椎名町はなぜ昭和の生活感が残る?池袋から1駅で商店街が別世界になる理由
池袋から西武池袋線でわずか1駅。椎名町駅を降りると、巨大商業施設が並ぶ池袋とは打って変わり、豆腐店、電気店、海苔店、喫茶店などが混ざる生活商店街が住宅地へ伸びています。これは単に「古い建物が残った」からではありません。昔から住宅地と商店街が一体となって育ち、現在も複数の商店街が日常の買い物動線として機能していることが、この街らしい風景を残している大きな理由です。豊島区自身も椎名町を「東京の普通の暮らしを体験できる街」として紹介しています。
最終確認:2026年8月13日|西武鉄道・豊島区・商店街関連情報を確認
点数ではなく、この場所の特徴を6方向の感覚で表しています。
交通の便利さ
池袋から西武池袋線で1駅の近さ
日常の買い物
複数の商店街と個人商店が住宅地に残る
外食・カフェ
駅周辺から徒歩で街歩きを組み立てやすい
子育て環境
トキワ荘や池袋モンパルナスにつながる文化史がある
自然・散歩
長崎神社など地域の日常と歴史が近接する
地域のにぎわい
細い道路や生活道路もあるため歩行時は周囲への注意が必要
結論|椎名町に昭和の生活感が残るのはなぜ?
椎名町が「昭和レトロに見える」のは、レトロ観光地として作り込まれたからというより、昔から続く住宅地の買い物動線が今も街の骨格として残っているためです。
豊島区の都市計画資料では、椎名町駅周辺について「商店街や中低層の住宅地が共存する市街地」と説明されています。つまり駅前だけを商業地として切り離すのではなく、商店のすぐ後ろに住宅があり、その住宅地を細い道がつないでいる構造です。
さらに区の観光紹介では、椎名町には今では少なくなった「道の両側に個人商店が並ぶ商店街」が複数残っていることを、街そのものの魅力として取り上げています。
食料品、家電、薬局、接骨院、美容室など、観光客向けだけでは成立しない業種が混在しています。
駅前から複数の通りへ商店が広がり、「一本のメインストリート」だけではない生活圏を作っています。
大規模な商業街区とは異なり、中低層住宅や細い道路が入り組む既存の街区が残っています。
駅や街は更新されながら、商店街・神社・漫画文化など以前からの街の記憶も引き継がれています。
池袋の隣なのに、街の速度が急に変わる
西武鉄道によると椎名町駅は1924年6月11日開業。2024年には開業100周年を迎えました。現在も西武池袋線で池袋の隣駅です。
| 駅名 | 椎名町駅 |
|---|---|
| 路線 | 西武池袋線 |
| 位置 | 池袋駅の隣 |
| 開業 | 1924年6月11日 |
| 街の特徴 | 商店街と中低層住宅が近接する生活エリア |
| 街歩き向き | 北口の商店街から長崎エリア、南側のトキワ荘文化圏まで徒歩でつなぎやすい |
池袋からの近さだけを見れば、もっと駅前が大型ビルだらけでも不思議ではありません。しかし実際には、一駅移動しただけで「ターミナルの街」から「暮らす人の街」へ景色が切り替わります。この落差こそ、椎名町の面白さです。
「昭和っぽい」の正体は、店の古さより“業種の混ざり方”
椎名町本通り商店会で現在確認できる店舗を見ると、豆腐店、家電店、海苔店、インテリア店、喫茶店、植木店、接骨院、動物病院、ドラッグストアなどが同じ商店街に並びます。
このラインナップが重要です。おしゃれなカフェだけでも、飲食店だけでもありません。夕食の材料を買う店、家の電球や家電について相談する店、体を診てもらう場所まで同じ通りにある。商店街が「遊びに行く場所」になる以前の、暮らしのインフラとしての商店街が見えやすいのです。
昭和を保存したのではなく、生活が積み重なった結果
もちろん店舗の入れ替わりや建て替えは続いています。そのため「昔の街がそのまま完全保存されている」と考えるのは正確ではありません。
むしろ面白いのは、LED街路灯や防犯カメラ、新しい店舗など現代の設備を取り込みながら、それでも個人店と住宅地の距離感が残っていること。古いか新しいかの二択ではなく、昭和・平成・令和が同じ通りに重なっています。
北口を出たら、まず商店街を“線”ではなく“面”で歩きたい
椎名町の街歩きで面白いのは、「商店街を一本歩いて終了」にならないことです。北口周辺には、すずらん通り、椎名町サンロード、駅前中央通りなど複数の商店街が近接しています。
椎名町駅前すずらん通り
北口側でまず目に入りやすい、コンパクトなアーケード系の商店街。駅を出てすぐに「池袋とは景色が違う」と感じやすい入口です。
椎名町サンロード
椎名町本通り商店会の愛称。1974年の商店会設立時から「椎名町サンロード」と呼ばれ、設立時は約40店舗で始まったと紹介されています。豆腐店や電気店など現在も生活系の店舗を確認できます。
長崎小学校前通り明和会商店街
長崎2丁目側へ歩くと、さらに地域密着型の商店街へつながります。商店会自身もこの通りを「昭和レトロな雰囲気」と紹介し、地域行事や住民交流の場としての役割を案内しています。
メイン通りだけを往復するより、交差点で一本横へ入ってみるのがおすすめ。椎名町は「商店街と商店街の間」にも日常の店が点在し、街全体が買い物動線になっています。
そもそも椎名町は、100年以上前から池袋のすぐ外側で育った街
椎名町駅が開業したのは1924年。背景には、池袋を起点とした鉄道整備と東京郊外の市街地化があります。豊島区の歴史資料では、大正期に鉄道開通や関東大震災後の人口流入によって、当時の郊外地域へ住宅地化が広がったことが説明されています。
当時の長崎村も人口増加に伴い、1926年には長崎町となりました。つまり椎名町は、最初から巨大繁華街の延長としてできたというより、池袋へ通える住宅地として成長した地域でもあります。
駅を利用する住民が増え、その日常需要を支える店が駅前から住宅地の中へ育つ。その構造が、現在の商店街の密度へつながっていると見ると、今の風景が理解しやすくなります。
商店街の昭和感だけじゃない。椎名町は文化史まで濃い
南側には「トキワ荘」の記憶
1950年代から60年代初め、現在の南長崎には木造アパート「トキワ荘」があり、手塚治虫をはじめ、後の漫画界を代表する漫画家たちが青春時代を過ごしました。現在はトキワ荘マンガミュージアムなどを中心に、その記憶を地域文化として継承しています。
さらに前には「池袋モンパルナス」
椎名町周辺を含む池袋西側では、昭和初期に若い芸術家たちがアトリエ付き住宅に暮らした歴史があります。商店街を歩くだけでも面白い街ですが、少し視野を広げると、生活・芸術・漫画文化が何層にも重なっています。
昭和20年代の戦後マーケットまで現存
南長崎の「トキワ荘通り昭和レトロ館」は、昭和20年代に建てられた戦後マーケット「味楽百貨店」を活用した文化施設です。豊島区は、戦後マーケットの姿を現在まで残す貴重な歴史的建造物と説明しています。
北口駅前に長崎神社。これも「生活の街」を感じる風景
椎名町駅北口を出ると近くにあるのが長崎神社です。豊島区によれば、旧武州豊島郡長崎村の鎮守で、現在も地域に根付く神社です。
長崎神社では、元禄時代から地域に伝わるとされる「長崎獅子舞」も継承されており、豊島区指定無形民俗文化財となっています。商店街、住宅、神社、地域行事が近い距離に共存していることも、椎名町を単なる「池袋のベッドタウン」に見せない要素です。
初めてなら約2〜3時間。椎名町の生活感を味わう散歩コース
まず池袋との景色の違いを体感。駅周辺の商店街配置をざっくり確認します。
昔ながらのアーケードや個人店、チェーン店が混ざる「現在進行形の生活商店街」を歩きます。
旧長崎村から続く地域の歴史を感じられる場所です。
時間があればトキワ荘通り方面へ。商店街の「暮らし」と漫画文化の「昭和」が一本の散歩でつながります。
商店街で感じた昭和と、保存・展示された昭和を見比べると椎名町の奥行きが分かります。
※徒歩時間は信号待ちや立ち寄り時間によって変わります。住宅地や細い生活道路では、車・自転車・周辺住民の通行を妨げないように歩きましょう。
SNS・街歩きメディアでは、椎名町はどう見えている?
椎名町を歩く前に知っておきたいこと
| おすすめ出口 | 商店街の生活感を先に楽しむなら北口からスタートしやすいです。 |
|---|---|
| 歩き方 | サンロードだけでなく、すずらん通りや横道にも入ると街の立体感が分かります。 |
| 子連れ | 駅周辺から歩けますが、細い道路や自転車の往来には注意してください。 |
| 一人散歩 | 商店街・神社・トキワ荘文化を自分のペースでつなげやすく、一人歩きとも相性のよいエリアです。 |
| 滞在目安 | 商店街中心なら約1時間、南長崎まで含めるなら2〜3時間ほどを見ておくとゆっくり歩けます。 |
| 買い物 | 観光地ではなく生活商店街です。営業日・営業時間は店舗ごとに異なるため、目的店がある場合は事前確認がおすすめです。 |
椎名町の商店街についてよくある疑問
椎名町は池袋から何駅?西武池袋線で池袋駅の隣、1駅です。椎名町駅には各駅停車が停車します。
椎名町は本当に昭和の街並みがそのまま残っている?完全に昭和当時の状態が保存されているわけではありません。駅や店舗、街路設備は更新されています。一方で、中低層住宅と生活商店街が近接する街区や個人商店、アーケードなどが現在も残るため、昔ながらの生活感を感じやすい街です。
一番「椎名町らしい」商店街はどこ?初めてなら、北口からすずらん通りを抜けて椎名町サンロードへ歩くコースが分かりやすいです。ただし椎名町の魅力は複数の商店街が近接していることなので、一本だけで帰らず横道も歩いてみると印象が変わります。
トキワ荘は椎名町駅から行ける?はい。現在のトキワ荘マンガミュージアムは豊島区南長崎にあり、椎名町駅側から街歩きとして向かえます。駅そのものにもトキワ荘ゆかりの演出があります。
なぜ池袋のすぐ隣なのに大型商業施設だらけにならなかったの?単一の理由で説明することはできません。ただし豊島区の都市計画資料からは、駅周辺に商店街と中低層住宅が共存し、後背地には細かな宅地や狭い道路を含む市街地が形成されてきたことが確認できます。こうした街区構造と地域の生活商業が現在の椎名町らしさにつながっていると考えるのが自然です。
参照URL
池袋から4分。その近さを忘れる商店街がある。
椎名町の面白さは、「昭和レトロな街を見に行く」という言葉だけでは少し足りません。
駅前で豆腐を買う人がいて、自転車が止まり、電気店や喫茶店があり、その先には住宅が続く。そんな何十年も繰り返されてきた日常の動線そのものが、いま訪れる人には新鮮に映ります。
池袋から、たった1駅。
大都会のすぐ横に残った「普通の東京」を歩きたい日に、椎名町はかなり面白い途中下車先です。
