桜のトンネルの真下で、2034年まで掘る。新井薬師前「開かずの踏切」地下化工事の超長期戦
春になると、中野通りを約320本の桜が覆う新井薬師前。ところが、その桜並木を歩いていると突然現れるのが、西武新宿線の踏切です。現在ここでは、中井駅付近〜野方駅付近約2.4kmを地下化して7カ所の踏切をなくす連続立体交差事業が進行中。しかも2026年3月、事業期間は従来の2027年3月末から2034年3月末まで7年間延長されました。桜の名所の足元で進む、東京でもかなりスケールの大きな「街のつくり替え」です。
最終確認:2026年8月13日|東京都・中野区・西武鉄道・中野通り桜まつり公式情報を確認
点数ではなく、この場所の特徴を6方向の感覚で表しています。
交通の便利さ
西武新宿線の駅から中野通りや新井薬師へ歩ける
日常の買い物
新井薬師公園や哲学堂公園へつながる街歩きができる
外食・カフェ
地下化工事により駅周辺の動線が変化する場合がある
子育て環境
中野駅方面まで桜並木を歩くルートがある
自然・散歩
桜並木と大規模地下化工事が同じ街で見られる
地域のにぎわい
桜シーズンや踏切周辺は歩行者と交通の集中に注意したい
新井薬師前で、いったい何が地下になる?
正式名称は「西武新宿線(中井駅~野方駅間)連続立体交差事業」。中井駅付近から野方駅付近まで約2.4kmの西武新宿線を地下化する東京都の都市計画事業です。
完成すると、新井薬師前駅と沼袋駅は地下駅となり、区間内にある7カ所の踏切が除却される計画です。踏切待ちの解消だけでなく、鉄道による街の分断を減らし、駅周辺の道路や広場を整えやすくすることも大きな目的です。
| 項目 | 現在公表されている内容 |
|---|---|
| 事業区間 | 西武新宿線 中井駅付近〜野方駅付近 |
| 延長 | 約2.4km |
| 構造 | 地下方式 |
| 地下駅となる駅 | 新井薬師前駅・沼袋駅 |
| 解消予定の踏切 | 7カ所 |
| 事業認可 | 2013年4月1日 |
| 現在の事業施行期間 | 2034年3月31日まで |
出典: 東京都建設局|西武新宿線(中井駅~野方駅間)連続立体交差事業 / 西武鉄道|事業概要
中野通りの踏切も消える。桜の景色はどう変わる?
新井薬師前を象徴する場所のひとつが、中野通りと西武新宿線が交差する踏切です。西武鉄道の資料では、この踏切は「新井薬師前第2号踏切」。幅員20mの都道・中野通りを横切っています。
現在は電車が通るたびに車、人、自転車の流れが止まります。しかし鉄道が地下へ入れば、この平面交差そのものがなくなる計画です。
なぜ地下化するだけで、街がそんなに変わるの?
踏切がなくなると変わるのは「待ち時間」だけではありません。線路によって分けられていた南北の移動がしやすくなり、駅前広場や道路、歩行空間を一体的に考えられるようになります。
中野区も、地下化に合わせて新井薬師前駅周辺の駅前広場などの整備を進めています。つまりこの工事は、新しい地下駅を造って終了ではなく、地上の街まで組み直す長期プロジェクトです。
そして地上には、約320本の「桜のトンネル」
工事現場のスケールとは対照的に、春の新井薬師前はかなり華やかです。
中野区観光協会によると、中野通りにはJR中野駅から哲学堂公園方面まで約2km、約320本の桜が続き、「桜のトンネル」とも呼ばれています。
2026年は「第36回 中野通り桜まつり」が3月28日・29日に新井薬師公園で開催。中野通りでは3月14日〜4月19日、17:30〜21:00頃のライトアップも実施されました。
中野駅側から桜並木を北上し、新井薬師周辺、新井薬師前駅の踏切、さらに哲学堂公園までつなぐと、「花見」から「街歩き」へ一気に変わります。地下化後には見られなくなる現在の踏切風景も、2026年時点では街の途中に残っています。
地下化工事はなぜ「超長期戦」になった?
ここが2026年に大きく動いたポイントです。
中野区は2026年3月25日、事業施行期間が2027年3月31日まで → 2034年3月31日までに変更されたと発表しています。
延長理由として明記されているのは、用地取得の遅れとシールド工事の掘削計画見直しなど。一気に7年間延びたことになります。
2026年、工事はいよいよ“地下を掘る段階”へ
長い準備期間を経て、2026年は工事の見え方が大きく変わった年でもあります。
4月15日には新井薬師前駅北側の工事ヤードでシールドマシンの発進式が行われました。地上から眺めると仮囲いや工事設備が中心ですが、その足元では巨大なトンネルを造る工程が進んでいます。
西武鉄道の工事進捗ページも2026年7月2日に更新されており、これから数年間、新井薬師前周辺では「普段通り電車が走る地上」と「新しい鉄道を造る地下」が同時進行することになります。
この工事のすごさは「電車を止めずに街の下を作り替える」こと
新しい道路を更地に造る工事とは違い、ここでは既存の西武新宿線を毎日運行させながら、駅周辺で工事を進めています。
そのため用地、仮設設備、地下構造物、既存線との位置関係、道路交通などを順番に処理しなければなりません。完成形だけを見れば「線路が地下になった」で終わりますが、途中経過こそ鉄道工事好きには面白い場所です。
新井薬師前を歩くなら、この4地点をつなぎたい
そもそも「新井薬師前」って、何の前?
駅名の「新井薬師」は、駅の南西側にある新井山梅照院を指します。地元では「新井のお薬師さま」として親しまれる寺院で、駅から歩いて参拝できます。
桜並木、踏切、寺院、哲学堂公園。新井薬師前という駅名だけを見ると住宅街の一駅に感じますが、実際に歩くとかなり物語の多いエリアです。
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時間があるなら、街歩き+「ものづくり」も
新井薬師前周辺を桜や工事だけで往復せず、中野方面まで半日歩くなら、街歩きの途中に予約制の体験を組み込む方法もあります。
KKdayでは、中野エリアの「ガラス教室なかむら」による吹きガラス体験を掲載。5歳から参加でき、体験時間は1人30〜40分程度が目安と案内されています。桜並木を中野方面へ歩く日に「見る街歩き」から「作る街歩き」へ変えたい人向けです。開催枠・料金・受取方法は予約ページで最新条件を確認してください。
SNS・動画で見る「いまの新井薬師前」
新井薬師前をもっと歩く
新井薬師前の地下化工事、よくある疑問
完成したら消える景色を、今はまだ歩ける
地下化が完成した未来の新井薬師前を歩けば、「昔ここを電車が走っていた」と想像する日の方が長くなるのかもしれません。
けれど2026年の今は、桜並木の途中で遮断機が下り、その向こうを西武新宿線が横切ります。そのすぐ近くでは、新しい線路を通すための巨大工事が地下で進行中です。
桜が毎年変わらず咲く場所で、街の構造だけが少しずつ変わっていく。
新井薬師前は、完成後だけでなく「工事中の今」を記録しておきたくなる駅です。
