
入間市を走る、小さな白と緑のワゴン車。実はこの車、どこまで乗っても大人100円なんです。
名前は「てぃーワゴン」。入間市が運行するコミュニティ交通の一つです。
大人は1回100円、小学生は50円。11回分の100円券を1,000円で買える回数券まであります。
電車を一駅移動するより安いこともある、この乗り物。どうしてそんな料金で利用できるのでしょうか。
さらに調べると、2026年4月に運行ルートが変更されていたことが分かりました。
しかも、変更のきっかけは道路工事でも駅の再開発でもありません。
ある公共施設の閉館が、地域の交通ルートを変えることになったのです。
100円の小さなワゴンに隠れた仕組みを知ると、普段の買い物や通院の移動が少し違って見えてきます。
小学生:1回50円
幼児:無料
回数券:100円券11枚で1,000円
支払い:現金・回数券(PASMO・Suica不可)
2026年4月の変更:一部コースの停留所廃止と経路変更。運賃・てぃーワゴンのダイヤは変更なし。
最終確認:2026年10月21日
[1] [2] [3]なぜ、小さなワゴンはどこまで乗っても100円なのか?

普通の路線バスなら、乗る距離によって運賃が変わることがあります。
ところが、てぃーワゴンは違います。
一区間でも、同じコースを長く乗っても、大人の基本運賃は100円。距離を気にせず利用できます。[1]
安いのはうれしいけれど、どうしてこんな仕組みなのでしょう。
その理由を知るには、てぃーワゴンが生まれた経緯をたどる必要があります。
もともとは、地域の移動の不便を減らすための乗り物
入間市では、1997年7月に市民の公共施設などへの移動手段を確保する目的で、市内循環バスの運行が始まりました。
その後、2018年1月30日から、東金子・金子・宮寺・二本木などの地区で、ワゴン車タイプの「てぃーワゴン」が実証運行を開始します。
実証運行とは、本格導入する前に、実際に走らせて利用状況や課題を確かめることです。
そして2020年4月1日、本格運行へ移行しました。[1]
つまり、てぃーワゴンは単なる格安の観光バスではありません。
地域の人が病院や公共施設などへ移動しやすいよう、小型車両で地域を細かく結ぶ交通手段として整備されてきたものです。
だからこそ、分かりやすい均一運賃が採用されています。
もちろん、100円という料金だけで運行経費をすべて賄えているという意味ではありません。市の地域公共交通として運行されている点が、一般の民間路線バスとの重要な違いです。
小さいから安い、というだけの話ではなかったんですね。
似た名前の「てぃーろーど」とは別物です。
「てぃーろーど」はバス車両を使うコミュニティバスで、基本的に距離別運賃。一方、「てぃーワゴン」はワゴン車タイプで、距離を問わず100円です。
名前は似ていますが、料金体系も運行コースも同じではありません。[1]
2026年4月、なぜルートが変わった?きっかけは「やまゆり荘」

100円という料金の理由が分かったところで、もう一つ気になることがあります。
てぃーワゴンは、2026年4月1日に一部コースのルートを変更しました。
しかし、市の発表を確認すると、その理由は少し意外です。
高齢者向け福祉施設「老人福祉センターやまゆり荘」の閉館が、ルート見直しのきっかけでした。[2]
やまゆり荘は2025年3月31日をもって閉館しています。
その後、地域公共交通協議会でルートの見直しが検討され、2026年4月から停留所の廃止や経路変更が行われることになりました。[4]
建物が一つ閉まると、その周辺の交通まで変わる。
考えてみれば、バスのルートは道路だけで決まるものではありません。地域の人が「どこへ行く必要があるか」によっても変わるのです。
変更されたのは、具体的にどのコース?
てぃーワゴンで見直しが行われたのは、東金子・宮寺・二本木・武蔵藤沢駅の各コースです。
| コース | 2026年4月1日からの変更点 |
|---|---|
| 東金子 | 「縄竹公会堂」「やまゆり荘」を廃止。「入間ハート病院」が終点に。 |
| 宮寺 | 「やまゆり荘」停留所を廃止。 |
| 二本木 | 「やまゆり荘」停留所を廃止。 |
| 武蔵藤沢駅 | 「やまゆり荘」を廃止。武蔵藤沢駅~大森会館前の区間を、所沢市内を通る新経路へ変更。 |
入間市の2026年2月24日公表資料に基づく変更内容。[2]
特に注意したいのが、東金子コースです。
以前のルートを覚えている人は、やまゆり荘方面まで行くつもりで乗車すると、思っていた場所まで行けない可能性があります。
2026年4月以降は、東金子コースの終点が「入間ハート病院」になっています。
そして、武蔵藤沢駅コースにも注目してください。
こちらは停留所の廃止だけではなく、道路の通り方そのものが変わりました。新しい経路は所沢市内を通過します。
入間市の交通なのに、所沢市も通る。
市境を越えた経路は、行政区域だけを見ていても分からない、地域の移動のつながりを感じさせます。
変更されたもの:一部の停留所・運行経路
変更されていないもの:てぃーワゴンの運賃・ダイヤ
市は、てぃーワゴン各コースのダイヤ改正はないと案内しています。ただし、ルートの変更で利用できなくなった停留所があります。
以前から利用していた人ほど、乗る場所・降りる場所を見直すのが大切です。[2]
乗り方にも意外な特徴。降りる場所はバス停だけじゃない?

ルートが分かったら、次は乗り方です。
ここで、てぃーワゴンにはもう一つ便利な仕組みがあります。
それが「自由降車」という方式です。
市の公共交通マップでは、てぃーワゴンは乗車する場所は停留所ですが、降車は運行コース上の希望する場所で相談できると案内されています。[3]
ただし、どこでも自由に車を止められるわけではありません。
警察の指導によって降車できない区域があり、運転手が安全上の理由で対応できないと判断する場合もあります。
「家の前で必ず降りられる」と考えるのは早計です。
それでも、停留所から歩く距離を短くできる可能性があるのは、小型の地域交通ならではの特徴でしょう。
初めてでも迷いにくい、利用の5ステップ
-
公式路線図で乗る停留所を調べる
目的地まで行けるコースと、乗車する停留所を確認します。乗車は決められた停留所からです。 -
コースの運行曜日・時刻を確認する
毎日走るわけではありません。特に宮寺・二本木コースは曜日ごとに運行日が異なります。 -
停留所でワゴンを待ち、行き先を確認する
車両が安全に停車してから乗り込みます。初めてなら運転手に目的地を伝えて確認すると安心です。 -
降りたい場所を事前に伝える
希望する降車場所がある場合は、早めに運転手へ相談します。安全上の理由で指定した場所では降りられないことがあります。 -
降りる際に運賃を支払う
運賃は後払い。大人100円、小学生50円を現金または対応する回数券で支払います。
通常の路線バスと似ていますが、「停留所から乗って、状況によっては途中で降りられる」という違いがあります。
もちろん、自由降車は安全第一。降車できる場所は運転手の指示に従いましょう。
PASMOは使える?11枚1,000円の回数券にも注目

100円なら、スマートフォンや交通系ICカードで気軽に支払えそう。
そう思いますよね。
ところが、ここにはちょっとした落とし穴があります。
てぃーワゴンでは、PASMO・Suicaなどの交通系ICカードを使用できません。
入間市の公共交通マップでは、現金または回数券の利用が案内されています。[3]
普段はスマホだけで電車に乗っている人も、てぃーワゴンを利用する日は小銭を用意しておきましょう。
11枚つづりなら、100円分お得
何度も利用するなら、回数券が便利です。
てぃーワゴンなどで使える100円券は、11枚つづりを1,000円で販売しています。購入場所は車内です。[1]
| 利用方法 | 11回分の支払い | 差額 |
|---|---|---|
| 毎回現金で支払う | 1,100円 | ― |
| 回数券11枚つづり | 1,000円 | 100円お得 |
回数券を1冊買えば、通常の大人運賃で11回乗れる計算です。
定期的な買い物や通院などで利用する人にとっては、毎回100円玉を用意する手間も減ります。
ちなみに、回数券で支払う場合、お釣りは出ません。100円券をどのように使うか、事前に確認しておくと安心です。[3]
西武バスの一般路線では使えません。
てぃーろーど・てぃーワゴンの回数券や1日乗車券は、一般の西武バスとは共通ではありません。利用する車両を間違えないようにしましょう。[3]
月曜なら宮寺、火曜なら二本木?運行曜日を知ると便利

料金も乗り方も分かりました。
ただし、利用前に必ず確認したいのが「運行曜日」です。
てぃーワゴンは、全コースが同じ曜日に走っているわけではありません。
2026年の入間市公式案内では、運休日が次のように設定されています。[1]
| コース | 通常の運行曜日 | 運休日 |
|---|---|---|
| 東金子 | 月~土曜 | 日曜 |
| 金子 | 月~土曜 | 日曜 |
| 武蔵藤沢駅 | 月~土曜 | 日曜 |
| 宮寺 | 月・水・金曜 | 火・木・土・日曜 |
| 二本木 | 火・木・土曜 | 月・水・金・日曜 |
全コースとも12月29日~1月3日は運休。天候・道路状況による臨時運休や遅延が生じる場合があります。
特に宮寺と二本木のコースは、曜日が交互になっています。
「昨日乗れたから今日も乗れる」と思ってしまうと、停留所で待ちぼうけになるかもしれません。
出かける予定が決まったら、まず曜日を確認。その次に時刻表を見る。
この順番が、てぃーワゴンを上手に使うコツです。
2026年版の路線図・時刻表はどこで見られる?
ここまで読んで、実際に乗ってみたくなった人もいるかもしれません。
では、停留所や時刻はどう調べるのが確実でしょうか。
入間市は、2026年4月1日からの公式路線図と時刻表を公開しています。
今回のようにルート変更があったときは、古い地図や以前の乗車経験に頼らず、新しい資料を確認することが大切です。
路線図
入間市内の各コースの経路と停留所を確認できます。目的地とコースの位置関係を知りたいときに便利です。
時刻表
停留所ごとの発着時刻や運行便を確認できます。乗る曜日とコースを確かめてから利用しましょう。
資料は入間市公式サイトで公開されているものです。最新の変更情報も公式ページで確認できます。
利用前に確認したい3つのこと
1.利用したい場所に停留所があるか
てぃーワゴンは決められたコースを走る交通機関です。自宅や目的地まで自由に迎えに来るタクシーとは異なります。
2.目的地まで同じコースで行けるか
全コースが同じ場所を結んでいるわけではありません。乗り換えが必要な場合は、それぞれの経路・運賃を確認しましょう。
3.帰りの便があるか
行きに利用できても、帰りたい時間に便がない場合があります。特に通院や買い物では、帰りの時刻も先に確認すると安心です。
70歳以上なら、1日200円の乗車券もある?
てぃーワゴンには、もう一つ知っておきたい制度があります。
それが「特別乗車証」です。
入間市では、市内に住む70歳以上の人や、対象となる障害のある人に特別乗車証を発行しています。[5]
この制度を利用すると、条件に応じて通常とは異なる運賃が適用されます。
さらに、特別乗車証を持つ対象者向けに、200円で購入できる1日乗車券も用意されています。
一日に複数回乗る場合、便利な仕組みです。
障害者向けの特別乗車証を持つ人には無料乗車の制度もあります。対象条件や申請方法は、市の案内ページで確認できます。
入間市公式・特別乗車証の制度を見るてぃーワゴンの利用情報まとめ
| 名称 | 入間市コミュニティバス「てぃーワゴン」 |
|---|---|
| 運行地域 | 入間市内の東金子・金子・宮寺・二本木地区、武蔵藤沢駅周辺など |
| 運賃 | 大人100円、小学生50円、幼児無料 |
| 運賃方式 | 距離に関係なく均一・後払い |
| 支払い | 現金・回数券。PASMO・Suica不可 |
| 回数券 | 100円券11枚つづり・1,000円。車内販売 |
| 乗車場所 | 指定の停留所 |
| 降車場所 | 停留所または運行コース内の安全に降車できる場所。運転手の判断による制限あり |
| 運休日 | コースにより異なる。全コース日曜・年末年始は運休 |
| 2026年改正日 | 2026年4月1日 |
運行・忘れ物の問い合わせ先
東金子コース
松葉交通株式会社
電話:04-2973-9432
金子・宮寺・二本木・武蔵藤沢駅コース
豊岡丸大タクシー株式会社
電話:04-2962-4111
制度・コミュニティバス全般
入間市役所 都市計画課
電話:04-2964-1111(代表)
問い合わせ先は2026年10月21日に入間市公式情報で確認。[1]
100円のワゴンが教えてくれる、入間市の移動の仕組み
最初は「どこまで乗っても100円」という料金に目が止まった、てぃーワゴン。
けれど、その運行の歴史をたどると、少し違う姿が見えてきます。
大きなバスではなく、地域を細かく走るワゴン車を選ぶこと。
遠くまで乗っても料金を変えず、利用しやすい仕組みにすること。
そして、やまゆり荘の閉館に合わせて、必要なルートを見直すこと。
どれも、地域の暮らしと移動の関係を考えるうえで大切な手掛かりです。
2026年4月の変更後も、大人100円という料金は維持されました。
この小さなワゴンは、単に安く移動できる乗り物ではなく、地域の変化に合わせて走り方を変えてきた公共交通でもあるのです。
次に白と緑のてぃーワゴンを見かけたら、その100円の向こうにある、地域の暮らしの仕組みにも少し目を向けてみてください。
参考資料・出典
-
[1] 入間市「入間市コミュニティバス『てぃーろーど・てぃーワゴン』」
発行:入間市 都市整備部 都市計画課
運行の歴史、2026年版路線図・時刻表、運賃、回数券、運休日、問い合わせ先。
入間市公式ページ
確認日:2026年10月21日 -
[2] 入間市「コミュニティバス『てぃーろーど』『てぃーワゴン』のルート等変更のお知らせ」
発行:入間市
2026年4月1日のコース変更、停留所廃止、運賃・ダイヤ変更の有無。
入間市公式のお知らせ
確認日:2026年10月21日 -
[3] 入間市「公共交通マップ」
発行:入間市
てぃーワゴンの乗車・降車方法、自由降車、現金払い、交通系ICカード、回数券に関する案内。
公共交通マップ(PDF)
確認日:2026年10月21日 -
[4] 入間市「コミュニティバス運賃への意見募集」
発行:入間市
やまゆり荘閉館と、地域公共交通協議会でのルート見直しの経緯。
市の検討資料(PDF)
確認日:2026年10月21日 -
[5] 入間市「特別乗車証の発行」
発行:入間市
特別乗車証の対象者、申請、特別運賃、1日乗車券に関する案内。
入間市公式ページ
確認日:2026年10月21日
本記事は2026年10月21日時点の入間市公式公表資料を中心に作成しました。運行時刻・運休日・運賃制度は今後変更される場合があります。利用前には入間市公式サイトおよび運行事業者の案内をご確認ください。