
入曽と不老川|名前の由来・2016年水害・洪水ハザードを解説
西武新宿線・入曽駅のすぐ北側を流れる不老川(ふろうがわ)は、入曽の歴史と防災を知るうえで外せない川です。昔は「としとらず川」と呼ばれた伝説を持つ一方、2016年8月の台風9号では入曽地区を中心に浸水被害が発生しました。現在も治水対策や調節池整備が続いています。この記事では、不老川の名前の由来、入曽との関係、過去の氾濫、水害ハザードマップ、洪水と内水氾濫の違い、大雨前に確認したいことまで整理します。
点数ではなく、この場所の特徴を6方向の感覚で表しています。
交通の便利さ
入曽駅近くを不老川が流れ街との接点が強い
日常の買い物
七曲井やとしとらず川の伝承が残る
外食・カフェ
河川沿いを歩いて地域史をたどれる
子育て環境
2016年水害を踏まえ地区防災計画が策定されている
自然・散歩
調節池や河川改修など治水対策が続く
地域のにぎわい
大雨時は河川周辺への接近を避ける必要がある
不老川とは?入曽のすぐそばを流れる一級河川
不老川は、東京都西多摩郡瑞穂町に源を発し、入間市・所沢市・狭山市を通って川越市で新河岸川へ合流する一級河川です。埼玉県によると、流域面積は約56.6平方キロメートル、流路延長は17.0km。狭山市では南東部の入曽・堀兼地区を南西から北東方向へ流れています。
| 河川名 | 不老川(ふろうがわ) |
|---|---|
| 水系 | 荒川水系・新河岸川支流 |
| 流路延長 | 17.0km |
| 流域面積 | 約56.6平方キロメートル |
| 主な流域 | 東京都瑞穂町、埼玉県入間市・所沢市・狭山市・川越市 |
| 入曽との関係 | 狭山市の入曽地区を流れ、西武新宿線とも交差する |
| 水害情報 | 狭山市水害ハザードマップ、不老川流域防災マップで確認可能 |
なぜ「不老川」という名前なの?昔は“としとらず川”だった
「年を取らない川」という伝承
現在は「ふろうがわ」と読むのが一般的ですが、不老川は古くから「としとらず川」と伝えられてきました。狭山市公式サイトには、節分の晩に川に架かる橋の下で一夜を明かすと年を取らないという伝説が紹介されています。
不老川は冬季に水量が少なくなる川としても知られ、かつて「年を越すころに流れがなくなる川」という土地の記憶と、「年を取らない」という言葉遊び・伝承が重なってきたとされています。
入曽駅東口駅前広場には、狭山市が設置したデザインマンホールの一つとして「伝説の川・不老川と七曲の井と童」が採用されています。つまり不老川は、防災上重要な川であるだけでなく、現在の入曽駅前でも地域文化を表現するモチーフになっています。
不老川と七曲井|入曽が昔から「水」と向き合ってきた痕跡
不老川の近くには、埼玉県指定史跡の「七曲井」が残ります。北入曽の鎌倉街道沿いにあり、漏斗状に地面を掘り下げて水を得る古い形式の井戸です。狭山市では平安時代初期に武蔵国府によって掘られた可能性を紹介しています。
武蔵野台地は、どこでも簡単に水が得られる土地ではありませんでした。すぐそばに川がありながら、生活用水を確保するために大きく地面を掘り下げた井戸が必要だったことは、入曽周辺の地形と暮らしを考えるヒントになります。
2016年8月22日、不老川で何が起きた?
入曽と不老川の水害を考えるうえで大きな転機になったのが、2016年(平成28年)8月22日の台風9号です。
狭山市の水害ハザードマップでは、不老川流域で1時間103mm、24時間254mmの雨量を記録し、多くの被害が発生したと説明しています。狭山市の災害記録では、不老川の溢水が入曽・堀兼で4か所確認され、市全体で床上浸水58棟、床下浸水292棟となりました。
市の記録では、この台風時に土のう18,200袋が設置され、不老川の溢水4か所、河川被害25か所なども記録されています。入曽地区の道路冠水写真は現在の狭山市水害ハザードマップにも掲載されており、この水害が地域の防災計画に強く影響したことが分かります。
[ekirip-chart type="bar" title="2016年台風9号時の狭山市の住宅浸水被害" description="狭山市が公表する災害記録に記載された床上・床下浸水棟数" labels="床上浸水|床下浸水" values="58|292" unit="棟" source="狭山市の災害記録" source_url="[https://www.city.sayama.saitama.jp/kurashi/anshin/bosai/bousaihazard/sinsaikiroku.files/saigaikiroku21karagenzai2.pdf](https://www.city.sayama.saitama.jp/kurashi/anshin/bosai/bousaihazard/sinsaikiroku.files/saigaikiroku21karagenzai2.pdf)" note="2016年8月22日・台風9号による狭山市全体の被害記録。不老川流域以外の市内被害を含む可能性があります。"]グラフを見ると、床上浸水だけでなく床下浸水も広い範囲で発生していたことが分かります。自宅が川から少し離れている場合も、「河川そのものの氾濫」と「道路や排水施設から水があふれる内水」の両方を確認することが重要です。
洪水と内水氾濫は違う|入曽では両方を確認したい
狭山市は2001年度から2020年度までに道路冠水や内水浸水が確認された箇所を水害ハザードマップへ掲載しています。洪水想定区域の色だけを見て「自宅は大丈夫」と判断せず、過去の内水実績も合わせて見るのがポイントです。
入曽のどこに注意したい?まず「不老川流域防災マップ」を見る
2016年の台風9号を受け、入曽地区では住民や防災関係者による「狭山市入曽地区防災計画」が作られました。あわせて公開された「不老川流域防災マップ」には、当時の不老川の溢水、入曽調節池・林川の調節池の越水による浸水被害区域と、水が流れた方向が示されています。
BEFORE HEAVY RAIN|平常時に開いておきたい3ページ
不老川の治水対策は今どうなっている?
不老川では2016年の浸水被害後、河道拡幅や橋の架け換え、調節池整備などが進められてきました。
2025年12月の埼玉県議会答弁では、狭山市内で西武新宿線より上流側に未整備区間が残り、2024年度から河道拡幅に向けた詳細設計へ着手。西武新宿線から上流790mの設計が完了していると説明されています。また、狭山市堀兼地区では新たな調節池の整備も検討され、2026年1月には事業候補地を示す第2回事業説明会が行われました。
狭山・入曽パークと入曽多目的広場
入曽多目的広場や「狭山・入曽パーク」は、不老川の治水対策として整備された調節池の底面を、平常時に運動やレクリエーションへ活用している施設です。
狭山市は、不老川が増水すると川の水が施設へ流入することがあるため、大雨時には速やかに退出するよう案内しています。「普段は公園・広場、雨のときは水を受け止める場所」という二つの役割を持っています。
大雨になる前に、入曽で確認しておきたいこと

01|自宅・職場をハザードマップで確認
想定浸水深だけでなく、浸水継続時間、過去の内水浸水実績、不老川流域防災マップも確認します。
02|安全な避難先と経路を複数考える
「避難所へ行く」だけが避難ではありません。自宅で安全を確保できる条件、親戚・知人宅などへの避難も含め、狭山市の最新案内に沿って判断します。
03|雨量と不老川の水位をスマホで見る
埼玉県「川の防災情報」では、水位・雨量・河川監視カメラなどを確認できます。大雨中に不老川へ直接様子を見に行く必要はありません。
04|停電・断水・避難を想定して持ち物をまとめる
ライト、携帯トイレ、飲料水、常用薬、モバイルバッテリー、着替えなどを平常時に確認しておきます。
入曽駅と不老川を歩くなら|平常時だから見える街のつながり
平常時に入曽駅周辺を歩くと、不老川は「危険な川」という一面だけではありません。七曲井、古い地名、調節池を兼ねた広場、新しくなった入曽駅前が徒歩圏に混在し、この街が水と付き合いながら形を変えてきたことが見えてきます。
入曽駅東口には不老川と七曲井を描いたマンホールもあります。駅前の再開発だけを見ていると新しい街に見えますが、数分歩けば千年以上前の水利用を思わせる井戸と、不老川の治水施設が現れる。この時間の重なりが入曽らしいところです。
こんな人に読んでほしい
年とらぬ
川を見つめて
雨に備え
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不老川と入曽についてよくある質問
一言でいうと|不老川は「入曽の歴史」と「現在の防災」が重なる川
不老川には、「としとらず川」という少し不思議な伝説があります。そのすぐそばには七曲井があり、駅前には川と井戸を描いたマンホールがあります。一方で、2016年の台風9号では入曽地区が大きな水害を経験しました。
昔話だけの川でも、防災だけの川でもありません。入曽の人々が水を求め、水に悩み、水と共に街をつくってきた歴史そのものが、不老川の周辺には残っています。
普段は街の風景として眺め、大雨の前にはハザードマップを開く。そんな距離感で川を知っておくことが、入曽という街をより深く知ることにも、いざという時の備えにもつながります。