を確認。
https://sakurai-p.co.jp/bunseisha/
確認日:2026年11月5日 -
るるぶ&more.|川越で活版印刷と和綴製本を楽しもう
発行:るるぶ情報版編集部
公開日:2025年3月30日
活字棚、活版印刷機、和紙の特徴、体験の内容を確認。掲載当時の予約条件と現在の条件は区別。
https://rurubu.jp/andmore/article/23189
確認日:2026年11月5日 -
ぐるっとプラス|伝統技術の魅力を再発見!本川越「文星舎」で活版印刷と和綴製本を体験
発行:ぐるっとプラス
公開日:2024年11月20日
取材日:2024年10月4日
本格コースの和紙選び、道具、制作工程、当時の体験内容とアクセスを確認。
https://grutto-plus.com/area/kawagoe/587/
確認日:2026年11月5日 -
西武鉄道|西武ニュース fillute 体験特集
発行:西武鉄道株式会社
2024年1月時点の施設情報、本川越駅からの徒歩アクセス、活版印刷と和綴じの紹介を確認。
https://www.seiburailway.jp/railways/fillute/experience/202402-03/
確認日:2026年11月5日
最終情報確認日:2026年11月5日
※本記事は公開資料をもとに編集したものであり、施設への独自取材や番組映像の直接確認を行ったものではありません。ワークショップの料金、受付状況、営業日、参加条件は変更される場合があります。訪問前に公式サイトをご確認ください。