野方駅の昔は田園地帯だった?駅開業から商店街が栄えた歴史
野方駅のまわりに今も続く、駅前から枝分かれするような商店街。現在の姿だけを見ると昔から商業の街だったように思えますが、実は戦前の野方には田園風景が広がっていました。街が大きく変わるきっかけになったのが、1927年の鉄道開通と、その後の戦後復興です。田畑のある郊外から「買い物客が集まる街」へ。野方の約100年をたどります。
点数ではなく、この場所の特徴を6方向の感覚で表しています。
交通の便利さ
駅を中心に複数の商店街が広がる
日常の買い物
1927年の鉄道開通以降に市街化が進んだ
外食・カフェ
個人店とチェーン店が混在している
子育て環境
5つの商店会が現在も地域を構成している
自然・散歩
笑い地蔵など戦後史を感じる場所が残る
地域のにぎわい
駅前道路や商店街を歩く人が多い街並み
野方駅の昔は本当に田園地帯だった?
はい。東京都の商店街紹介では、戦前の野方は主に田園風景が広がるエリアだったと説明されています。その景色を大きく変えたのが1927年の鉄道開通と、その後の人口増加、さらに戦後の商業発展でした。
野方の歴史をざっくり時系列で見る
東京都の商店街紹介によれば、現在の野方駅周辺は戦前、主に田園風景が広がる地域でした。今のように駅前へ店舗が密集する街とは、かなり違う姿です。
西武鉄道の会社要覧では、1927年4月16日に東村山〜高田馬場間の営業が開始されたことが確認できます。野方駅もこの時に開業しました。
鉄道が通ると、高田馬場方面へ移動できる郊外住宅地として利便性が高まります。駅を利用する住民が増えれば、日用品や食料を扱う店も必要になります。野方でも駅周辺を中心に、商業地としての輪郭が生まれていきました。
東京都の2026年の紹介では、野方は戦争による大きな被害を受けなかったため物資が集まり、戦後は多くの買い物客でにぎわう街へ変わったとされています。
野方商店街振興組合の紹介では、現在も商店街で親しまれている「野方笑い地蔵尊」は1947年にまつられたと伝えられています。現在の「笑いの街・野方」へつながる象徴の一つです。
全国商店街振興組合連合会の資料では、現在の野方商店街振興組合は1994年、5つの商店会の連合組織として発足したと紹介されています。
なぜ田園地帯だった野方に商店街ができたの?
最大の転機は「駅ができたこと」
商店街の成長を考えるとき、外せないのが1927年の野方駅開業です。
駅ができれば人の流れが生まれます。高田馬場方面へ通勤・通学する住民が駅を利用し、その行き帰りに食料品や日用品を買う。すると駅前や駅へ続く道に店が集まり、さらに住宅も増えていく──という循環が生まれます。
野方の現在の街並みは、巨大な商業施設を中心に成立したというより、駅と住宅地の間に生活の店が少しずつ連なってできた街と考えると分かりやすいでしょう。
もう一つの転機は戦後。「焼け残った街」に人と物が集まった
野方の商店街史でもう一つ重要なのが、第二次世界大戦後です。
東京都の2026年の野方商店街紹介では、野方について戦争の被害を受けなかったことで物資が集まるようになり、戦後には多くの買い物客でにぎわう街へ変貌したと説明されています。
東京では大規模な空襲によって焼失した地域が多数ありました。一方、被害を免れた場所では建物や店舗を利用し続けやすく、物資を扱う場所としての役割も生まれました。
「商店街が一つ」ではない。野方には5つの商店会がある
野方駅前を歩いていると、「どこからどこまでが野方商店街なの?」と思うかもしれません。
現在の野方商店街振興組合は、次の5つの商店会によって構成されています。
| 商店会 | 街歩きでの見方 |
|---|---|
| 野方北原通親交会 | 駅北側の商業エリアを構成する一角。 |
| 野方本町通り商店会 | 昔ながらの商店街らしさを感じやすい通り。 |
| 野方ときわ通り商店会 | 住宅街へ自然につながっていく生活道路型の商店街。 |
| 野方駅前通共栄会 | 野方駅の利用者動線と重なる駅前エリア。 |
| 野方みつわ通り商店会 | 駅周辺に広がる商業ネットワークの一部。 |
一つの長い一本道ではなく、駅を中心に複数の通りがつながっている。この構造こそ、野方を歩いたときに感じる「街全体が商店街っぽい」理由の一つです。
昭和の野方を歩くなら「文化マーケット」に注目
野方本町通り周辺には、戦後の商業空間を思わせる場所として「野方文化マーケット」が知られています。
街歩きメディア「街てく。」では、細い通路の両側に店舗が並び、上階を住居として使うような構造の市場だったことが紹介されています。かつては生鮮食品店などが集まっていたとされ、現在の大型スーパーとは異なる、戦後型の生活市場の面影を感じられる場所です。
商店街を「買い物する場所」として見るだけでなく、建物の幅や路地、店と住宅の距離を見ると、野方の歴史がぐっと立体的になります。
野方の「笑いの街」は戦後から続いている
1947年の「野方笑い地蔵尊」
現在の野方では「笑い」をテーマにした地域イベントが行われています。そのルーツをたどると、商店街にまつられている野方笑い地蔵尊へ行き着きます。
東京都の商店街紹介では、笑い地蔵尊は1947年にまつられたと伝えられています。戦後の野方の商業発展とほぼ同じ時代に、商店街の中へ「笑い」という象徴が生まれたことになります。
2026年現在も、野方商店街では「野方お笑い総選挙」など、笑いを使った地域活性化が行われています。昔の小さなお地蔵さまと、今のお笑いイベントがつながっているのが野方らしいところです。
昔と今で、野方はどう変わった?
戦前
田園風景が広がる郊外。現在ほど住宅や店舗が密集していない地域でした。
鉄道開通後
駅の利用者と住宅が増え、日常生活を支える店舗が駅周辺へ集まり始めます。
戦後
物資と買い物客が集まり、地域の商業拠点として大きく発展しました。
現在
5つの商店会が連なり、個人店とチェーン店、住宅が近い距離で混ざる生活型商店街になっています。
1988年の映像で見る野方|今と比べると面白い
野方駅から歩くなら、どんな順番が分かりやすい?
歴史をテーマにするなら、野方駅を中心に30分〜1時間ほど歩くだけでも十分楽しめます。
| 順番 | 見るポイント | 目安 |
|---|---|---|
| #01 野方駅 | 1927年の鉄道開通が街の転機だったことを意識してスタート。 | 5分 |
| #02 駅前商店街 | 駅から店舗が放射状に広がる街の構造を見る。 | 10〜15分 |
| #03 野方笑い地蔵尊周辺 | 戦後の商店街史と現在の「笑いの街」のつながりを感じる。 | 10分 |
| #04 本町通り周辺 | 昔ながらの店舗配置や細い路地、文化マーケット周辺を見る。 | 15〜30分 |
こんな人におすすめ
田の景色
駅が生まれて
店灯る
野方駅との相性|「駅を降りた瞬間から商店街」が歴史そのもの
野方の面白さは、歴史スポットへバスで移動する必要がないことです。
駅を出れば、そのまま商店街へ入っていけます。これは偶然ではなく、駅ができ、人が集まり、その生活を支える店が駅への道に並んだという街の発展そのものです。
巨大な駅ビルや再開発街区ではなく、駅のすぐ横に住宅・惣菜店・飲食店・昔からの個人店が入り混じる。この距離感は、野方の歴史を知るとさらに面白く見えてきます。
隣の都立家政駅まで街歩きを延ばすのも相性がよく、同じ西武新宿線沿線でも、それぞれ違う商店街の育ち方を比べられます。
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行く前に知っておきたいこと
商店街は観光施設ではありません。道路や店舗は地域住民の日常生活の場でもあります。写真撮影をする場合は、人の顔、店舗内、私有地などが写り込まないよう配慮しましょう。
また、昔から続く建物や店舗でも営業状況は変化します。特定の店舗を目的に訪れる場合は、事前に店舗公式情報や野方商店街振興組合の案内を確認するのがおすすめです。
野方駅と商店街の歴史Q&A
A. 戦前は主に田園風景が広がる地域だったと東京都の商店街紹介で確認できます。ただし地域全体がすべて田んぼだったという意味ではなく、現在より農地・田園景観が多かったと捉えるのが適切です。
Q. 野方駅はいつできましたか?A. 1927年4月16日です。西武鉄道の会社要覧では同日に東村山〜高田馬場間が営業開始したことが確認できます。
Q. なぜ野方の商店街は栄えたのですか?A. 鉄道開通によって駅周辺へ住民や店が集まったことに加え、戦争による大きな被害を受けなかったことで戦後に物資と買い物客が集まったことが大きな背景です。
Q. 野方商店街は一つの商店街ですか?A. 現在の野方商店街振興組合は、野方駅周辺にある5つの商店会で構成されています。
Q. 野方の「笑いの街」は最近できたものですか?A. 現在のお笑いイベント自体は新しい取り組みですが、その象徴となっている野方笑い地蔵尊は1947年にまつられたと伝えられています。
現在の野方駅前を歩くと、田園風景はほとんど想像できません。それでも、駅を中心に細い通りへ店が連なり、住宅のすぐ隣で商売が続く街並みには、この土地が約100年かけて変わってきた痕跡が残っています。
野方を歩くと、商店街そのものが街の年表に見えてくる
1927年、田園風景の残る土地に駅ができました。
駅へ人が集まり、住宅が増え、生活を支える店が並ぶ。そして戦後には物資と買い物客が集まり、商店街はさらに大きく育っていく。
その歴史を知ってから野方駅を降りると、駅前の惣菜店も、細い路地も、昔から残る店も少し違って見えます。
「昔は田園だった」という一言と、現在のぎゅっと詰まった商店街。その落差こそ、野方の街歩きで一番面白いところかもしれません。
